SEDA-APのデータ解析 ~Albedo中性子の検出~

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SEDA-APのデータ解析 ~Albedo中性子の検出~ 宇宙粒子研究室 10761105 吉藤 雄基

目次 1.実験目的 2.Albedo中性子とは 3.バンアレン放射線帯とは 4.実験装置 5.解析方法 6.結果

1.実験目的 国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された中性子観測装置(SEDA-AP)で観測されたデータからAlbedo中性子を判別する。 銀河宇宙線が大気の原子核を崩壊させ、この蒸発プロセスで作られる宇宙線がバンアレン放射線帯の内帯の粒子源になっているのかどうか解析する。

2.Albedo中性子とは 宇宙線 ISS 銀河宇宙線が高空の大気と衝突して、原子核を破壊したときに作られ、再び宇宙空間に放出される中性子を、Albedo中性子と呼ぶ。 バンアレン放射線帯の内帯の粒子源ではないかと言われている。 Albedo 400km 中性子 大気 30~50km 地球

地心距離1.5~2reを内帯、3~4reを外帯と呼ぶ 3.バンアレン放射線帯 地球磁場に定常的に捕捉された放射線群 地心距離1.5~2reを内帯、3~4reを外帯と呼ぶ 外帯 内帯 ISS

4.実験装置 FIB SEDA-APとは 日本の実験棟きぼうの先端に取り付けられた船外プラットフォームとSEDA-AP 中性子モニタ(NEM)

4.実験装置 FIBの構造 10cm×10cm×10cmの立方体。 シンチレーティングファイバー(SCIFI)の光はライトガイドの光ファイバーを通してマルチアノード・フォトマルに導かれる。 一番外側はアンチカウンターで覆われている。

4.実験装置 陽子・中性子・ガンマ線の区別 電子対生成 アンチカウンターに反応

5.解析方法 1.入射方向による選別 2.アンチカウンターによる選別 Albedo中性子の判別 Z Z Y X アンチカウンター Y X Z 地球 2.アンチカウンターによる選別

5.解析方法 レンジ法 飛跡L 飛跡L= 中性子のエネルギーEp= 地球

6.結果 (MeV) エネルギー イベントナンバー 解析した9500イベント中、Albedo中性子だと判断したのは41イベントだった。

6.結果 最頻値は約70MeVだった。

6.結果 およそ60~100MeVの中性子が判別できた。 原子核が蒸発して作られる中性子のエネルギーの平均は約10MeVだが、今回測定した中性子は、エネルギーの高い部分を測定していることと、飛跡の方向の情報よりAlbedo中性子であると判断した。

6.結果 R.E.Lingenfelterによると、今回の測定条件での中性子のfluxはおよそ0.1個/secだが、計測結果から計算したfluxは0.03個/secになり、ほぼ予測値通りになった。 このことからもAlbedo中性子の判別に成功したと言える。