現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに

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減衰自由振動の測定 理論と実験手順. この資料の内容 振動現象の重要性 実験の目的 学んだ振動の種類と特徴 振動のメカニズム 実験装置と方法.
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現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに EX17704 (東京大学情報基盤センター推薦課題) 伊藤悦子 (大阪大学 核物理研究センター) 有限温度・有限密度2カラーQCDの相図と超流動性の解明 共同研究者:飯田圭、李東奎 (高知大学) Motivation Superfluid phase of 2-color QCD 有限密度 2カラーQCDを調べ、 現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに 対して第一原理計算から知見を得る 高密度QCDにおける超流動相 ⚫低温だがカイラル対称性が回復 ⚫クォークの閉じ込めがない ⚫ダイクォーク凝縮がある ⚫️核力のミクロな描像を与える「量子色力学(QCD)」の 高密度下における性質を調べたい。 (物理系の例:高エネルギー実験、中性子星) ⚫️QCDを記述するSU(3)ゲージ理論には「負符号問題」が   あり、第一原理計算による研究方法は確立していない。 ⚫️SU(2)ゲージ理論は、toy modelになるが、負符号問題が   現れない!ゼロ密度では、カイラル対称性の破れ、   閉じ込めなどQCDとよく似た性質を持つ 目標1 第一原理計算でこれらの性質を満たす相が存在するか確認 超流動相の性質の定量的解明 ⚫熱力学量の決定 ⚫輸送係数の決定 ⚫超流動密度の決定 目標2 新しい解析手法の構築 (gradient flowによるエネルギー運動量テンソルの直接測定) Iida-Baym(2002) Luescher (2010) 理想気体の(ユークリッド化した)EMT エネルギー密度 SU(Nc)QCDの 有限温度・密度の相構造予想図 圧力 Simulation detail Preliminary results RCNP sx-ACE 8nodeで実行中 有限温度・ゼロ密度での 閉じ込め秩序変数の振る舞い ゲージ配位の生成 (岩崎ゲージ、Wilsonフェルミオン) ・・・Hybrid MonteCarlo algorithm (高速化:Omelyan integerator, Hasenbush preconditioning) エネルギー運動量テンソルの測定 ・・・Yang-Mills gradient flow 方程式の数値的   解析 (third-order Runge-Kutta algorithm) ノイズ法 ⚫低温では <P>~0(閉じ込め) 高温では <P>=/0(非閉じ込め) を確認 横軸 温度