Study of the Galactic Diffuse X-Ray Emission with the Suzaku Satellite

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Study of the Galactic Diffuse X-Ray Emission with the Suzaku Satellite 宇宙線研究室 内山秀樹 今回、このようなタイトルで学位申請しました内山です。よろしくお願いします。

イントロダクション

Galactic Diffuse X-Ray Emission (GDXE) COBE/DIRBE 近赤外1.25, 2.2, 3.5 μm ~1万光年 Sgr A* Sgr A*  銀緯 b (degree) 本学位論文ではGalactic diffuse X-ray emission, GDXEを対象とします。 こちらは恒星の分布をフォローする近赤外でみた我々の天の川銀河です。 %これらの星の運動中心には超巨大BH Sgr A*が存在します。 この天の川をX線でみると点源の他に銀河面にそって伸びる広がった放射、GDXEが見られます。 このX線放射の起源はX線天文学黎明期以来の謎となってきました。 RXTE/PCA 3-20 keV 銀経 l (degree) Revnivtsev et al. 2006 天の川銀河面に沿って伸びる広がったX線放射 起源はX線天文学黎明期以来の謎 (Cooke 1970 etc.)

Fe Kα 輝線放射の発見 「てんま」 「ぎんが」 ~1万光年 銀河面X線スペクトル 銀径方向Fe Kα輝線強度分布 |l| <1°, ~1千光年 Galactic center (GC)領域 Counts /sec /keV (Log) Fe Kα輝線強度 (Linear) Ridge 領域 ~1万光年 Fe Kα輝線 1 10 Energy 50 40 30 20 10 -10 -20 -30 -40 -50 「てんま」衛星はGDXEからFe Kα輝線を発見し、「ぎんが」衛星はFe Kα輝線が銀河中心領域、銀径約1°以内で特異に強く、また、銀河面方向に渡って数十度、銀河面と垂直な方向に約十度で広がることを明らかにしました。この中心領域,銀河面に広がった領域、銀緯方向に広がった領域を以後、GC,Ridge, bulge領域と呼びます。 Galactic longitude l (degree)  Koyama et al. 1989 Koyama et al. 1986 銀河面X線スペクトル 銀径方向Fe Kα輝線強度分布 →Bulge領域(銀緯方向)にも |b|<~10°で広がる (Yamauchi et al. 1993, Revnitzsev 2003)

「あすか」衛星:X線CCDカメラを初めて搭載 (Koyama et al. 1996) 25階電離鉄 (Fe XXVI) Kα 6.97 keV 中性鉄 (Fe I) Kα 6.4 keV Counts /sec /keV (Log) 24階電離鉄 (Fe XXV) Kα 6.7 keV 「あすか」衛星はGC領域スペクトルのFe Kα輝線を3本に分解し、24階、25階電離鉄、そして中性鉄のFe Kα輝線からなることを明らかにしました。 連続成分に対する輝線の強度を等価幅というもので表します。 24階電離鉄の等価幅は400eVになります。 等価幅 EW6.7~ 400 eV 5 6 7 8 9 Energy (keV)

高階電離Fe Kα輝線 Fe XXVI Kα/Fe XXV Kα輝線強度比 I6.9/I6.7 →プラズマの温度を反映 24 25 高階電離鉄輝線の存在は高温プラズマの存在を示唆します。 これはプラズマの温度に対する鉄イオンの存在比です。 24,25階電離鉄輝線の存在は数千万度のプラズマの存在を意味します。 また、輝線強度比はイオンの存在比を反映するため、プラズマ温度の指標となります。 GDXEの輝線強度は0.2-0.4であり、温度5-7 keVのプラズマに対応します。 プラズマ温度 Fe XXVI Kα/Fe XXV Kα輝線強度比 I6.9/I6.7 →プラズマの温度を反映 GDXEは I6.9/I6.7= 0.2 - 0.4 → kT= 5 - 7 keV

高階電離Fe Kα輝線の起源 (1) 未知のエネルギー源・プラズマ加熱源が 天の川銀河に存在する? 真に広がった超高温プラズマ Total Energy: 1056 erg (Kaneda et al. 1997) (銀河面からの脱出速度 ~数百 km/s) < (プラズマの音速 ~1500 km/s @ kT= 6 keV) →1 超新星爆発 / 10 yr のエネルギー供給が必要 若い超新星残骸 (SNR) : kT= 2ー4 keV (I6.9/I6.7 <0.1 ) この高階電離鉄輝線の起源としては主に二つの説があります。 一つは真に広がった超高温プラズマが天の川銀河を満たしている。 未知のエネルギー源・プラズマ加熱源が 天の川銀河に存在する?

高階電離Fe Kα輝線の起源 (2) 高階電離Fe Kα輝線の等価幅の大きい未知の暗い点源が存在? kT=1–25 keV 暗くて分解できない点源 白色矮星と恒星の連星 (激変星: CV) が候補天体 Luminosity LX=1029.5〜1033 erg s-1 太陽近傍で数は多い→ GDXEのLuminosityを説明可能 (Savanov et al. 2006) kT=1–25 keV (I6.9/I6.7 ~0.5) Fe XXV Kαの等価幅EW6.7 ~ 150 eV Counts s-1 keV-1 (log) TV Col (Ezuka & Ishida 1999) 5 7 9 Energy (keV) 高階電離Fe Kα輝線の等価幅の大きい未知の暗い点源が存在?

中性鉄Kα輝線 真に広がった冷たい (T~ 数十K) 中性ガス 6.4 光電離起源 電子衝突電離起源 Fe I Kα 等価幅 ~1 keV トムソン 散乱 制動放射 Fe I Kα 等価幅 ~300 eV Photon Flux (log) 5 10 5 6.4 10 Energy (keV) Energy (keV) 暗くて分解できない点源 激変星 (CV) プラズマからの光子が降着円盤・白色矮星表面で反射。 → Fe I Kα 等価幅 EW6.4 ~ 100 eV (Ezuka et al. 1999)

X線天文衛星すざく 日本で5番目のX線天文衛星 2005年7月10日鹿児島から打ち上げ (XRT+XIS)×4 + HXD FI×3+BI 搭載X線望遠鏡+CCDカメラの性能比較 衛星 有効面積 (cm2) @8keV エネルギー分解能 (eV, FWHM) @6keV 角度 分解能 Suzaku 500 150 ~ 200 2’ Chandra 40 200 ~ 400 0.’’5 低く安定したバックグラウンド →GDXEをはじめとする低輝度拡散X線放射の分光観測に優れる XIS (X線CCDカメラ)

GCとRidgeで高階電離Fe輝線の性質異なる? 最近のGDXE研究 「すざく」 GCとRidgeの高精度GDXEスペクトル取得 (Yamauchi et al. 2009) Fe XXV Kα (6.7 keV) GC GC |l|<1° Ridge |l|>8° Counts s-1 (log,arbitrary) Counts s-1 (log,arbitrary) Fe XXVI Kα (6.97 keV) 6 8 6 Energy (keV) Energy (keV) GC領域 0.38 ± 0.02 Ridge領域 0.22 ± 0.02 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα輝線強度比 I6.9/I6.7 GCとRidgeで高階電離Fe輝線の性質異なる? 銀径 l (degree)

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 「すざく」 GC領域 (|l|<0.4°、R~150光年) Koyama et al. 2009 0.2 0.0 -0.2 -0.4 0.1 -0.1 Galactic longitude l (degree) Galactic latitude b (degree) 0 200 400 600 800 Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) 0 200 400 600 800 1000 1200 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV)

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 「すざく」 GC領域 (|l|<0.4°、R~150光年) Koyama et al. 2009 _ ① Photon flux (log) 0 200 400 600 800 Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) ① Fe I Kα (6.4keV) Fe XXV Kα (6.7keV) 0 200 400 600 800 1000 1200 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) Energy (keV)

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 「すざく」 GC領域 (|l|<0.4°、R~150光年) Koyama et al. 2009 _ ② Photon flux (log) 0 200 400 600 800 Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) ① ② 0 200 400 600 800 1000 1200 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) Energy (keV)

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 「すざく」 GC領域 (|l|<0.4°、R~150光年) Koyama et al. 2009 _ ③ Photon flux (log) 0 200 400 600 800 Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) ① ② ③ 0 200 400 600 800 1000 1200 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) Energy (keV) 等価幅の反相関→Fe I Kα成分とFe XXV Kα成分に分離 EW’6.4 ~ 1200 eV → 光電離起源を示唆

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 「すざく」 GC領域 (|l|<0.4°、R~150光年) Koyama et al. 2009 _ ④ ④ Photon flux (log) 0 200 400 600 800 Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) ① ② ③ 0 200 400 600 800 1000 1200 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) Energy (keV) 等価幅の相関→Fe I Kα成分とFe XXV Kα成分に分離 EW’6.7 ~ 600 eV → 高温プラズマに典型的な値

Fe Kα輝線強度空間分布 GC領域→X線点源と空間分布は異なる Ridge・Bulge領域→ 近赤外と空間分布は一致 RXTE衛星 (Revnivtsev et al. 2006) すざく衛星 (Koyama et al. 2007) Fe Kα輝線強度銀径方向分布 X線点源 放射強度分布 放射強度 (log) Fe Kα輝線強度 (log) Fe XXV Kα 放射強度分布 0.2 -0.2 -0.4 Galactic longitude l (degree) 破線:近赤外 4.7 μm 100 50 -50 -100 Galactic longitude l (degree) GC領域→X線点源と空間分布は異なる Ridge・Bulge領域→ 近赤外と空間分布は一致

Chandra衛星 GC領域 (|l|<0°.2) 点源スペクトル (Muno et al. 2004) Fe I Kα (6.4 keV) Fe XXV Kα (6.7 keV) Fe XXVI Kα (6.97 keV) 2 4 6 8 Energy (keV) EW6.7 ~ 400 eV → 既知のCVより大、GDXEに匹敵

① GC・Ridgeをつなぐ中間領域でのGDXE Fe Kα輝線の性質は? Fe XXV Kαの空間分布 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα 輝線強度比 X線点源の等価幅 GC領域 |l|<1° X線点源とは 一致しない 0.3~0.4 EW6.7 ~400 eV Ridge領域 |l|>10° Bulge領域 |b|>1° 近赤外と 一致 中間領域 |l|=1°-3° 0.2 既知のSNRでは大き過ぎ 太陽近傍のCV EW6.7 ~150 eV EW6.4 v.s. EW6.7 反相関:EW’6.4 ~1000 eV ? ① GC・Ridgeをつなぐ中間領域でのGDXE Fe Kα輝線の性質は? ③ 強度比を説明できるSNRは存在しないのか? ② 中間領域の点源の性質・等価幅は? Fe XXV Kα輝線 Diffuse起源を示唆 点源起源を示唆

中間領域 →銀河の構造が移り変わる位置 Nuclear bulge (NB) Galactic disk (GD) Galactic 近赤外 中間領域 →銀河の構造が移り変わる位置 Nuclear bulge (NB) Galactic disk (GD) Galactic bulge ~3°、1200光年

解析 & 議論

解析データ ① GC・Ridge・Bulgeをつな領域でのGDXE Fe Kα輝線の性質は? 2005年9月~2009年3月 赤 0.5-2 keV 緑 2-5 keV 青 5-8 keV ① GC・Ridge・Bulgeをつな領域でのGDXE Fe Kα輝線の性質は? 1.0 East West Sgr A* 0.0 Galactic latitude b (degree) -1.0 2005年9月~2009年3月 62観測 3.2 M sec ~500光年 -2.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 Galactic longitude l (degree)

Spaced-row Charge Injection (SCI) 「すざく」 XISが軌道上で初めて実用化 機上較正線源 Mn I Kα輝線 機上較正線源スペクトル 6.0 5.9 Mn I Kα (5.9 keV) 輝線中心値 (keV) 5.8 Mn I Kβ (6.5 keV) Counts s-1 (log) FI BI 5.7 5.6 SCI運用開始 Bautz et al. 2007 2006年 9月 5.5 200 400 600 800 打ち上げ(2005年7月)後日数 Pulse height (ch) SCI機能の軌道上試験、データ補正法・較正方法を開発 CCDの経年変化による系統誤差を最小化

Fe Kα輝線空間分布

銀径(l)方向輝度分布 3本のFe Kα輝線を分離して強度分布を初めて決定 8 6 Fe I Kα 10 Fe XXVI Kα Energy (keV) Fe XXV Kα 3本のFe Kα輝線を分離して強度分布を初めて決定 スペクトルを取った領域を

Fe XXV Kα輝線強度銀径方向分布 異なる2つのe-folding scaleを持つ2成分に分離 e-folding scale 30° ± 10° e-folding scale 0°.47 ± 0°.02 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) 異なる2つのe-folding scaleを持つ2成分に分離

銀緯(b)方向輝度分布 l=±0°.17を除き、統計的には1成分のスケールハイトで説明可 Photons cm-2 s-1 arcmin-2       銀緯 (degree) 銀緯 (degree)

各銀径でのFe XXV Kα 輝線強度銀緯方向スケールハイト 輝線強度 (log) 各銀径でのFe XXV Kα 輝線強度銀緯方向スケールハイト 銀緯方向スケールハイト (degree) 銀緯 輝線強度 (log)

I(l*,b*) = A1 exp(l*/hl1) exp(b*/hb1) + A2 exp(l*/hl2) exp(b*/hb2) Photons cm-2 s-1 arcmin -2 Galactic latitude b (°) 銀緯 b (°) 銀緯 b (°) I(l*,b*) = A1 exp(l*/hl1) exp(b*/hb1) + A2 exp(l*/hl2) exp(b*/hb2) ① 銀径方向 hl1 ~0°.5 銀緯方向 hb1 ~0°.2 ② 銀径方向 hl2 ~数10° 銀緯方向 hb2 ~2° の2成分exponential モデルで空間分布記述可能

星質量モデルとの比較 IRAS, COBE, IRTの近赤外観測に基づく星質量の空間分布モデル モデルの不定性 ~ 25% (1σ相当) (Muno et al. 2006, Landhardt et al. 2002, Kent et al. 1991) モデルの不定性 ~ 25% (1σ相当) 銀径方向星質量分布 (b*=0°) Nuclear stellar cluster Nuclear bulge Nuclear stellar disk Galactic disk 星質量 M◉ arcmin-2 Galactic bulge 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree)

銀緯に沿ったSgr A*からの距離 b* (degree) 銀緯方向方向星質量分布 (l*=0°) Nuclear stellar cluster Nuclear bulge Nuclear stellar disk 星質量 M◉ arcmin-2 Galactic disk Galactic bulge 5 銀緯に沿ったSgr A*からの距離 b* (degree)

Fe XXV Kα輝線強度分布 Fe XXV Kα輝線強度分布と星質量モデルの形状一致せず 銀径方向 (b*=0°) 銀緯方向 (l*=0°) 10-5 West East Fe XXV Kα輝線強度分布と星質量モデルの形状一致せず 10-6 Photons s-1 cm-2 arcmin-2 10-7 星質量モデル モデルの不定性 10-8 0.1 1 10 -2 -1.5 -1 -0.5 0.5 1 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) 銀緯 b (degree)

中心領域で星質量モデルよりGDXEが超過 銀径方向 (b*=0°) 銀緯方向 (l*=0°) 10-5 West East 10-6 Photons s-1 cm-2 arcmin-2 10-7 星質量モデル モデルの不定性 10-8 0.1 1 10 -2 -1.5 -1 -0.5 0.5 1 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) 銀緯 b (degree) Revnivtzev et al. 2006 →|l|>1°の領域ではFe Kα分布と近赤外分布が一致すると報告。 l*>1°, b*>0°.5の領域では一致。IFeKα / I4.9μmはRevnitzev et al.とconsistent。 中心領域で星質量モデルよりGDXEが超過

X線点源との比較 Chandra GC 2°×0°.8 領域 点源カタログ 0.2 銀緯 (degree) 0.0 (Muno et al. 2009) 銀緯 (degree) 0.0 -0.2 0.5 0.0 -0.5 -1.0 銀径 (degree)

GC最中心部とは異なり、分布の有意な違いはない FX > 2×10-6 photons cm-2 s-1 (0.5-8 keV) ~ LX >1.3×1032 erg s-1 @ 2.4万光年のX線点源分布 X線点源個数密度 (arcmin-2) 0.1 1 銀径 l (degree) 0.8 0.6 0.4 0.2 0 -0.2 -0.4 -0.6 -0.8 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 銀緯 b (degree) 銀径方向点源分布 銀緯方向点源分布 Fe XXV Kα輝線強度(arbitrary scale) X線点源 GC最中心部とは異なり、分布の有意な違いはない

スペクトル解析

高統計スペクトルで輝線強度比、輝線幅を決定 5 6 7 8 9 Energy (keV) 10-4 10-3  10-2 0.1 Count s-1 keV-1 (3) Fe I Fe XXV Fe XXVI (5) (H) 1 2 3 4 5 A B C D E F G H On-plane Off-plane 高統計スペクトルで輝線強度比、輝線幅を決定

Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα輝線強度比

銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) Photon s-1 cm-1 arcmin-2 銀径方向 Fe XXV Kα輝線強度分布 星質量 M◉ arcmin-2 銀径方向星質量分布 Galactic disk Nuclear bulge Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα 輝線強度比 銀径方向輝線強度比分布 l*=1°〜2°を境界に輝線強度比・スケールハイトが変化 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) 銀径に沿ったSgr A*からの距離 l* (degree) Nuclear bulgeとGalactic diskに付随した2成分の存在を強く示唆 Ridge 領域 (l*>8°) での平均強度比: 0.22 ± 0.06 (Yamauchi et al. 2009)

銀緯方向では輝線強度比の有意な変化は見られない 銀緯方向 Fe XXV Kα輝線強度分布 銀緯 b (degree) Photons cm-2 s-1 arcmin-2 銀緯方向輝線強度比分布 銀緯に沿ったSgr A*からの距離 b* (degree) 銀径方向星質量分布 星質量 M◉ arcmin-2 銀緯方向輝線強度比分布 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα 輝線強度比 銀緯 b (degree) 銀緯方向では輝線強度比の有意な変化は見られない

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 EW’6.4 (EW6.7→0) l*<0°.4  : 1.2 ± 0.2 keV l = -0°.8~-0°.6 : 2.4 (1.7-4.7) keV l*>1° : 0.74 ± 0.04 keV  On-plane 1 2 3 4 5 2°.0 1°.0 0°.0 -1°.0 -2°.0 -3°.0 1°.0 0°.0 -1°.0 銀径 l (degree) 銀緯 b (degree) l*<0°.4 Koyama+ 09 Sgr C領域 l=-0°.8~-0°.6 Nakajima+ 09 l*>1° Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) ① l*>1°のEW’6.4 有意に小さい ② 光電離起源を示唆 Ridge領域 平均値 EW’6.7 (EW6.4→0)は領域に依らず500 ~ 600 eV Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV)

Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 1°.0 0°.0 -1°.0 A B C D E F G H Off-plane 銀径 l (degree) 銀緯 b (degree) 1°.0   0°.0     -1°.0 Fe I Kα等価幅 EW6.4 (eV) Fe XXV Kα等価幅 EW6.7 (eV) On-planeとは違った成分が南西に存在? 明確な反相関見えず 場所に依らずEW6.4〜100 eV

Suzaku J1740.5-3014 & Sgr A East ③ 強度比を説明できるSNRは存在しないのか? ② 中間領域の点源の性質・等価幅は? 1.0 Suzaku J1740.5-3104 0.0 SNR Sgr A East 他の衛星がGDXEに匹敵する kT=4–11 keVの超高温成分の存在を示唆。 (Sakano et al. 04,Park et al. 06 ) 高密度のGC環境下で高温のSNRが生成? Galactic latitude b (°) -1.0 -2.0 2.0 1.0 0.0 -1.0 -2.0 -3.0 Galactic longitude l (°)

Suzaku J1740.5-3014 X線スペクトル 1-9 keV ライトカーブパワースペクトル 星間吸収量 NH=1.6×1022 cm-2 距離~2 kpc Lx~1033 erg s-1 0.3 Counts s-1 keV-1 (log) 432.1±0.2 s Power [(counts s-1)2 Hz-1] 0.2 0.1 1 2 5 10 Energy (keV) 3本のFe Kα輝線 I6.9/I6.7 =0.7±0.3 0.0 白色矮星の自転周期に 典型的なパルス周期 10-4 10-3 10-2 Frequency (Hz) GC (距離~8 kpc) より近傍 (距離~2 kpc) のCV (Intermediate Polar)の発見

銀河中心超新星残骸 Sgr A East GDXEに匹敵する kT=4 –11 keVの超高温成分の存在? (Sakano et al. 2004, Park et al. 2006) Chandraの撮像観測→フィラメント状構造。非熱的成分の存在示唆。(Koyama et al. , Morris 2003) 高階電離Fe, Si Kα, β輝線強度比 プラズマの状態を決定 χ2/d.o.f =483/453=1.07 kT~ 1.2 keV 10-1 Counts/s/keV 10-2 Power-law Γ=0.87 非熱的放射を 初めて分離検出 2温度成分を正確に決定 kT~6 keV 10-3 2 Energy (keV) 9

Suzaku J1740.5-3014 目的とした中間領域 のX線点源ではない。 等価幅は小さい。 Suzaku・Chandra・ ASTRO-Hによる更なる点源探査必要 l* < 0°.4のX線点源 Sgr A East kT=6 keVの高温成分は存在 輝線強度比 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα =0.05 他のGC SNRは更に温度低い SNRはGDXEの起源としてはやはり困難

Summary (1) GC・Ridge・Bulgeに渡る領域のGDXEを調査 高階電離Fe Kα輝線強度空間分布 銀径方向、銀緯方向いずれもe-folding スケール、スケールハイトの異なる2成分が存在。 近赤外の分布と比較 → l* < 1°で一致せず。 X線点源の分布と比較→ l* < 1°で有意な違いは無し。 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα 輝線強度比 銀径方向: l* = 1°~2°を境にGCとRidgeで輝線強度比が変化。 → Nuclear bulgeとGalactic diskの境界に対応。e-folding スケールも変化 → Nuclear bulgeとGalactic diskに付随する2成分の存在を示唆。 銀緯方向: b* < 2°の範囲で有意な変化せず。 Fe I Kα 等価幅 v.s. Fe XXV Kα 等価幅 On-plane: l*>1°で反相関し、EW’6.4→740 ± 40 eV Off-plane: 明確な相関関係見えず。

Summary (2) Suzaku J1740.5-3014 3本のFe Kα輝線 Fe XXVI Kα / Fe XXV Kα 輝線強度比=0.7±0.3 周期 432.1 ± 0.1 s 星間吸収 NH=1.6×1022 cm-2 → 距離 ~ 2 kpc  → 近傍に位置するCV (Intermediate polar) 等価幅は太陽近傍のCVとほぼ同じ。GC点源と性質異なる。 Sgr A East 非熱的成分を初めて分離検出。 kT=6 keVの超高温成分存在。 I6.9/I6.7 =0.05 GDXEに比べ小さい。他のGC SNRも同様