一連のドープ細線における バンド端とフェルミ端の構造 ’06 06月30日 小川研との合同研究会@大阪大学 一連のドープ細線における バンド端とフェルミ端の構造 秋山研究室 D2 井原 章之 <アウトライン> イントロダクション ’90年代の研究(doped TypeⅡ wires、理論研究) 最近の研究(doped T-wire、doped V-wires、その他) 考察、今後の課題
イントロダクション ~ 1次元系 Inverse-square-root divergence Density of state (DOS) イントロダクション ~ 1次元系 Inverse-square-root divergence Density of state (DOS) Interesting phenomena appear!! ・Large exciton binding energy. ・Strong absorption of exciton groundstate. ・High speed optical modulation device. ・High performance laser device.
イントロダクション ~ 1次元電子系の光学スペクトル イントロダクション ~ 1次元電子系の光学スペクトル G. D. Mahan, Phys. Rev. 153, 882 (1967). 多体効果なし フェルミ端のべき発散を考慮 “Band端のピーク” and/or “Fermi端のピーク” が現れる
’90年代の研究 ~ Callejaらの実験(doped TypeⅡ wires) J. M. Calleja, et al, Solid State Commun. 79, 911 (1991). PL PLE 特徴 Band端 Fermi端 Calleja’s wire Ef=4.8meV、100x25nm 構造揺らぎ大、Type II構造 no Peak ? Sharp 彼らは「鋭いFESは1D特有、Band端は構造揺らぎで消失」と主張。
’90年代の研究 ~ 小川先生の理論計算 FESのべきの値を電子-電子間および電子-正孔間相互作用の関数として計算 ’90年代の研究 ~ 小川先生の理論計算 T. Ogawa et al, Phys. Rev. Lett. 68, 3638 (1992). FESのべきの値を電子-電子間および電子-正孔間相互作用の関数として計算 電子間斥力 鋭い発散 bosonization method , Tomonaga-Luttinger model The critical exponent is obtained analytically for an arbitrary mass of a valence hole taking into account the electronic correlation. 「2D・3Dと異なり、1Dではpower-law FESのべきの値は正孔のmassに依らない」
’90年代の研究 ~ Hawrylakらの理論計算 P. Hawrylak, Solid State Commun. 81, 525 (1992). ホールがアクセプタ準位に局在している場合の発光スペクトルを数値計算 The time evolution of the vertex (G) and self-energy (C) functions is governed by a set of nonlinear differential equations : Calculated by standard Runge-Kutta techniques Electron gas confined in parabolic potential 「ホールがアクセプタ準位に局在している場合、 Fermi端の発光ピークが強くなり、Band端の発光ピークが消失する」
’90年代の研究 ~Rodriguez らの理論計算 F. J. Rodriguez et al, Phys. Rev. B 47, 1506 (1993). F. J. Rodriguez et al, Phys. Rev. B 47, 13015 (1993). 発光・吸収スペクトルに対する、有限温度、ホール局在、細線の太さの違い、 間接遷移などの影響を数値計算 Solves an effective-Bethe-Salpeter equation Confinement of parabolic potentials 2 conduction subband and 1 valence band 「Fermi端の発光ピークの大きさは、ホールの局在に強く依存する」 「高次サブバンドとフェルミエッジの共鳴や、間接遷移であることが、 Fermi端のピークを強める」
濃度や温度を変えるとどうなる?一次元系の特徴はどこに現れうる? 興味を持った点 これまでに報告された実験に対して そもそも、いまだにバンド端の発散が観測されていない。本当に一次元? 一次元電子系では強いFES効果が現れるとされたが、 品質の問題、太さの問題、type IIであること、などは関与しないのだろうか? 濃度や温度を変えるとどうなる?一次元系の特徴はどこに現れうる? 理論の指摘に対して ・「べきの値が正孔の有効質量に依存しないこと」を、実験的に検証できるだろうか? ・アクセプター発光では、バンド端のピークが消えてフェルミ端のピークが現れるのか? ・正孔の局在や高次サブバンドの共鳴によって、フェルミ端の発光ピークが強まるのか?
最近の研究 ~ Oberliらの実験 (doped V-wire) D. Y. Oberli et al, Physica E 11, 224 (2001). PL PLE 特徴 Band端 Fermi端 Oberli’s V-groove wire Ef=25meV、構造揺らぎ大 サブバンドとFermi端が共鳴 Peak ? Broad 「ホール局在のほか、フェルミ端とサブバンドの共鳴が 強いFermi端のピークの観測に必要な条件」 と主張。
最近の研究 ~ 我々の実験 (doped T-wire) Vg=0.7V PL PLE 特徴 Band端 Fermi端 Our doped Twire Ef=6meV、高品質、細い(1D limit) Peak no Sharp (非縮退) Broad Fermi端には鋭いピークが現われなかった。
Doped T-wireのPL・PLEの温度依存性 high Temperature low 温度を上げて縮退を解くと、バンド端の吸収ピークが現れる。
Doped T-wireのPL・PLEの電子濃度依存性 ファイさんのscreened HF計算 励起子からダブルピークを経て フェルミ端へ移りかわる high Electron density low ファイさんのscreened HF計算がよく合うが、実験の励起状態の振る舞いは奇妙。
我々の実験 ~ doped T-wire with Acceptor states アクセプタ発光 high Electron density low PL PLE 特徴 Band端 Fermi端 +Accepter Ef=6meV、高品質、細い(1D limit) 正孔はAcceptorに局在 no Peak ? アクセプタ発光では、Fermi端のピークが現われ、Band端のピークが消える。
最近の実験で分かった事柄 1D DOSを反映したバンド端の発散は、 非縮退電子ガスの存在下で吸収ではっきりと観測される。 正孔の局在や高次サブバンドの共鳴によって、フェルミ端の発光ピークが強まる。 しかし、これらの条件が満たされないとき、フェルミ端にはピークが現れない。 吸収にもブロードなオンセットが現れるだけだった(T-wire、V-wire共通) アクセプター発光では、確かにバンド端のピークが消えてフェルミ端のピークが現れた。 → Hawrylakの指摘が検証できた。
まだ解決していない事柄、今後の課題 個人的に知りたいこと 今後の課題 FESのべきの値が正孔の有効質量に依存しないこと(小川理論)は、実験的に検証できていない。アクセプターの吸収を測ったとして、それは検証になるのだろうか? FES効果が弱いのはなぜか?(縮退が弱い?散乱でぼやけた?スクリーニング?) そもそもCallejaの結果は信じるに値するのか? 電子濃度依存性の結果は理論とコンシステントなのか?ファイさんのscreened HFの計算が傾向をよく再現しているが、励起状態のピークの問題、荷電励起子の問題はどう扱われる? 個人的に知りたいこと アクセプター発光で、フェルミ端にピークが出るのはFES効果で説明できるが、バンド端の発光が消えるのはどのように説明されるのか? BGRのオーダーはどの程度か?(Ef~1meVで、EBGR~13meVという値はあり得るか) Mott転移の描像は、実験結果を説明しうるのか? ホールサブバンドごとにBGR効果が働くと考えていいものなのか。 今後の課題 何よりも論文、2Dとの違い、電子正孔系、アクセプター準位からの光吸収、吸収絶対値での比較
おまけ 二次元電子系のPL・PLEの濃度依存性 high Electron density low
おまけ 単一細線レーザーの利得スペクトル 電子正孔濃度依存性 おまけ 単一細線レーザーの利得スペクトル 電子正孔濃度依存性 Analyzed by Haaki & Pauli high Regard αi = 0 Electron hole density low
論文データ
※ H. Itoh et al, App. Phys. Lett. 83, 2043 (2003). ホールサブバンドの励起状態 #3 or #6 ? #1 #2 ※ H. Itoh et al, App. Phys. Lett. 83, 2043 (2003). Ground state corresponds to #1 1st excited state corresponds to #2 2nd excited state corresponds to #3 or #6 ??
1D DOS & FES 計算式
1D DOS & FES 計算式 フェルミ端のべき発散を考慮 自由粒子モデル me mh ΓDOS ΓFES β T μ 100(60) Whar occurs if – I will show you – This is one of – They calculated – Dotted line – Solid line – Band bottom singularity – The structure at Fermi edge depends on – Thus, They claimed – me mh ΓDOS ΓFES β T μ 1 1002 0.35 0.3 -0.5 0.8 6
’90年代の研究 ~Rodriguez らの理論計算 mh=4me mh=1000me
それぞれの実験のポイント 発光においては、Band端やFermi端のピークが出たり出なかったりする。 PL PLE 特徴 Band端 Fermi端 Calleja’s wire Ef=4.8meV、間接遷移、太い 構造揺らぎ大 (no ?) (Peak ?) ? (Sharp ?) Oberli’s V-groove wire Ef=25meV、構造揺らぎ大 サブバンドとFermi端が共鳴 Peak Broad Our doped Twire Ef=6meV、高品質、細い(1D limit) no Sharp (非縮退) +Accepter Ef=6meV、高品質、細い(1D limit) 正孔はAcceptorに局在 発光においては、Band端やFermi端のピークが出たり出なかったりする。 正孔の局在や高次サブバンドとの共鳴がキーポイントのようだ。 Ogawaら、Hawrylakら、Rodriguezらの理論との関与は!?
PL and PLE overview
How to measure PLE
Band diagram
通常ドープ細線 Energy plot
アクセプタードープ細線 Energy plot
イントロダクション ~ ドープ細線の研究 90年代の実験 イントロダクション ~ ドープ細線の研究 90年代の実験 J. M. Calleja, et al, Solid State Commun. 79, 911 (1991). M. Fritze et al., Phys. Rev. B 48, 4960 (1993). 90年代の理論 T. Ogawa et al, Phys. Rev. Lett. 68, 3638 (1992). P. Hawrylak, Solid State Commun. 81, 525 (1992). F. J. Rodriguez et al, Phys. Rev. B 47, 1506 (1993) 47, 13015 (1993). 最近の実験 D. Y. Oberli et al, Physica E 11, 224 (2001). 我々の実験(ドープ細線、アクセプタードープ細線) ⇒ 現在 論文執筆中 (理論面の助言を頂けると嬉しいです)