第8回(山本晴彦) 光学的計測法による植物の生育診断 光環境と植物 第8回(山本晴彦) 光学的計測法による植物の生育診断
光合成色素 色素 含有植物 吸収波長 クロロフィルa クロロフィルb クロロフィルc クロロフィルd 全植物 高等植物・緑藻類 褐藻類・珪藻類 紅藻類 赤,紫~青 フィコシアニン ラン藻類・紅藻類 橙~赤 フィコエリトリン 緑 カロチノイド (カロチン) (キサントフィル) 青,緑
個葉における光のゆくえ 葉緑体は光合成の場で、チラコイドでは光エネルギーの取り込みや水の分解が、ストロマでは二酸化炭素を取り込んで炭水化物の合成が起こる。 H2Oの取り込み 表面反射 入射 内部反射 吸収 CO2の取り込み H2Oの放出 透過 気孔:イネで約300個/mm2
植物群落における光のゆくえ 入射:100 反射率:r α=100 – r – τ+(0.01rs×τ) 吸収率: α 土壌面で反射した比率 吸収されない 吸収率: α 土壌面で反射した比率 透過率: τ 土壌面反射率:rs 反射 (Reflectance : R) 透過 (Transmittance :T) 吸収(Absorption : A)
光合成色素の吸収スペクトル (BIDWELL,1979) (-・-・-) 光合成色素の吸収スペクトル (BIDWELL,1979) 植物色素の光選択吸収性
イネの葉に含まれる光合成色素による吸収率(1枚の葉の吸収率に対する各色素の寄与率を表わす) (INADA、1980) 緑色で反射率大 反射率 透過率 近赤外域で 反射率大 イネの葉に含まれる光合成色素による吸収率(1枚の葉の吸収率に対する各色素の寄与率を表わす) (INADA、1980)
葉緑素計(SPAD-502) イネの葉に含まれている葉緑素量を、葉をいためることなく簡単に測定できます。
複層葉におけるスペクトルと反射率との関係 9枚 ダイズ 近赤外域における反射率の増加 1枚 反射率(%) 可視域における反射率の維持 波長(nm) 複層葉におけるスペクトルと反射率との関係
ダイズのSLW(面積重)の積算値と反射率との関係 1100nm ダイズ 波長により,SLWの積算値が異なる 反射率(%) 750nm 近赤外域 拡散反射光の増加 枚 SLW(面積重)の積算値 ダイズのSLW(面積重)の積算値と反射率との関係
葉緑素値の異なる複層葉の分光反射特性 Leaf A:低い葉緑素値 Leaf B:高い葉緑素値 1 2 1 2 入射光 反射光 上層葉 下層葉 反射率(%) 入射光 反射光 1 波長(nm) Leaf A:低い葉緑素値 上層葉 下層葉 Leaf B:高い葉緑素値 2 反射率(%) 1 Leaf B:高い葉緑素値 上層葉 下層葉 2 Leaf A:低い葉緑素値 可視域 上層葉のスペクトルに依存 近赤外域 複層葉のスペクトルに依存 波長(nm) 葉緑素値の異なる複層葉の分光反射特性
SLW(面積重)と近赤外域の反射率との関係 サツマイモ ダイズ クワ SLWが同じでも近赤外域の反射率が異なる→葉内の組織構造などが拡散反射に影響 反射率(%) SLW(面積重)と近赤外域の反射率との関係
ダイズ群落における分光反射率の推移 近赤外域 高 低 可視域 低 高 低 高 近赤外域 可視域 葉面積指数 葉面積の増減による反射率の変化 反射率(%) 可視域 可視域 クロロフィル含量の増減による反射率の変化 低 高 低 高 波長(nm) 測定日 ダイズ群落における分光反射率の推移
反射率850nmと反射率650nmの比と葉面積指数の関係 従来は,解体調査により求めていた葉面積指数 ↓ 2つの波長(850nm, 650nm)を測定することにより,非破壊的手法により推定が可能と 繁茂 葉面積指数:4.7 葉面積指数 850nmと650nmを測定 比率を計算:20 疎 反射率850nmと反射率650nmの比と葉面積指数の関係
葉内水分量の異なる葉における反射率の変動 水分の吸収域 乾燥 反射率(%) 湿潤 緑葉の反射率と水の吸収率 波長(nm) 葉が乾燥(水分が減少する) ↓ 近赤外域では反射率が増加 水分の吸収域 反射率(%) 波長(nm) 葉内水分量の異なる葉における反射率の変動
1496nmの反射率(%)と葉内水分量の関係 波長と決定係数の関係 重相関係数(R) 波長 葉内水分量 反射率(1496nm) 1496nm 決定係数が低い 波長 波長と決定係数の関係 10 mg/cm2 葉内水分量 38% 反射率(1496nm) 1496nmの反射率(%)と葉内水分量の関係
葉内水分量を推定するために選択された波長と重相関係数・標準誤差(ダイズの場合) 選択された波長(nm) 重相関係数(R) 標準誤差
非破壊分析法の概念 大型試料の反射スペクトル測定装置 透過法 反射法
農業分野での近赤外分光法の利用