Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造 2014年6月6日(金) 佐々木 健斗
Fermi Bubble Fermi-LATのγ線データから点源(AGNなど)を除くと・・・ Su et al.(2010)より
他の波長帯との相関(マイクロ波) (23GHz) Planck (30GHz + 44GHz) Planck(赤+黄)+Fermi(青) Dobler et al.(2010) Planck collaboration(2012)
他の波長帯との相関(X線) (1.5keV) 緑(1-5GeV)とROSATデータ Su et al.(2010) γ線と電波(上図)及びX線(下図)
Fermi Bubble γ線(&電波)の双極構造+縁にX線の構造 Su et al.(2010) NASA γ線(&電波)の双極構造+縁にX線の構造 エネルギー源は中心のBH(Sgr A*~106M☉)への質 量降着 or ジェット or 爆発的星形成?
Fermi Bubble 銀河面から南北に 広がる非常に巨大な双極構造 hardなスペクトル(指数が~-2)を持つ 境界面(edge)で明るさが急激に変化 衝撃波構造を示唆 明るさが全体で一様 ~10kpc 放射源は一体何なのか? Cheng et al. Fermi LATでの観測結果(100-500GeV) 点源を除いてある(Ackermann et al. ,2013)
Projection効果 上から見たBubble 上から見たBubble Shell状に放射する場合 全体が一様に放射する場合 観測者 射影すると中心付近が強く見える 射影すると縁付近が強く見える
Projection効果 観測で見られるような全体に 一様な強度を再現するには、 放射の空間分布を工夫する 必要がある 上から見たBubble 観測で見られるような全体に 一様な強度を再現するには、 放射の空間分布を工夫する 必要がある
2つのモデル ハドロンモデル(ex. Crocker&Aharonian 2011) ・陽子(p)を加速し、p+p→π0→2γのように放射 ・加速機構は、shockでの1次Fermi加速が採用さ れることが多い ・2次電子からのシンクロトロン放射でWMAP-haze も説明できるが、ROSATの放射はうまくいかない レプトンモデル(ex. K.S.Cheng et al. 2011) ・電子(e)を加速し、逆コンプトン(IC)でγ線放射 ・冷却が早いため、乱流での2次加速が採用される
2つのモデル ハドロンモデル(ex. Crocker&Aharonian 2011) ・π0の静止質量(~140MeV)に対応するカットオフ ・冷却が効きにくく、高エネルギー側はカットなし? レプトンモデル(ex. K.S.Cheng et al. 2011) ・低エネルギー側のカットはなしか ・冷却が早いため、高エネルギー側にカットオフ
2次Fermi加速 ランダム運動する星間雲や磁場の乱れなどの乱 流による加速 スペクトルの指数は加速源によって様々に変化 2次加速の様子は、乱流の振る舞いに大きく左右される
宇宙線の移流拡散方程式 移流拡散方程式 加速 escape 冷却 変形、冷却・injectionの効果を外挿 加速 escape 冷却 injection tacc=p2/Dpp、tesc=L2/D、tcool=ーp/(dp/dt)とすると、これらの大小関係からスペクトルの形が決まる!
加速効率の位置依存 shockからの距離ごとの各項の時間(上) と 電子数密度スペクトル(下) のエネルギー依存性 (Mertsch et al.2011)
加速効率の位置依存 フラックスの観測結果及び以前のモデルとの比較 (Mertsch et al.2011)
加速効率の位置依存 以前までのモデル(点線)に比べて、観測結果(sharpなエッジ、一様な表面輝度)をよりよく再現! 高エネルギーでは縁が明るくなることを予言 (Mertsch et al.2011)
計算結果例
新たな観測結果 偏光観測で見つかった構造は、片側に流れている? ジェット的構造ではなく、star burstを示唆? 2.3GHz帯における偏光強度マップ(Carretti et al .2013) 偏光観測で見つかった構造は、片側に流れている? ジェット的構造ではなく、star burstを示唆?
まとめ 銀河中心には巨大構造が存在(電波~γ線) γ線の放射(Fermi Bubble)を説明するために、 ハドロンモデルとレプトンモデルの2つが存在 一様な表面輝度とsharpなエッジ再現のために、 空間的に一様ではない分布を考える必要 TeV領域の観測により、放射過程の区別ができる 可能性がある CTAなどでの観測に期待