下条 圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所 太陽でのジェット現象(と波動) 下条 圭美 国立天文台・野辺山太陽電波観測所 太陽コロナ波動加熱研究会 @京大宇宙物理教室 2004年2月23日
今日のお題目 太陽大気中でのジェット現象 ジェットと共に観測される波動(?)現象 まとめ 本当に「バラエティーに富んでいる」のか? 波動?かもしれない観測例 まとめ
太陽大気中でのジェット Coronal WL Jet > 3 ×Rsun Spray > 数万km <空間サイズの大きい順> Coronal WL Jet > 3 ×Rsun Spray > 数万km X-ray/EUV Jet 5×104 ~4×105 km Surge 2×104 ~2×105 km Macrospicule 4×103 ~2×104 km Spicule 6×103 ~1×104 km Explosive Event (~1500 km)
Spray ⇒死語になりつつある Hαで見られるジェット現象 サイズは>数万km プロミネンス放出現象の一種 一説によると ジェット物質の基はフィラメント 一説によると 速度が常に200km/sで最終的に脱出速度以上600km/s ⇒Spray 200km/s 以下 ⇒ プロミネンス放出現象 最近は、プロミネンス放出現象とSprayを分ける意味が無いので、Sprayという言葉自体、あまり使われない。 京大飛騨天文台 ホームページから
Coronal White-Light Jet : 1 (名前はまだ流動的) SOHO/LASCO C2の観測 LASCO C2で観測されるジェット 極域でよく発見されるので、Polar Jetとも言われている。 先端の速度は400 ~ 1100 km/s ジェット内部の速度は~250 km/s 寿命は 2 ~ 3時間 発生頻度は、3 ~ 4 /day (St. Cyr, et al. 1997) H Lyα (約3万度)とOVI (約30万度)のラインでも観測されている。(Dobrzycka, et al. 2002) 密度はジェット外部より2倍程度大きく、5×106 cm-3 程度である。 (Dobrzycka, et al. 2002) 1997/08/05 1997/10/30 Wang, et al., 1998, ApJ, 508, 899
Coronal White-Light Jet : 2 (名前はまだ流動的) WL Jetの根元には、EUV Jetが存在。(Wang, et al. 1998) SXTで見るとWL Jetの根元にXBPが存在している。 同時ではないが、WL Jetの根元のXBPでX-ray Jetも発生している。(Dobrzycka, 2002) Wang, et al., 1998, ApJ, 508, 899
X-ray/EUV Jet : 1 EUV Jet X-ray Jet 26-FEB-92 10:04:59UT 09:26:35UT
X-ray/EUV Jet : 2 X線、EUV(100万度程度のライン)で観測されるジェット現象。 平均速度は約200 km/s 根元にフレア(micro~X-class) 寿命・長さ・根元のフレアのX線強度の頻度分布がPower-law分布している。 発生頻度は、約0.5 /day 先行黒点西側に出現しやすい。 浮上磁場領域やcanceling flux上で発生 ⇒磁気リコネクションによる発生 X-ray Jet本体は彩層蒸発による高温プラズマ TRACEの観測では、blobや微細構造のヘリカル運動が見える。 Surgeとの同時観測例もある。(Canfield et al. 1996) Jet
Surge Hαで観測されるジェット現象 速度は50-200km/s 寿命は10-30分 磁気浮上領域やcanceling flux上で発生⇒磁気リコネクション(Kurokawa & Kawai 1993, Gaizauskas 1996) ジェット内部にred-shiftの部分とblue-shift部分が並んで存在する。⇒ジェット内部のヘリカル運動 京大飛騨天文台DST Canfield et al. 1996
WL Jet = X-ray/EUV Jet = Surge? WL, X-ray, EUV Jet, Surgeは、同じ領域から発生。 それぞれ同時観測もあり、速度も同じ程度。 ただし、それぞれの観測しているプラズマの温度が1万度~600万度程度と広範囲 同じ発生原因だが、加速機構はそれぞれ違う? ⇒ これからの課題!!
Macrospicule UV/EUVラインで観測されるジェット現象 Pike and Harrison, 1997 UV/EUVラインで観測されるジェット現象 30万度以上に対応するラインでは観測されない。とされてきたが、最近では100万度程度のラインでも観測されている。 速度は60 ~ 150 km/s 寿命は数分~40分 Hαでcounter partが観測されている。 Hαの本体が遷移層(sheath)にくるまれている。 ジェット部分がヘリカル運動している。
Spicule Hαで観測されるジェット 温度は5000~15000 K 上昇速度は25km/s 上昇後、下降する運動も観測されている。(Suematsu et al. 1995) 寿命 200 ~960秒 発生頻度 1000~3300/s 密度3~16×1010 cm-3 運動エネルギー 2×1024 ergs ネットワークに分布 Big Bare Observatory 京都大学飛騨天文台
Explosive Event EUVのライン観測において、Blue, Red-shiftおよび強度の増大により認識されるジェット現象。 温度20万度程度 速度100km/s 寿命60秒 発生頻度 600/s 運動エネルギー 4×1022 ergs ネットワークに分布 空間分解された観測は無い。
Spicule, Blinker and Explosive Event EUV blinker : 遷移層程度の温度のEUVラインで観測される増光現象。速度の変動は-5 ~25 km/s(Madjaraska and Doyle, 2003)。 大きな問題 Blinker = Explosive Event?? Spicule ~ Blinker ? ~ Explosive Event?? SOLAR-B/EISの大きな宿題?
太陽大気中でのジェット Spray > 数万km Coronal WL Jet > 3 ×Rsun <空間サイズの大きい順> Spray > 数万km Coronal WL Jet > 3 ×Rsun X-ray/EUV Jet 5×104 ~4×105 km Surge 2×104 ~2×105 km Macrospicule 4×103 ~2×104 km Spicule 6×103 ~1×104 km Explosive Event (~1500 km)
今日のお題目 太陽大気中でのジェット現象 ジェットと共に観測される波動(?)現象 まとめ 本当に「バラエティーに富んでいる」のか? 波動?かもしれない観測例 まとめ
ジェット現象で観測される波動?:1 ヘリカル運動⇒Torsional Alfven ? ジェット現象では、ヘリカル運動がよく見られる。 ⇒ ねじれた磁場が緩和していく過程か? それともヘリシティーの注入か? 回転速度は? EUV-Jet 100km/s ? Macrospicule 20~30 km/s Torsional Afven Waveか? EUV-Jet:進行方向の速度がAlfven速度に対して遅い。 密度分布とWave Packetの関係は?
ジェット現象で観測される波動?:2 Spiculeを介した波動? De Pontieu et al. 2003, ApJL, 595, L63 “ Intenisty Oscillations in the Upper Transition Region above Active Region Plage” TRACE, SOHO/MDI, La Palma/SVSTの共同観測。 各波長・各pixelの強度変化(MDIはDoppler速度変化)をwavelet解析して、各pixelの強度変化に特徴的な周波数が無いか調べた。 当然のことながら、MDIではp-mode(5分振動)の周波数が出る。
ジェット現象で観測される波動?:3 Spiculeを介した波動? Hα Blue Hα Red 171Å MDI Doppler 171 - Blue 171 - Red 171 - MDI 200 – 600秒の周期的な変動が、171Å・Hα Red / Blue・MDI Dopplerに見られた。 171Å – Hα間に相関がつよい振動が存在する。 Hαで振動が見られる場所はfibril付近で、Spiculeによる速度変動であると思われる。 強度変動は、 171Åで5~15% 171Å – MDI間にもいくつかのpixelで相関が強い振動があり、位相差は約150秒相当。
まとめ ジェットの統一できるか? ジェットに伴った波動 Coronal WL Jet = X-ray/EUV Jet =Surge? Spicule = Explosive Event = Blinker? ジェットに伴った波動 Torsional Afven Wave ? Spiculeを介した波動? (光球の振動 ⇒ corona?)