GCM, 衛星データにおける雲・放射場 ーGCMにおけるパラメタリゼーションの問題点のより明確な把握へー

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GCM, 衛星データにおける雲・放射場 ーGCMにおけるパラメタリゼーションの問題点のより明確な把握へー 第2回沼口さんシンポジウム 2006.03.29 對馬洋子(海洋研究開発機構・地球環境フロンティア研究センター)

大循環モデルによる温暖化実験の昇温のばらつきと 放射フィードバックの不確定性(ΔTs=2.1℃, 5.1℃) dQ: radiative forcing by CO2 dQ= λdTs λ:Feedback parameter λ= λ0(1-f) f :Gain factor 1/λ :Sensitivity parameter 1/λ = dTs/dQ 1/λ(Km2W-1) 2.How much feedback works in the Increase of surface temperature 1.How sensitive the system is to the radiative forcing The sensitivity is quite different in the sky with clouds between GCMs. This does not mean cloud feedback difference is much larger than other feedback’s difference. Denominator fnc=0.32, fnc=0.55 Δfnc=0.23 (Perpetual July±2℃simulation)

大循環モデルによる温暖化実験の昇温のばらつきと 放射フィードバックの不確定性(ΔTs=2.1℃, 5.1℃) 雲のフィードバックのばらつき(Cess et al.,1990) 雲のパラメタリゼーションの研究  -雲の微物理に基づくパラメタリゼーション(Senior and Mitchell,1993, Del Genio et al.,1996)     相変化, cloud formation, 降水onset,   -雲の鉛直方向のオーバーラップ(maximum random, mosaic,etc.) 放射との相互作用 観測との比較 …得られないデータもある。 モデル間相互比較 観測との比較

Cloud liquid(2xCO2-1xCO2) Cloud water (1xCO2) Cloud ice (1xCO2) Cloud liquid(2xCO2-1xCO2) 200 400 600 800 1000 [hPa] Climate sensitivity 6.3℃ 4.0℃ 3.6℃ 2.9℃ 2.3℃ Polar shift of cloud water 3.45 ° 1.6 ° 1.17 ° 1.09 ° 0.94° IPCC AR4と連動する雲のフィードバック解明のためのプロジェクト, CFMIPへ参加した。1xCO2および2xCO2時の雲水分布について、K-1モデルと他モデルとの比較解析を行い、1xCO2時における水雲氷雲共存温度層における氷雲の分布のモデル間の違いが、2xCO2時の雲水分布のモデル間の違いと対応しているという結果を得た。更に、そもそもの1xCO2時の雲水分布のモデル間のばらつきは相対湿度のモデル間のばらつきと対応していることが分かった。この結果は今後のモデル改良の検討において有用である。 -90 -60 -30 0 30 60 90 -90 -60 -30 0 30 60 90 Tsushima et al.,2006 -2e-5 0 2e-5 0 1.5e-4 0 2e-5 -2e-5 0 2e-5

Cumulus cloud water (1xCO2) 200 400 600 800 1000 [hPa] 0 1.5e-4

大循環モデルによる温暖化実験の昇温のばらつきと 放射フィードバックの不確定性(ΔTs=2.1℃, 5.1℃) 雲のフィードバックのばらつき(Cess et al.,1990) 雲のパラメタリゼーションの研究  -雲の微物理に基づくパラメタリゼーション(Senior and Mitchell,1993, Del Genio et al.,1996)     相変化, cloud formation, 降水onset,   -雲の鉛直方向のオーバーラップ(maximum random, mosaic,etc.) 放射との相互作用   -積雲と大規模凝結の相互作用 (Bony and Emanuel 2002, Tompkins 2002, Klein et al. 2005)

人工衛星データとGCMの雲を比較する ISCCP Simulator (Webb et al.2001) 雲のオーバーラップを乱数でサンプリング 雲の光学的厚さ(τ>0.3)以上の雲量を見積もる。 11micron radiance から雲頂気圧を見積もる。 2L分布の代表制サンプリング。2項積分がどこに収束するか。

ISCCP CLOUD CLASSIFICATION 50 180 310 440 560 680 800 1000 CIRRUS CIRROSTRATUS DEEP CONVECTION ALTOCUMULUS ALTOSTRATUS NIMBOSTRATUS CUMULUS STRATO STRATUS HIGH CLOUD TOP PRESSURE (MB) MIDDLE CLOUD OPTICAL THICKNESS LOW 0 1.3 3.6 9.4 23 60 379

Cloud top distribution ISCCP D2 GCM high middle low 上中下層雲量を観測と比べると、中層で雲量が少なめ、下層雲は30度以極で雲量が多く低緯度側で少ない傾向はあるが、全体的によく再現されている。

High thin ISCCP D2 GCM midthin thick 各層の雲については、厚い雲の寄与が多い。

Middle thin ISCCP D2 GCM midthin thick

Low thin ISCCP D2 GCM midthin thick

日本上空の雲の衛星、GCMの比較 125E-142E, 28N-40N 4月の解析 (CReSS HARU simulationと同じ) 衛星データは2004年4月 GCMデータはslab ocean control run最後の5年

ISCCP DX data  (30kmごとにピクセルデータをサンプリング)

High_top cloud 観測(2004年4月) High_top cloud GCM(ある年の4月) Middle_top cloud Middle_top cloud Low_top cloud Low_top cloud

観測 観測では 上層では厚い雲の変化が大きい。 中層では全ての厚さの雲の変化の振幅が拮抗。 下層では薄い雲の雲量が多く、薄い雲の変化が大きい。 GCMでは 上層では薄い雲の変化が大きい。 中層では全ての厚さの雲の変化の振幅が拮抗。 下層では厚い雲の雲量が多く、厚い雲の変化が大きい。

まとめ GCMの雲のパラメタリゼーションの研究  -雲の微物理に基づくパラメタリゼーション(Senior and Mitchell,1993, Del Genio et al.,1996)     相変化, cloud formation, 降水onset,   -雲の鉛直方向のオーバーラップ(maximum random, mosaic,etc.) 放射との相互作用   -積雲と大規模凝結の相互作用 (Bony and Emanuel 2002, Tompkins 2002, Klein et al. 2005) 雲解像モデルのシミュレーション+観測データを用いて、検証が可能になってきた。