ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発

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ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
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ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 ○竹腰達哉、南谷哲宏、徂徠和夫 (北海道大)、中坪俊一(北大低温研)、川村雅之、河野孝太郎 (東京大) 大島泰、田村陽一、江澤元、川辺良平 (国立天文台) 科学目標 AzTEC on ASTE(2007-2008) 1.1mm連続波観測 多数のサブミリ銀河を検出! 新しい連続波カメラによる多波長観測 多数のサブミリ銀河に対する赤方偏移の推定 を目指す! Sunyaev-Zel’dovich効果を用いた遠方銀河団の超高温成分の温度の推定 銀河系内の分子雲コアや近傍銀河のGMC中の低温ダスト成分の物理量の導出 ASTE 搭載用多色ボロメータカメラの概要 ASTE望遠鏡 性能緒元 サブミリ波望遠鏡 チリ, アタカマ砂漠 標高4860mに設置 カセグレン光学系 主鏡直径 10m 鏡面精度 19μm 指向精度 2” rms 連続波カメラの概要 国立天文台ATC・UC Berkeleyと協力して開発 冷凍機: パルスチューブ冷凍機 + 3He-4He吸着式冷凍機 ボロメータ: 超伝導遷移端センサー(Transition Edge Sensor, TES) 読み出し: SQUIDによる周波数分割Multiplex方式 光学系:ASTEに最適なボロメータカメラ光学系を設計 多素子化が可能 視野 7.5分角 2波長帯同時観測 バンド定義 Wavelength (mm) Brightness of galaxy (mJy) 1 billion years after the Big Bang 3 billion yr 6 billion yr 1.1mm 450μm 850μm Atacama Submillimeter Telescope Experiment 国立天文台+大学連合 特別推進研究 「超広帯域ミリ波サブミリ波観測による大規模構造の進化の研究」 研究代表者:河野孝太郎 光学素子の構成 Dichroic filter 周波数分割メッシュフィルター 多色同時観測の実現 Lyot stopを兼ねることで省スペース化 誘電体レンズ telecentric光学系の実現 素材: HDPE(高密度ポリエチレン) Grooveによる反射防止加工 ホーンアレイ コニカルホーンをアレイ化 効率的な観測を実現! HDPEレンズ 搭載計画 270GHz(1.1mm)帯: 244 - 294 GHz (40GHz幅) 350GHz(850μm)帯: 330.5 – 365.5 GHz (35GHz幅) 670GHz(450μm)帯: 630 - 710 GHz (80GHz幅) Phase I II III 搭載時期 2010/10 2011/6 2012/6 バンド数 2 周波数帯 270/350GHz 350/670GHz 波長帯 1100/850μm 850/450μm バンド幅 40/35GHz 35/80GHz 画素数 169/271 271/881 FWHM 28/22” 22”/11” 視野 7.5’ NEFD 10/35mJy/√s 35/80mJy/√s ホーンアレイ 周波数 開口直径 2θ フレア長 F/#horn edge lv. band1 270GHz 3.65mm 12.7° 16.50mm 2.525 -2.99dB~-4.84dB band2 350GHz 3.233 -3.08dB~-4.99dB 第2世代 670GHz 1.815mm 8.205mm -2.79dB~-4.50dB TESの素子間隔(3.9mm) 開口直径 フレア長 カットオフ周波数 導波管直径: 270GHz:φ0.717mm 350GHz:φ0.531mm 光学系の設計 物理光学による評価 物理光学によるLyot stopのサイズ決定 4Kの開口絞りをDichroic filterともに設置 エッジレベルの小さな光学系  300Kからの漏れ込みを減らすことが重要 Lyot stopを幾何光学設計値から絞り、各光学素子のスピルオーバーをGRASP9で計算 GRASP9を用いた物理光学解析 レンズやLyot stop、デュア窓の効果を考慮 薄レンズ近似した等価な反射光学系を解析 ZEMAXによる光学系の設計 幾何光学系の設計ソフトZEMAXを用いた設計 デュア内光学系 全体図 270GHz skyを除いた光学系起源のノイズとLyot stopのサイズとの関係 Lyot stopを85%まで絞ったとき、 漏れ込みが十分小さい 素子間でノイズが変わらない さらに、光軸のズレに対しても強くなる 開口能率に対する光学系からの漏れ込みとLyot stopのサイズの関係 Lyot stopは85%が最適 Field No. Gain Beam efficiency position HPBW Sidelobe level Cross pol Field1 84.62dB 36.23% 2.52''x0.00'' 27.72''x28.80'' -17.60dB 32.04'' -34.61dB Field2 84.70dB 36.91% 225.72''x0.00'' 27.00''x26.64'' -16.36dB 43.92'' -34.60dB Field3 84.06dB 31.84% 237.60x0.00'' 29.88''x28.80'' -17.08dB 47.52'' -34.78dB Field4 84.52dB 35.45% 10.44''x232.20'' 27.72''x28.08'' -17.91dB -29.01dB 270GHz front 270GHz 350GHz 670GHz エアリーディスク 回折限界で決まる分解能 Spot diagram 6.8mm 3.6mm 6.7mm Field No. Gain Beam efficiency position HPBW Sidelobe level Cross pol Field1 86.89dB 36.40% 2.52''x0.00'' 21.24''x22.32'' -17.33dB 33.12'' -33.88dB Field2 86.88dB 36.29% 225.72''x0.00'' 20.88''x21.60'' -16.03dB 33.84'' -34.25dB Field3 86.27dB 31.51% 237.60''x0.00'' 23.04''x22.32'' -17.21dB 36.00'' -34.33dB Field4 86.73dB 35.07% 10.44''x232.20'' 21.24''x21.96'' -18.17dB 34.20'' -28.70dB 350GHz 幾何光学系の評価 Spot diagram: エアリーディスクより十分小さく結像すればOK Strehl比: 収差がない場合とのピーク強度の比、≳0.8で無収差 Strehl比 Field No. Gain Beam efficiency position HPBW Sidelobe level Cross pol Field1 92.21dB 33.83% 2.52''x0.00'' 11.16''x11.52'' -16.67dB 17.28'' -35.00dB Field2 33.76% 225.72''x0.00'' -15.21dB 16.20'' -35.06dB Field3 91.46dB 28.41% 237.60''x0.00'' 11.88''x11.52'' -16.87dB 19.80'' -35.14dB Field4 91.68dB 29.92% 10.44''x232.20'' 11.52''x11.52'' -18.61dB 17.64'' -28.42dB 670GHz M3修正楕円鏡 ZEMAXで最適化を実行 Field(dAz, dEl) 670GHz 350GHz 270GHz 1(0’, 0’) 0.927 0.979 0.987 2(-3.25’, 1.13’) 0.883 0.966 0.980 3(3.75', -1.13') 0.972 0.992 0.995 4(-1.13, -3.25’) 0.828 0.948 0.969 5(1.13', 3.25') 0.949 ビームサイズ 有効開口径8.5m, エッジレベル-4dBとconsistent ビームパターンも問題なし! 全ての視野方向、観測周波数帯で0.8以上 結論 幾何光学を用いて1100μm帯で169素子、850μm帯で271素子、450μm帯で881素子で、視野7.5’角、2波長同時観測可能な光学系を設計した。 光線追跡シミュレーションにより、すべての視野、周波数帯においてストレール比が0.8以上を満たす、十分な結像性能を持つ光学系であることを示した。 物理光学シミュレーションによって、Lyot stopのサイズが幾何光学の85%のとき光学系起源のノイズに対する天体からの信号の比が最大になることを示した。また、開口能率、ビームパターンなどを調べ、十分な性能を得られることを確認した。 2010年後半ASTE搭載予定! 結像性能は問題なし! 300Kからの放射を減らすため、直径560mmのミラーを使用 参考文献 Ade, P.A.R. et al. 2006, Proc. of SPIE, 6275 Ezawa, H. et al. 2004, Proc. of SPIE, 489, 763 Goldsmith, P.F. 1998 Lamb, J.W. et al. 1996, IJIMW, 17, 1997 Matsushita, S. et al. 1999, PASJ, 51, 603 Tamura, Y. et al. 2009, Nature, 459, 61 Wagner-Gentner, A. et al. 2006, 48, 249 Wilson, G.W. et al. 2008, MNRAS,386,80