ベヴァリッジを例とした 経済思想史研究 第6回 経済学部定例研究会 2007.11.14(水)
目次 第1節 経済思想の効能 第2節 経済思想の特徴 第3節 経済学の背景 第4節 経済学のこれから 第1節 経済思想の効能
経済学史(経済思想)の効能 理論へ…新しい理論を生む発想の宝庫 教育へ…学説の形成に立ち会うことで、経済学の理解が深まる 教養へ…経済と社会の接点。たのしみとたしなみ 第1節 経済思想の効能
効能(1) 経済学の理論へ 実例 Quesnay[1758]→Leontief[1941] 効能(1) 経済学の理論へ 実例 Quesnay[1758]→Leontief[1941] Hume[1752]→Friedman[1963] Malthus[1799]→Keynes[1936] Ricardo[1820]→Barro[1974] J.S.Mill[1867]→Mankiw[1992] Polanyi[1944]→Stiglitz[2001] 第1節 経済思想の効能
効能(1) 経済学の理論へ 理由 分業division of labour…Smith[1776] (限りある資源、借りる) 効能(1) 経済学の理論へ 理由 分業division of labour…Smith[1776] (限りある資源、借りる) 新結合Innovation... Schumpeter[1912] (新しい理論は無からではなく、) 第1節 経済思想の効能
効能(2) 経済学の教育へ 高度な現代理論 vs 初等教育 ギャップ 比較優位説…ナポレオン戦争時の穀物法論争 効能(2) 経済学の教育へ 高度な現代理論 vs 初等教育 ギャップ 比較優位説…ナポレオン戦争時の穀物法論争 乗数...大恐慌時のケインズから 人物と歴史に注目...成立の事情を明らかにすることで、理論を容易に理解できる。 第1節 経済思想の効能
効能(3) 経済学の教養へ たのしみ...それ自体が知的な作業 たしなみ...社会との関連で、知っているべき教養 効能(3) 経済学の教養へ たのしみ...それ自体が知的な作業 たしなみ...社会との関連で、知っているべき教養 経済学的発想を映す鏡...どのような自己像なのか。 第1節 経済思想の効能
経済思想の特徴(1) 経済に対する間接アプローチ 経済学史:編年体(近代以降) 経済思想:特定問題(時代に囚われず) 役割 経済史...現象、事物:過去を直接に、帰納法 経済学史...認識、人物:経済学者から間接に 経済理論...モデル:現代を直接に抽象化 第2節 経済思想の特徴
経済思想の特徴(2) 学説形成の三層 洞察力vision...経済学者の世界観、コア 理論化theorizing...洞察の概念化、関数関係 (例:貨幣が実物を動かす) 理論化theorizing...洞察の概念化、関数関係 (例:流動性選好説) モデル化modeling...モデル外部の変数を排除 (例:IS-LMモデル) 第2節 経済思想の特徴
経済思想の特徴(3) 顕在化すべき対象 顕在化させる方法 思想:個人の動機・価値観...ミクロ 通念・時代精神:社会状況の影響力...マクロ 経済学者の言葉(原典)discourseに注目 隣接領域(政治・社会・心理・人文)に注目 メタ(違う次元)、認識論、歴史的分類 第2節 経済思想の特徴
経済学の認識 政策 応用 演繹・分析 前提 推論 結論 科学Science 検証 実証 価 値 観 現 実 技巧Art 第3節 経済学の背景
経済学の価値観 パレート改善...Win & Winか? 代表的個人...ミクロとマクロの同一視? 無限時限の動学的最適化...不老不死? (cf.最貧者の所得分配) 代表的個人...ミクロとマクロの同一視? (cf.合成の誤謬) 無限時限の動学的最適化...不老不死? 選好と利害・厚生・選択の同一視...センの批判 特定の関数型...個人間効用比較? 実証研究の困難 →価値中立というよりも価値前提を 第3節 経済学の背景
経済学の現況 経済学は制度化が完成 ケンブリッジからアメリカへ 科目の常設...1816 専門教授職の創設...1863 学会・専門雑誌・教科書の確立...1890 独立した学位...1903 その学位を持つ社会人が多数...1936+1948 ケンブリッジからアメリカへ ケインズ学派の勝利 科学性、経済の制御性、予測性...人々の大きな期待 第3節 経済学の背景
経済学の現況 安定期 やるべきこと? 期待はあるが、失望も(特に政策論、景気循環と成長) 経済学部の増設がない 自己規定:経済学はどのような学問か、何を目指しているか 社会認知へ:経済学が役立つことをアピール そのためには経済思想の力を借りるのが便利 第4節 経済学のこれから
経済学の定義 J. S. Mill[1844]...古典派的な富の定義。富の科学。生産と分配の法則を確立する。 L. Robbins[1932]...稀少性定義。制約がある中で、目的と手段の関係に限定された人間行動の科学。 A. Marshall[1890]...社会科学性定義。厚生の獲得。富に関わる人間の研究。 第4節 経済学のこれから
経済学の定義 (1)静態合理性...時間・金などの資源を節約する。 (2)動態誘因性...ある制度・目的を所与として、自らの行動を環境に適合させる。 (3)社会設計性...理想的な「良き社会」を設定し、それに向けた手段を考察する。規範的。 第4節 経済学のこれから