レプトンg-2のQED高次補正 M. Nio ( RIKEN) December 1-2, 2008

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レプトンの異常磁気能率 ーその物理が目指すものー
ハドロン衝突での光子生成イベントジェネレーションにおける終状態発散の除去 14aSL-2
実習B. ガンマ線を測定してみよう 原子核・ハドロン研究室 永江 知文 新山 雅之 足立 智.
G.W. Bennett et al. (Muon(g-2)Collaboration)
木村 匡志 極限ブラックホール近傍の 高速粒子衝突における “バックリアクション“の影響について (YITP 元OCU)
Determination of the number of light neutrino species
東京大学 理学系研究科 物理学専攻 吉原 圭亮 35-096116
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COMPASS実験の紹介 〜回転の起源は?〜 山形大学 堂下典弘 1996年 COMPASS実験グループを立ち上げ 1997年 実験承認
オルソポジトロニウムの 寿命測定によるQEDの実験的検証
スパコンとJLDG HEPの計算環境 HEPnet-J
第8回WGミーティング 2011年11月29日(火) 後藤雄二(理研)
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RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定
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光子モンテカルロシミュレーション 波戸、平山 (KEK), A.F.Bielajew (UM)
電子 e 光子 g 電磁相互 作用を媒介 陽子 中性子 中間子 p n ハドロン 核力を  媒介 物質の 究極構造 原子 原子核 基本粒子
HERMES実験における偏極水素気体標的の制御
研究開発課題(素粒子分野)の紹介 筑波大学計算科学研究センター 藏増 嘉伸.
3. Chiral Perturbation Theory
The Effect of Dirac Sea in the chiral model
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g-2 実験 量子電磁力学の精密テスト と 標準理論のかなた
全国粒子物理会 桂林 2019/1/14 Implications of the scalar meson structure from B SP decays within PQCD approach Yuelong Shen IHEP, CAS In collaboration with.
10MeV近傍の2H(p,pp)n反応におけるQFS断面積異常探索
核物理の将来 WG ストレンジネス sub group
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
原子核物理学 第2講 原子核の電荷密度分布.
2018年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 藤岡 宏之 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
K+→π+π0γ崩壊中の 光子直接放射過程の測定
高エネルギー重イオン衝突実験 PHENIXにおける 光子崩壊を用いた低質量ハドロン探索
光子モンテカルロシミュレーション 光子の基礎的な相互作用 対生成 コンプトン散乱 光電効果 レイリー散乱 相対的重要性
まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)
G. Hanson et al. Phys. Rev. Lett. 35 (1975) 1609
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
ミューオニウム・反ミューオニウム変換の予備実験
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
Gauge-Higgs-Inflaton Unification in (4+n)D Super Y-M
Z(mm)イベントを用いた ATLAS LVL1 Muon Trigger Systemのコミッショニング
冷却原子系を用いた 量子シミュレーション: 格子場の理論に対する 新奇シミュレーション技術の 現状と未来
EMCalにおけるπ0粒子の 不変質量分解能の向上
バリオン音響振動で探る ダークエネルギー ~非線形成長と赤方偏移歪みの影響~
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
2016年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
小林・益川理論とBファクトリーの物理 (II)
2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
電子モンテカルロシミレーション 相互作用 近似 輸送方法 Last modified
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
QCDの有効理論とハドロン物理 原田正康 (名古屋大学) at 東京大学 (2006年11月6日~8日)
J-PARC meeting 藤岡 宏之 2006/01/31.
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
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非等方格子上での クォーク作用の非摂動繰り込み
α decay of nucleus and Gamow penetration factor ~原子核のα崩壊とGamowの透過因子~
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
2017年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
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媒質中でのカイラル摂動論を用いた カイラル凝縮の解析
RHIC (Relativistic Heavy Ion Collider)
2015年春までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
超弦理論の非摂動的効果に関する研究 §2-超弦理論について §1-素粒子論研究とは? 超弦理論: 4つの力の統一理論の有力候補
? リー・ヤンの零点 これまでの格子QCD計算の結果 今年度の計画 リー・ヤンの零点分布から探る有限密度QCDにおける相構造の研究
崩壊におけるスペクトラル関数の測定 平野 有希子 Introduction ミューオンの異常磁気モーメント KEKB,Belle 事象選別
Presentation transcript:

レプトンg-2のQED高次補正 M. Nio ( RIKEN) December 1-2, 2008 「計算科学による素粒子・原子核・宇宙の融合」 @U of Tsukuba   w/ T. Kinoshita@Cornell University, T. Aoyama@KEK, M. Hayakawa and N. Watanabe@Nagoya arXiv:0810.5208, 0806.3390(PRD78,053005,’08), 0712.2607(PRD77,053012,’08),0709.1568(NPB796,184,’08), 0706.3496(PRL99,110406,’07), hep-ph/0512288(NPB740,138, 2006)...e.t.c.

1.レプトンg-2の物理の現状 2. QED計算 3. 計算科学の視点からみたQED計算 電子g-2 : 実験 Harvard 2008年 ミューオンg-2: 実験  J-PARC? 理論  ハドロンの寄与    物理として目指すものを示し、問題点を提起 2. QED計算    自動化プロジェクト 摂動10次の計算の現状報告 3. 計算科学の視点からみたQED計算

レプトンの異常磁気能率 レプトン粒子のg因子の2からずれ 真空の量子的ゆらぎによる 外部磁場による前方散乱振幅 パウリ形状因子が異常磁気能生率の起因:  次元のない、ただの数

レプトンg-2の実験 原理としては電子もミューも同じ 外部磁場のなかでの 違う点 電子は崩壊しない 単独電子を捕獲して測定   外部磁場のなかでの      サイクロトロン振動      スピン歳差運動     g=2 ならば  同じ振動数     g≠2 ならば  (g-2)に比例する振動数の違い 違う点    電子は崩壊しない 単独電子を捕獲して測定                 ppb =1/1000,000,000 レベルの精度    ミューは崩壊    大量の粒子で統計をとって測定                 ppm = 1/1000,000 レベルの精度

H. Dehmelt et al 電子g-2 実験: UW87 and HV06&08 Penning trap measurement: G. Gabrielse et al

ミューオンg-2 実験: CERN (1960年代)→BNL Brookhaven National Laboratory  2004年                                muon g-2 collaboration home pageより再掲

ビームを縦方向に絞り込むため電場をかける サイクロトロン振動数と歳差振動数の差  サイクロトロン振動数と歳差振動数の差 岩崎さん@理研、斎藤さん@KEKらの提案:   超低速ミューオンを使う    電場が不必要 → 系統誤差の改良 大量のミューオンが必要     J-PARCでの         beyond standard model 実験となるか?

レプトン g-2の理論 電子 0.5 Mev ミューオン 106Mev 微細構造定数αの摂動展開 Mass indep. 999999996 ppb 994623 ppm Mass dep. 2.3 5313 Hadron ~1.4 ~60 Weak ~0.1 ~ 1              ミューオンのほうがNew Physics に敏感

Mass independent terms: 電子g-2はほとんどQEDだけで計算できる 入力情報: QED ラグランジアン、αの値、レプトンの質量比

電子g-2は微細構造定数αを 最も精度高く決められる物理現象 Cs:セシウム原子の物質波干渉実験からh/m(Cs)を決める            最も精度高く決められる物理現象 Cs:セシウム原子の物質波干渉実験からh/m(Cs)を決める            S. Chu et al. 2002 & Gerginov et al. 2006 Rb: 光子格子に捕獲したルビジウム原子の実験から                           h/m(Rb)を決める            P. Clade et al. 2006

Various determination of the fine structure constant. They must coincide if our understanding of physics is correct.

ミューオンg-2の理論 QED 10次の主要な寄与までOK T. Kinoshita and M. Nio, (2006) Weak   2-loop の主要な寄与まで  M. Davier and J. Marchiano(2004) Hadron = LO Vacuum Polarization 実験から決められる。            2006 年には確定と思われた。 + NLO Vacuum Polarization K. Hagiwara et al. (2003) + light-by-light scattering contribution           実験では決めらない。 モデル    格子QCD

ハドロンの真空偏極 ハドロンの生成断面積実験データから決められる 1) e+e- →ハドロン CMD-2 @Novosibirsk 2006 6909 (44) X 10-11 Davier& Eidelman 2007 6894 (46) X 10-11 Hagiwara et al. 2007 e+e-γ →ハドロン   KLOE@Frascati 2006 CMD2の結果と概ね支持 理論と実験 3.3 σの差 2) tau   → ハドロン   ALEPH+OPAL+CLEO 2003 Belle@KEK 2007 7110(58) X 10-11 Davier et al. 2003                                   理論と実験 1.7σの差   Isospin violationを正しくとりあつかうとe+e-に近づくという人もいる 3) e+e-γ →ππ   Babar@SLAC 2008 CMD-2 の 結果+ 135 になる  Davier 2008                  理論と実験 1.7σの差

QEDの計算 すでに10次の寄与が必要とされている 電子g-2 ミューオンg-2 実験の不確定性 10次のLOの寄与はすべて求めた。    すでに10次の寄与が必要とされている                              実験の不確定性 ミューオンg-2 10次のLOの寄与はすべて求めた。     NLOの寄与は早急には必要なさそう     電子g-2計算の副産物として計算する。       

10th-order term 12672 Feynman Diagram’s set I set II set III 208 diagrams 600 diagrams 1140 diagrams set IV set V set VI 2072 diagrams 6354 diagrams 2298 diagrams None of them dominates for the electron g-2. Need to evaluate ALL 12672 diagrams. The leading contribution to muon g-2 is reported by T. Kinoshita and MN hep-ph/0512330, PRD 73, 053007 (2006)

389 self-energy like diagrams

QED g-2数値計算の自動化 gencodeN できた! (2006末) 光子だけの補正を受けるFD図  gencodeLBn   これもできた! (2007初)    On-shell くりこみ定数の有限部分の計算  gencodeVPn   こっちもできた! (2007末) 単一フェルミオンループからなる真空偏極FD図   gencodeLBL   開発中  光光散乱(light-by-light scattering)を含むFD図

Perl abbcac FORM Maple Perl Perl FORM Perl

QED10次の計算: プログラム生成はほぼ完了しつつある。 問題は桁落ちをどうするか? 4倍精度を使えというのは簡単。。。    大規模数値計算を実行するだけ。  数値計算としての特徴、問題点   13次元の積分計算     被積分関数  膨大、長大             UV&IR発散の処理に起因する桁落ち 13次元空間内にとったサンプル点での   被積分関数の値の評価は独立             10000を超える多重並列でも(たぶん)平気。   問題は桁落ちをどうするか?      4倍精度を使えというのは簡単。。。

now trying several ideas 4倍精度実数計算をどうやって加速するか? 4倍精度実数計算を可能とする計算機資源を              どうやって手に入れるか? now trying several ideas Write real16 library by ourselves w/ fine tuning for a specific computer QED@HOME like SETI@HOME Numerical integration is embarrassingly parallel. Improve integration algorithm pseudo random number v.s. low-discrepancy sequence Accelerator board on a computer GPGPU or GRAPE-DR or other else

4th-order magnetic moment △M4a+△M4b 4-dim integration, analytically known log-log plot Monte Carlo integration Quasi Monte Carlo integration

まとめと提言 ハドロン光光散乱だけでなく、 ミューオンg-2: 電子g-2: 10次の値が求められれば、ハドロンの寄与を改良する 計算科学: ハドロン真空偏極に対するQCDからの値が知りたい。 電子g-2: 10次の値が求められれば、ハドロンの寄与を改良する  必要がでてくる。こちらもQCDからの値を知りたい。  ミューより電子のほうが、先にnew physを発見するかも? 計算科学:  解析的な計算をコンピュータ上でいろいろできるようになった。  大規模数値計算は、ハードの改良からアルゴリズムの見直  まで対応しなくてはいけない。各分野からの助言のありがたさ。