28 PICマイコンを用いた能動騒音制御系の制御性能 機械創造工学課程 08302687 川﨑 健史 担当教員 小林 泰秀 准教授 1、背景 ・騒音制御は施設の騒音低減やヘッドフォンに用いられている。 今回重み関数は定数を利用している。 ・能動騒音制御は、適応制御が用いられており、高性能な機器を必要とし、高価である。 しかし、高気密・高断熱の施設など環境の変化が少ない場合は、ロバスト制御を用いて、またマイコン等の安価なハードウェアを用いても十分な性能が期待できる。 図4、重み関数 3.離散化H∞制御問題を解き、補償器の状態空間表現を求める 4.状態空間表現をブロック対角可制御正準形に変換する 2、目的 5、制御実験 表1、実装条件 本研究の目的は安価な能動騒音制御系を製作することである。 実装の条件(補償器の次数、係数の語長(有効桁)、サンプリング周期)と、制御性能の関連を実験的に明らかにする。 実装の条件はそれぞれは独立していない。有効桁を長くするとデータ量が増大しPICの容量にも関わる。データ量が大きくなると計算量に影響しサンプリング周期に関わる。 3、実験装置 図1に実験装置概略図を示す。Spk wが騒音源でSpk uが制御音源である。Ref Micの音を元にErr Micの位置で消音を行う。これらを動作させるためPC、PIC、回路等がある。 PICマイコンとは周辺機器の制御を行うためのICである。 PICに実装する時はPCで作成した補償器をそのまま実装はできない。2進表記で小数点以下に有効桁を設定し、制限するので実装誤差が起こる。 例 補償器のある値を0.6として状態x(整数)との積 0.6(10)=0.10011・・・(2)で表され、0.6*xは tmp=x>>1; sum=tmp; tmp>>=3; sum+=tmp; tmp>>=1; 図5、実装1での結果 図1、実験装置概略図 4、補償器設計手順 図6、実装2での結果 実装1は設計した補償器の値であり、十分な性能が得られている。 図2、一般化プラント 1.周波数応答実験を行い、Gのノミナルプラントを求める 実装2は実装1ほどではないが制御が掛かっている。 計算による共振周波数 1次 ≒130Hz 2次 ≒260Hz 3次 ≒390Hz 計算式 実装3では一部消音していることがわかるが性能がよくない。 これらの違いは有効桁を制限したことによる桁落ちの影響である。 図7、実装3での結果 6、まとめ 図3、周波数応答結果(Gyu) ・PICにコントローラを実装し、実装誤差と制御性能の関連を実験的に検討した。 ・係数行列の有効桁が高い方が、良い制御性能が得られることを確認した。 周波数応答実験の結果を図3に示す。計算値と合っていることが確認できる。 Cは音速[m/s]、Lは管の全長[m] 2.モデル化誤差を加法的摂動モデルで考慮する 7、今後の課題 ・有効桁をさらに広く変化させて実験を行う。 ・コントローラの次数、サンプリング周期についても検討する。