マイクロファイナンス(MF)の課題とJICAの取組み 2012年1月 経済基盤開発部ジェンダー平等・貧困削減推進室 技術審議役 辻 一人
様々なレベルで解決すべき大きな課題 MF商品・サービスに対する貧困顧客の「需要やイ ンパクトを的確に理解」する 需要に即した質・量の商品・サービスを、「社会的 責任を果しつつ」顧客に効率的に届けるインフラを 整備する 商業ビジネスとして「財務的に持続」させる 政府が「市場の失敗を補完する」積極的な役割と、 バランスの取れた規制・監督を担う 「国際公共財」としての「金融包摂(FI)」を世界的に 推進し、経済・社会開発効果を挙げる
膨大な(潜在)顧客と多様な担い手の姿 公式な金融サービスを受けていない約27億人 以外にも、不十分なサービスしか受けていない 約12億人が存在?需要・供給のデータ不足、 市場は「まだら」模様 末端MFIsは、商業銀行、ライセンスを得た(預 金集め可能な)専門MFI、政策金融機関、ノン バンク、NGO、CBO、協同組合等、多種多様 関係機関は、財務省他、規制当局、APEX、携 帯電話、郵便局、ネットワークNGO、研究/研 修、ID/信用/財務・社会情報、格付け/監査等
直近の国際的な話題(例) MFIsが規制・監督対象となるインセンティブは? 預金業務をビジネスとして成り立たせるには? 金融包摂戦略を実行できる制度的枠組みは? 最貧層や若者を顧客にするには?G2Pの活用? 農業生産形態や零細小企業振興との関係は? 携帯電話金融は本当に効率的・効果的か? 消費者向け金融教育、消費者保護のあり方は? 社会的パフォーマンスをどう測る?RCTの利用?
JICAの具体的な取組み(例) 最貧層向け他分野事業MFコンポーネント(インド・ケニ ア植林、マリ村落開発、ガーナ・モザンビーク農業等) 政策・規制枠組みの構築(インドネシア) 政府機関による政策金融(スリランカ、タイ、エジプト等) 農業(加工)バリューチェーン金融(フィリピン) アジアとアフリカの協力仲介(インドネシア、マレーシア 等とサブサハラ・アフリカ諸国) 個別民間MFIへの出資(パキスタン) 調査・研究や内外の人材育成 CGAP、MIX、APEC、AFI、G20等との知的連携
結語 開発援助に求められるのは、「イノベーション」 の創造とその普及に向けて、知恵を出すこと 市場に有り余った資金を、どの様にして、それ を本当に必要とする人々に安価・安定的に届 け、彼らを日々の資金管理のストレスから解放 し、グローバル化する市場経済活動の成長に 参加・均霑してもらうか? MFという周辺部から、「責任ある金融」を金融 部門全体に主流化出来るか?