GDPに反映される教育の成果について 減少していく教育の産出について考える 教育効果の計測シンポジウム 2014年2月28日 石川県立音楽堂 GDPに反映される教育の成果について 減少していく教育の産出について考える 金沢星稜大学 藤澤美恵子
目次 1.GDPで考える教育の効果の測定 2.学力テストを使用した教育効果の分析 3.今後の教育の効果の測定について
GDPとは GDP(Gross Domestic Product) 国内総生産 日本の国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービス の金額の総和 “国内”のため、日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まない GNP(Gross National Product) 国民総生産 “国民”のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んでいる 付加価値生産額
非市場サービス GDPは、日本の国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービス の金 額の総和 市場サービスと非市場サービスがある 市場サービス =私立学校 非市場サービス=義務教育 教育は サービス =産業 =産業でない 市場を通さない政府サービス
教育のアウトプットの計算 産業でない義務教育の付加価値生産額の計測方法 I n Put = Out Put として計測 出所:「地方財政統計年報」より加工
教育のアウトプットとは 教育のアウトプットは、本人に移転された知識や技術 In Put 支出 卒業 Out Put
教育のアウトプットの新計算 産出量法で、児童や生徒の数によるボリュームで計測 本当に教育のアウトプットは減少しているのか? 出所:「学校基本調査」より加工 本当に教育のアウトプットは減少しているのか?
本当に教育アウトプットは減少 教育の内容に変化があるのか? 変化の要因 ・少子化 ・授業時間
客観的に教育の効果を測る必要 どれだけの知識や技術を身につけているのか? アウトプットがわかりにくい時は アウトカムで計測する方法がある ・テストの成績(直接的アウトカム) ・年収(間接的アウトカム) テスト 100点
教育の質調整アウトプット アウトカムを利用して教育の質調整アウトプットの把握が可能 学力テストの結果を利用 回帰分析で対応可能 ・学力テストのスコアを非説明変数 ・学力を向上させる要因を説明変数
全国学力・学習状況調査 2007年から開始 - 以前の学力テストと連動性はない 対象は、小学6年生、中学2年生 2007年から開始 - 以前の学力テストと連動性はない 対象は、小学6年生、中学2年生 試験内容は、国語、算数(数学)、2013年からは理科 出所:「全国学力・学習状況調査」より加工
石川県の場合 日本海側は平均より高い平均回答率 出所:「全国学力・学習状況調査」より加工
学力との因果関係 身体的要因 教育環境要因 生活環境要因 都道府県により学力テストの結果が異なる 都道府県により身体的要因などのデータ平均値が異なる 都道府県ごとのテスト結果 身体的要因 教育環境要因 生活環境要因
身体的要因 未熟児は小学校の学力テストに対してマイナスの影響がある → これは、中学校時点では影響が消える → これは、中学校時点では影響が消える 平均身長が高いと小・中学校の学力テストに対して プラスの影響がある 肥満率が高いと小・中学校の学力テストに対して マイナスの影響がある
教育環境要因 教育費用に関しては学力テストの結果に反映しない 家計教育費 自治体の教育費 学力テストにプラスの影響がある 家計教育費 自治体の教育費 学力テストにプラスの影響がある ・学校の敷地面積が大きい ・不登校率が低い ・小学校だけ女性教員比率が高い
生活環境要因 家族構成にはあまり影響されない 3世代同居 共働き 学力テストにプラスの影響がある ・公立高等学校の比率が低い 3世代同居 共働き 学力テストにプラスの影響がある ・公立高等学校の比率が低い ・持ち家率が高い ・小学校だけ図書館数が多い ・中学だけ失業率が低い
今後の教育アウトプット 世界の潮流は、産出量法での教育のアウトプットの把握 (児童や生徒の数でアウトプットを把握する) (児童や生徒の数でアウトプットを把握する) 少子化の日本では、産出量法での教育のアウトプットは減少することが既知 つまり、教育の質調整をしてアウトプットを計測することが望ましい 質の調整をするためには、データの制約等がある これが解決されれば、日本でも質調整した産出量法での計測が始まる
教育の質が問われる時代へ GDPに質調整した教育のアウトプットを実装するためには 教育関係者からのアドバイス データの制約の解除 教育関係者からのアドバイス データの制約の解除 教育関係者ばかりでなく経済学者と共に教育を考える