地球内部物理化学 2012年度 実験科学としての地球の物質科学を学ぶ。 1.地球の弾性的性質: Elasticity:3+α回

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4・6 相境界の位置 ◎ 2相が平衡: 化学ポテンシャルが等しい     ⇒ 2相が共存できる圧力と温度を精密に規定     ・相 α と β が平衡
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
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バーチの法則と状態方程式 バーチの法則 Vp= a(M) + br Vp(km/sec) = r (g/cm3)
マントルゼノリス(マントル捕獲岩)からの推定:
地球惑星物性学1 ( ~) 参考文献: 大谷・掛川著 地球・生命 共立出版
生命起源への化学進化.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
課題 1 P. 188.
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第3章 地球物質とその性質.
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マントルゼノリス(マントル捕獲岩)からの推定:
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第3章 地球物質とその性質.
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
第3章 地球物質とその性質.
熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
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地球内部物理化学 2012年度 実験科学としての地球の物質科学を学ぶ。 1.地球の弾性的性質: Elasticity:3+α回 地球内部物理化学 2012年度 実験科学としての地球の物質科学を学ぶ。 1.地球の弾性的性質: Elasticity:3+α回 2.地球物質の流動特性: Plasticity, Rheology :3+α回 3.地球内部の相転移: Transformation: 2回 4.融解・マグマ・地球内部の分別作用: Melting, Fractionation:2回 試験:最終回、地球内部物理化学の要点を配布 参考書 共立出版「地球・生命」 大谷・掛川著       共立出版

マントルのレスポンス マントルは固体であるが、 流体的な性質も持っていて、時間スケールの違いにより異なったレスポンス・挙動を示す。 ⇒ マントル内を伝播する地震波(短い時間   でのレスポンス、~105秒以下)は、弾性波の波動方程式で表現される。 ⇒ 長い時間(> p・107秒)では、流体運動を    表す方程式で記述することができる。 2

地球物質の二面性: レオロジー 弾性体 破壊 地震波: Vp, Vs (VSH, VSV) 地震断層 0.1~10 sec 1秒 10秒 地球物質の二面性: レオロジー 弾性体 破壊 地震波: Vp, Vs (VSH, VSV) 地震断層 0.1~10 sec 1秒 10秒 100秒 数時間 半日 1日 表面波:  レイリー波とラブ波 自由振動 潮汐: 地球潮汐(Earth Tide) 12h25min, 23h56min      海洋潮汐(Ocean Tide)    太陽潮汐  月潮汐: 潮汐の歪が地震を誘発:         ダム直下の微小地震、月震(地球による潮汐)        木星によるイオの潮汐:マグマ活動 10~500 sec 100~5000 sec 力の加わる周期 数万年 スカンジナビア半島の隆起 北米ローレンタイドの隆起 2x1011 sec マントル対流 ~10 cm/year 粘性流体 流動 5x1011 sec

地球物質の弾性的性質 と地球の不均質性 断熱温度勾配 静水力学的平衡 アダムス・ウイリアムソンの式 地球内部の不均質: 不均質パラメータ

Internal structure of the Earth Water in the Earth: The amount of ocean is 1.4x10 21 kg (0.02 wt.% of the Earth’s mass) Internal structure of the Earth Inner core Outer core Lower mantle Upper mantle Crust 10

Mundus Subterraneus (1665) Internal structure of the Earth was speculated in 17th century Mundus Subterraneus (1665) (『Underground world』) After Athanasius Kircher: 1602-1680 6

Graphics courtesy of E. Garnero

Vp, Vs (km/sec), r (g/cm3) 2

Seismic tomography Anommaly of Vp High Vp (Low T) Low Vp(High T) +1% -1% Anommaly of Vp

地球内部の温度の推定 1.地温勾配と地殻熱流量 Q=KdT/dZ ~ 1x10-6 cal/cm2 sec ~ 4.2x10-2 J/sec m2 = 1 HFU K(熱伝導率)~5x10-3 cal/cm sec K したがって dT/dZ~ 20 K/km 2.地質温度計 Geothermometer 輝石の化学組成と相平衡図から温度を推定:輝石温度計(pyroxene geothermometer) 3.相転移境界の温度 410km(~1450C), 660km(~1600C) の地震波速度不連続面 4.下部マントルは断熱温度勾配 5.核マントル境界の温度:鉄・軽元素系の相関係、ソリダスが外核の下限、ケイ酸塩の融点が上限 6.鉄の融点:内核の温度の上限

135 GPa and 3000K at the core-mantle boundary, H, He, C, N, O 地球中心 365 GPa 6000 K Mg, Si, Fe 内核外核境界 330 GPa 5000 K 核マントル境界 135 GPa 3000 K 135 GPa and 3000K at the core-mantle boundary, 330 GPa and ~5000K at inner core-outer core boundary, 365 GPa and ~6000K at the center of the Earth. 5

断熱温度勾配 地球内部での断熱温度勾配 dT/dZ ad dT/dZ ad= (aVT/Cp)rg = gaT/Cp 断熱的な温度変化 =(∂V ∕ ∂ T)p(∂T ∕ ∂S)p = V(V-1 (∂V ∕ ∂ T)) T(T-1(∂T ∕ ∂S)p =aVT/Cp 地球内部での断熱温度勾配 dT/dZ ad 静水圧平衡の式 dP = rgdZ を用いて断熱温度勾配は dT/dZ ad= (aVT/Cp)rg = gaT/Cp マントルの断熱温度勾配を求めよ。マントルの物性値はα = 10-5 K-1、 g = 10 ms-2、T = 2000K、Cp = 103 J kg-1 K-1 とせよ。 dT/dZad= 0.2 K/km

2011Oct 21(Fri) 地球内部の温度分布と断熱温度勾配

Adams-Williamson equation 静水圧平衡 dP/dR=-rg dr/dR =(dr/dP)(dP/dR) =-(r/k)(rg) =-rg/f 断熱体積弾性率 地震パラメーター(バルク音速の2乗) =Vb2 均質な地球 Adams-Williamson equation Inhomogeneity (Bullen) parameter dr/dR=-h rg/f h=-(f/rg)dr/dR

地球内部の不均質パラメータの分布(PREM) 3 UM Lower Mantle Outer Core Inner Core TZ 2 Inhomogeneity parameter hB 1 -1 1000 2000 3000 4000 5000 6000 Depth, km

Inhomogeneity (Bullen) parameter dr/dr=-h rg/f h=-(f/rg)dr/dr 密度の増加は小さい 地表 中心 r h h=1 h>1 h<1 断熱温度勾配 h<1 h=1 密度 T 断熱温度勾配 密度の増加は小さい 地表        中心 h<1のとき アダムス・ウイリアムソンの式:断熱 rg f     h>1のとき -dr/dr= dr/dh >rg/f -dr/dr= dr/dh < 断熱変化より圧縮しにくい。 温度の上昇 大きな温度勾配を示す。 dr 断熱より圧縮的:例えば相転移

地球内部の描像: マントルの不均質性 地震学によるイメージ P波速度の不均質 リングウッドはメガリスの概念を提案 Megalith by A.E. Ringwood

Phase relation and kinetics of mantle minerals Island arc Ocean island Mid-Oceanic Ridge Ocean 410 km discontinuity 660 km 660 km discontinuity Dehydration in the lower mantle Lower mantle 2900 km Outer core 5150 km Inner core

CMB: Seismic wave anisotroy and/or ultra-low velocity Lay, Willims, and Garnero (1998) Origin of the core signature Walker et al. (2000) and Brandon et al. (2005): a coupled enrichment of 186Os/188Os and 187Os/188Os formed by the inner core crystallization. Addition of 0.5-1 wt.% of core metal to the D” layer can produce the signature observed in the plumes (Brandon et l., 2005). This mechanism can produce the isotopic signature of the outer core in the plume source at the base of the lower mantle. 3