WISHによるhigh-z QSOs 探査案 WISH Science Meeting (10 Mar. 三鷹

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WISHによるhigh-z QSOs 探査案 WISH Science Meeting (10 Mar. 2010) @ 三鷹 松岡 良樹(名古屋大学)

High-z QSOs探査の意義 1.宇宙再電離の探索 なぜQSOsか?: 明るさ、強くfeaturelessなcontinuum → H I absorptionを利用した銀河間空間の中性度測定 Fan et al. (2006a) Fan et al. (2006b)

High-z QSOs探査の意義 2.ブラックホール形成、銀河との共進化 なぜQSOsか?: energy source, 強いemission lines, → Emission linesによる中心SMBHの質量推定 Black Hole Mass – Bulge Mass Relation Kauffmann et al. (2003) Haring & Rix (2004) Kurk et al. (2007)

High-z QSOs探査の意義 3.初期宇宙の星形成史 なぜQSOsか?:様々な重元素の強いemission lines → metallicity進化から示唆される星形成の履歴 Kurk et al. (2007) → Star formation at z > 8 ? Jiang et al. (2007) Vanden Berk et al. (2001)

High-z QSOs探査のフロンティア i z J Redshift range 5.7 < z < 6.5 SDSS group (Fan et al.) CFHT group (Willott et al.) I - z (Y) - J selection Fan et al. (2003) i z J i z J

High-z QSOs探査のフロンティア 先行探査ではz > 6 QSOs 30天体ほどを発見 (最遠 @ z = 6.43) 今後の見通し - SDSS Deep: zAB < 21.5 mag @ 300 deg2 - CFHTQS: zAB < 22.5 mag @ 900 deg2 - HSC survey wide: zAB <~ 25 mag @ ~1000 deg2 → UKIDSS, VISTAなどの近赤外線測光と組み合わせる Willott et al. (2010)

WISHによるhigh-z QSOs探査の見積もり High-z QSOs探査におけるWISHの活躍舞台  … 近赤外線drop out法による z > 10 QSOsの探索 以下では、z < 6での観測に基づくWISHでのQSOs探査手法 案と発見期待数を示す。 Assumptions: - SDSS composite spectrum by Vanden Berk et al. (2001) - IGM H I absorption by Songaila (2004) - Luminosity function by Willott et al. (2010) - Number density evolution by Fan et al. (2001)

WISHによるhigh-z QSOs探査の見積もり Filter Set 3

WISHによるhigh-z QSOs探査の見積もり Filter Set 4

WISHによるhigh-z QSOs探査の見積もり 発見期待数    f[n] – f[n+1] > 1.0 のQSOsのみ探査可能と仮定 UDS, MBS (< 28 AB mag) / 100 deg2 z Set 3 f0 – f1 f1 – f2 f2 – f3 f3 – f4 Set 4 8 - 10 250 190 70 10 - 12 80 160 < 1 150 30 12 - 14 110 10 130 14 - 16 40 100 16 - 18 5 18 - 20 20

WISHによるhigh-z QSOs探査の見積もり 発見期待数    f[n] – f[n+1] > 1.0 のQSOsのみ探査可能と仮定 UWS (< 25 AB mag) / 1000 deg2 z Set 3 f0 – f1 f1 – f2 f2 – f3 f3 – f4 Set 4 8 - 10 400 260 110 10 - 12 70 220 < 1 180 50 12 - 14 120 20 10 160 14 - 16 140 30 16 - 18 60 5 80 18 - 20

まとめ(雑感) 現在までのサーベイで、z < 6.4のクエーサーが発見されてきている。 これらは - IGMのH I吸収測定を通じた宇宙再電離調査 - 超大質量ブラックホールの形成、銀河との共進化 - 初期宇宙の星形成史 などの研究を通じた初期宇宙の強力なプローブである。 今後数年で、z ~ 8 までのクエーサーは発見されるかもしれない。 WISHによる「深く広い」近赤外線サーベイは、クエーサー探査には 非常に適したパラメータ設定のプロジェクトと言える。 使用するフィルターの選択によって z = 8 – 20のクエーサーを100 天体のオーダーで”発見可能”であり、これらは暗黒時代に迫る貴 重なターゲットとなる。 分光同定をどうするか? - z ~ J ~ 24.5 AB magの場合、8m望遠鏡で4 – 5時間程度の    積分が必要 - 近赤外線で24-27 AB mag → TMTのターゲット