近赤外線サーベイによるマゼラニックブリッジの 前主系列星探査

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近赤外線サーベイによるマゼラニックブリッジの 前主系列星探査 西山正吾 (国立天文台)、 波場泰昭、 加藤大輔、佐藤修二 (名古屋大) IRSF/SIRIUSグループ

The IRSF Magellanic Clouds Point Source Catalog 2/17 LMC, SMC, マゼラニックブリッジの点源カタログ (Kato et al. 2007, PASJ, 59, 3016) 点源数 LMC ~1500万 SMC ~300万 ブリッジ ~40万 2MASS 限界等級 限界等級 J : 18.8 H : 17.8 Ks : 16.6

Magellanic Bridge 3/17 optical SMC LMC

Magellanic Bridge 4/17 HI 64m radio telescope of the ANRAO at Parkes SMC LMC Hindman et al. (1963)

Magellanic Bridge 5/17 LMC SMC HI Putman et al. (1998)

Magellanic Bridge 6/17 LMC SMC HI Putman et al. (1998) Stellar Link between the MCs (e.g., Irwin et al. 1990) LMC, SMC, Milky Way の近接相互作用 (~0.2Gyr前 )が起源 (e.g.,Murai & Fujimoto 1980) LMC (銀河系の~1/3), SMC (~1/10)より低金属量? (e.g., Rolleston et al. 1999, Lee et al. 2005) 若い主系列星 (B型星, Demers & Battinelli 1998)、CO (Muller et al. 2003, Mizuno et al. 2006) など  →ブリッジ形成後の星形成

ブリッジの近赤外線観測 →前主系列星(Herbig Ae/Be)の探査 Magellanic Bridge 7/17 LMC SMC HI Putman et al. (1998) 低金属量環境での星形成 銀河の衝突によるブリッジの形成、星形成の誘発 矮小銀河の形成を見ている? (Wiklind 2002) ブリッジの近赤外線観測        →前主系列星(Herbig Ae/Be)の探査 (2MASS以外はほぼ皆無、~5M◎のHerbig Ae/Beまで)

Observation 領域 : 3˚ x 1.3˚ (赤枠内) IRSF/SIRIUS (南アフリカ天文台サザーランド観測所) 8/17 領域 : 3˚ x 1.3˚ (赤枠内) IRSF/SIRIUS  (南アフリカ天文台サザーランド観測所) 限界等級 [mag] J : 19.0 H : 18.0 Ks : 17.2 HI (Putman et al. 1998) LMC SMC マゼラニック・ブリッジ 本サーベイ領域は、赤枠内3°x 1.3°の領域です。 観測期間は、2004年8月から翌3月、および7・8月です。 IRSF/SIRIUSは、ピクセルスケールが0‘’.45、視野が7‘.7 x 7’.7、 限界等級はJバンド1.2ミクロンが19.0等、Hバンド1.6ミクロンが18.0等、Ksバンド2.1ミクロンが17.2等です。 この限界等級で検出できる、ブリッジの星を以下に示します。

赤外超過天体 (Herbig Ae/Be候補) の選出 Results 9/17 近赤外2色図 背景の銀河 系内の巨星・矮星 マゼランの星 矮星枝 巨星枝 赤外超過天体 (Herbig Ae/Be候補) の選出

Results 10/17 赤外超過天体の 選出条件 測光誤差≦0.1等 J≧13.4等 J-H<0.2 矮星枝より右下 近赤外2色図 赤外超過天体の 選出条件 測光誤差≦0.1等 J≧13.4等 J-H<0.2 矮星枝より右下 OB型星のエラーサークルより外 203個の 赤外超過天体 矮星枝 巨星枝

Discussion 11/17 Herbig Ae/Be型星はいくつ? 他の天体の混入 AF型矮星 (系内) OB型星 (マゼラン) 近赤外2色図 他の天体の混入 AF型矮星 (系内) OB型星 (マゼラン) Classical Be型星 (マゼラン) 矮星枝 巨星枝

Discussion 12/17 Herbig Ae/Be型星はいくつ? 他の天体の混入 AF型矮星 25個 OB型星 50個 近赤外2色図 他の天体の混入 AF型矮星 25個 OB型星 50個 Classical Be型星         47個 矮星枝 巨星枝 ~80個の Herbig Ae/Be型星 203個の 赤外超過天体

Discussion 13/17 Herbig Ae/Be型星候補とHIの分布

Discussion NGC796 (Jバンド画像) 14/17 SMC-ブリッジ領域で最も若い星団のひとつ (数Myr, Ahumada et al. 2002) 若い(<10Myr)星団中にClassical Be星は  ほとんどない  (Fabregat & Torrejon 2000, McSwain & Gies 2005) ○ : Herbig Ae/Be型星候補(6) ■ : OB型星候補 (5)

8-20Msun for LMC (Lamers et al. 1999) Discussion 15/17 J-Ks vs J 色等級図 ■ Herbig Ae/Be in SMC      (de Wit et al. 2003) ▲ Herbig Ae/Be in LMC     (de Wit et al. 2005) 20M◎ 10M◎ 5M◎ 3M◎ 質量の見積もり(Hillenbrand et al. 1992) Group I/II 3-20Msun 10M◎ 20M◎ 30M◎ Group III 10-30Msun (注) lower limitは観測限界 8-20Msun for LMC (Lamers et al. 1999)

マゼランブリッジのHerbig Ae/Be型星は明るい? Discussion 16/17 マゼランブリッジのHerbig Ae/Be型星は明るい? HR図上のLMC Herbig Ae/Be 候補(Lamers et al. 2003) 10-4 Msun yr-1 10-5 Msun yr-1 なぜ? 低金属量だから? (Beaulieu et al. 1996, Lamers et al. 1999) ダスト少→早い段階で見える 降着率大→birthline↑ (Panagia et al. 2000, Romaniello et al. 2004)

Conclusion & Future work 17/17 マゼランブリッジの近赤外線サーベイ 2色図(J-H,H-Ks)によるHerbig Ae/Be型星                    候補の初検出 約200個の候補星、4割はHerbig Ae/Be型星 ブリッジのHerbig Ae/Beは明るい? 現段階ではまだ Herbig Ae/Be“候補星”                変光・偏光・分光・測光(M-FIR)等で識別可? 同領域の測光(可視)観測                    →Association/field starのCMD, 背後のQSO探査