3. 可制御性・可観測性.

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3. 可制御性・可観測性

入出力付きシステム 入出力付きシステム: x … 状態ベクトル ( n) u … 入力ベクトル ( m) y … 出力ベクトル ( ) A … n  n行列, B … n  m行列, C …   n行列, D …    行列 通常、D = 0 のケース(直達項が無い場合)を考えることが多い。 D  0 でも、y’ = y - Du という仮想的な出力を考えればよい。

解の公式 システム の解 x(t) を求める公式: y(t) を求める公式:

座標変換後も、さまざまな性質が保存される。 状態の座標変換 状態の定義を変えることによって、入出力の関係を変えずに、別な形のシステムに変換することができる。 元のシステム 座標変換 (T は変換行列で正則でなくてはならない) 新しいシステム 座標変換後も、さまざまな性質が保存される。

可制御性・可観測性の概念 入力 u を直接操作し、システムの状態 x を狙ったように動かすことが、「制御」 制御すべき x が出力 y から「観測」できることが前提。 「安定性との関連」 もし、可制御でなければ、系を安定化できないかも…。 もし、可観測でなければ、出力を安定化しても系の内部状態は発散するかも。 システムの状態を入力で動かすことができるか? … 可制御性 システムの状態を出力から推定することが出来るか? … 可観測性

可制御ではない/可観測ではない系とは 可制御でない系とは…. たとえば、座標変換で次のような形になるシステム 可観測でない系とは…. 閉じているシステム x2の影響を受けない x1だけが見える

可制御性の定義 任意の初期点 xs から、原点に有限時間内に到達可能な入力 u(t) が存在すれば、システムは可制御であるという。 原点から、任意の点 xf に有限時間内に到達する入力 u(t)が存在すれば、システムは可到達であるという。 連続時間線形系では、 (可制御性) = (可到達性) ただし、離散時間線形系(3年前期授業で習うはず)では、 (可制御な系)  (可到達な系)

可観測性の定義 ある時間 tf が存在して、0  t  tf の入出力のデータから、システムの初期値 x0 を一意に定めることが出来るとき、システムは可観測であるという。 系の線形性より、 「入力が 0 のとき、ある時間 tf が存在して、0  t  tf の出力のデータから、システムの初期値 x0 を一意に定めることが出来るとき、システムは可観測であるという。」 と言い換えても良い。

可制御性の条件 [定理] 以下の4つの条件は等価である。 システム が可制御である。 可制御性行列がフルランクすなわち システム        が可制御である。 可制御性行列がフルランクすなわち となること。(条件1) 可制御性グラミアン が正則であること。 (条件2) すべての複素数 l に対して、 となること。 (条件3)

条件2の十分性 Wc(t1) が正則とする。 そのとき、入力 が存在し、 となる。 (条件2) → 可制御性

条件2の必要性 Wc が正則でないならば、非ゼロベクトル z が存在して、Wc(t)z = 0 (t  0)。 よって、 となり、zTe-tAB = 0 (t  0)。一方、可制御だと仮定すると、入力 u(t)が存在し、初期状態 z から、0に移すことができる。 したがって、 となるが、これは矛盾であり、可制御ならばWc は正則でなくてはならない。 可制御性 → (条件2)

条件1の十分性 条件2が成り立たないとすると、 s(t) = zTe-tAB = 0 (t  0)。 これは恒等式なので、何回微分しても0。 これをまとめると、 よって、可制御性行列のランクはn – 1次以下である。これの対偶をとれば、条件1が成り立つならば条件2が成り立つことがいえる。 (条件1) → (条件2)

条件1の必要性 可制御性行列がフルランクでないとすると、非ゼロのベクトル z が存在し、 となり、ケーリー・ハミルトンの定理より、zTB = 0, zTAB = 0, zTA2B = 0,…。 行列指数関数の定義より、 zTe-tAB = 0。 すると、 となり、可制御性グラミアンは非正則となる。これの対偶を取ると、条件2が成り立つならば条件1が成り立つことがいえる。 (条件2) → (条件1)

座標変換と可制御性 元のシステム 座標変換: z = Tx 変換後のシステム 元のシステムの可制御性の条件: 変換後のシステムの可制御性の条件: 「可制御性は、座標変換に対して不変」

可観測性の条件 次の4つの条件は同値である。 システム は、可観測である。 ランク条件 を満たす。(条件1) 可観測性グラミアン システム は、可観測である。 ランク条件 を満たす。(条件1) 可観測性グラミアン が正則。(条件2) 全ての複素数 l に対して、 となる。(条件3)

可観測性グラミアンが正則(条件2) 可観測性 条件2と可観測性の等価性の証明 y(t) = CetAx0 の左から (CetA)T を掛けて積分すると、 よって、 WO(t) が正則ならば、 と x0 が決定できる。(十分性の証明終わり) 逆にWO(t) が非正則ならば、非零のベクトル z が存在して、 WO(t)z = 0 となる。 であるから、CetAz = 0 (t  0) 。これは、初期値が z であるときに、出力が恒等的にゼロであることを意味しており、初期値が原点にある場合と区別できず、可観測性が成り立たない。(必要性の証明終わり) 可観測性グラミアンが正則(条件2) 可観測性

条件1の十分性の証明 WO(t) が非正則なら、非零ベクトル z が存在し、s(t) = CetAz = 0 (t  0)。 よって、 となり、可観測性行列のランクは n 未満である。この対偶を取ると、条件1の十分性がいえる。 (条件1) →(条件2)

条件1の必要性 可観測性行列のランクが n 未満であると仮定すると、非ゼロのベクトル z が存在して、 となる。ケイリー・ハミルトンの定理より、Cz = 0, CAz = 0, CA2z = 0,…がいえる。したがって、CeAtz = 0 (t  0)となり、これより、 となり、可観測性グラミアンは非正則となる。この対偶をとると、条件1の必要性がいえる。 (条件2) →(条件1)

可観測性と座標変換 可制御性と同様に、可観測性も座標変換に関して不変である。 このことを確かめる。 システム: 可観測性行列: システム: 可観測性行列: 座標変換: z = Tx 変換後のシステム: 変換後の可観測性行列: ランクが一致

双対システム システム に双対なシステム: (S1)が可制御 (S2)が可観測 (S1)が可観測 (S2)が可制御 双対システムの意味は、後で習う伝達関数を計算すれば明らかになる。 1入力1出力系の場合、双対システムは同じ「入出力関係」を持つ。

双対システムと座標変換 元のシステム 双対システム 座標変換 座標変換

可制御正準分解 となっているとしよう。すると、(n - r)  n 行列 P が存在し、 となる。ただし、rank P = n – r である。ケーリー・ハミルトンの定理より、 が成り立つから、 (n - r)  (n - r) 正則行列 A3 が存在して、 PA = A3P と書ける。ここで、z2 = Px とおくと、 次の座標変換を考える。 ただし、rank T = n となるように Q をとる。すると、変換後のシステムは、 の形になる。(可制御正準分解)

可制御正準分解されたシステム 可制御正準分解されたシステム: z1 … 可制御な状態変数 (一意ではない) z2 … 不可制御な状態変数 可制御正準分解されたシステムの可制御性行列 上の m 行はフルランク

可観測正準分解 とする。すると、r  n フルランク行列 P とnl  r フルランク行列 K が存在し、 とできる。ただし、l は出力の次元。ケーリー・ハミルトンの定理より、 r  r 正則行列 L が存在して、KPA = KLP となる。K はフルランクなので、PA = LP。 次に、座標変換 z = Tx (T は正則) を考える。ここで、T は の形をしているものとする。     とすると、 PS = 0 となる。 ただし、S は n  (n – m) 行列。座標変換後のシステムを、 とおくと、G = PAS = LPS = 0, D = CS = K1PS = 0。ただし、K1 はK の最初の l 行を取り出した行列。 可観測正準分解:

可観測正準分解されたシステム 可観測正準分解されたシステム: z1 … 可観測な状態変数 可観測正準分解されたシステムの可観測性行列

可制御正準形 1入力で可制御なシステム を考える。 となる、ベクトル p を考える。 1入力で可制御なシステム を考える。         となる、ベクトル p を考える。 もし p = 0 ならば可制御性と矛盾するので、 p は非ゼロベクトルである。 座標変換行列 を考えると、 であるから T は正則行列 。 変換後の 可制御性行列

可制御正準形 (続き) z = (z1,…,zn)T = Tx とおくと、 ただし、ai は A の特性多項式の係数で、 ケーリー・ハミルトンの定理 可制御正準形:

可観測正準形 可制御正準形の相対システムを考える。 元のシステム (1出力・可観測なシステム): 座標変換: s は非ゼロベクトルで、 可観測正準形:

コンパニオン行列 コンパニオン形式:       あるいは、 コンパニオン行列の特性多項式は、

可制御・可観測正準形の役割 可制御(可観測)ならば、1通りに定まる。 正準形(canonical form)という言い方ではなく「標準形」ということもある。 正準形では、特性多項式の係数が現れる。 可制御正準形は、極配置などで使われる。 可観測正準形は、オブザーバ設計などで使われる。 その他、正準形が使われる局面は多い。 しかし、… 正準形を計算機で扱うとき、数値誤差がたまりやすいことが多々ある。 理論は正準形で考えたほうが都合が良くても、実際の計算は正準形を経由しないほうが良い場合が多い。