Radiation dosimetry of 137Cs γray for a long time irradiation

Slides:



Advertisements
Similar presentations
の範囲に、 “ 真の値 ” が入っている可能性が約 60% 以上ある事を意味する。 (測定回数 n が増せばこの可能性は増 す。) 平均値 偶然誤差によ るばらつき v i は 測定値と平均値の差 で残差、 また、 σ は、標準誤差( Standard Error, SE ) もしくは、平均値の標準偏差、平均値の平均二乗.
Advertisements

シーベルトとは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫 日本原子力学会 2014 年秋の大会 保健物理・環境科学部会企画セッション.
点対応の外れ値除去の最適化によるカメラの動的校正手法の精度向上
JEMICにおける交流電流標準の 現状と今後の展開
現場における 熱貫流率簡易測定法の開発  五十嵐 幹郎   木村 芳也 
μ→e+γとμ→e+γ+νe+νμ を探索する
磁気トルカ較正試験結果 宇宙機ダイナミクス研究室 D2 宮田 喜久子.
『腹腔内または骨盤内のがん』 と診断された患者さんへ
国際物理オリンピック実験試験のシラバス 1.標準的な実験器具・装置が使える(マニュアル無しで使える):
24 両端単純支持梁に対する外乱抑制制御系の製作
測定方法 測定対象 < 防護量 実用量 放射線測定器 実効線量 周辺線量当量 場所の線量測定 サーベイメータ 等価線量 方向性線量当量
技術センター原爆放射線医科学研究所部門 第二技術班 菅 慎治
クロストーク成分の相互相関に 着目した音場再生システム
気温測定用日射遮蔽シェルターの性能検証 保坂 智樹 指導教員 成田 健一
Irradiated Polarized Target
放射線(エックス線、γ線)とは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
分光結晶を用いた蛍光XAFSシステムの開発
3.8 m望遠鏡主鏡エッジセンサ 開発進捗 京都大学 理学研究科 M2 河端 洋人.
京大岡山3.8 m望遠鏡計画: 分割主鏡制御エッジセンサの開発
CsIシンチレータとMAPMT ヘッドアンプユニットを用いた 動作実験
オルソポジトロニウムの 寿命測定によるQEDの実験的検証
計測工学14 第6章 機械的測定 2010年10月18日.
LabVIEWによる 地上気象観測データ 収集システムの開発
2次元蛍光放射線測定器の開発 宇宙粒子研究室 氏名 美野 翔太.
国際物理オリンピック実験試験のシラバス 1.標準的な実験器具・装置が使える(マニュアル無しで使える):
単色X線発生装置の製作 副島 裕一.
X線CTにおけるファントム中の エネルギー変化についての検討
理研稀少RIリングの為の TOF検出器の開発 埼玉大学大学院理工学研究科 博士前期課程2年 久保木隆正
大橋 英雄 東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科
光子モンテカルロシミュレーション 波戸、平山 (KEK), A.F.Bielajew (UM)
応用実習用資料 Environmental radioactivity
多人数対応型地球温暖化 デモストレーション実験機
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
トリガー用プラスチックシンチレータ、観測用シンチレータ、光学系、IITとCCDカメラからなる装置である。(図1) プラスチックシンチレータ
MeV internal meeting Oct. 2, 2015
放射線防護に用いられる線量概念 ー実効線量ー 岩井 敏 原子力安全推進協会 保健物理・環境科学部会セッション
垂直多関節ロボット 座標認識システムの構築
測距技術 ー 2波長干渉計による歪計測 ー 寺田聡一 産業技術総合研究所.
光子モンテカルロシミュレーション 光子の基礎的な相互作用 対生成 コンプトン散乱 光電効果 レイリー散乱 相対的重要性
SMILE35:陽子線を用いた 電子飛跡検出型コンプトンカメラによる 核ガンマ線イメージング実験
治療用フィルムによる線量分布測定の 基礎的検討Ⅱ
計測工学 -誤差、演習問題 計測工学(第6回) 2009年5月26日 Ⅱ限目.
AIを用いたドローンの 新たな姿勢制御方法に関する研究
都市表面における 熱輸送速度の実験的研究 スケールモデルによる野外実験と風洞実験の比較 大久保 典明
疫学概論 直接法と間接法の相違 Lesson 5. 率の調整 §D. 直接法と間接法の相違 S.Harano,MD,PhD,MPH.
宇宙航空開発研究機構 宇宙科学研究所 安部研究室 前川 啓
Multi-Purpose Particle and Heavy Ion Transport code System
福島第一原発事故による放射能汚染測定器の開発
X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会)
CCDを用いた星像中心決定実験の結果 ○矢野太平(理研)、郷田直輝、小林行泰、辻本拓司(国立天文台)
文化財のデジタル保存のための 偏光を用いた透明物体形状計測手法
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
実橋のPC桁における鋼線破断のAE による連続モニタリング 日本フィジカルアコースティクス(株) 湯山茂徳、李 正旺 NIPPON WA
NaIシンチレーターを使った 放射線検出システムの開発
製図の基礎 6回目 5/21 日本工業大学 製図の基礎.
2013年夏までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
教育用放射線検出器の開発 立教大学物理学科4年 指導教員 07CB024F 川茂唯順 竹谷篤 07CB049K 高橋達矢 村田次郎
計算と実測値の比較 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
落下水膜の振動特性に関する実験的研究 3m 理工学研究科   中村 亮.
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の開発(2)
「大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの共同利用・共同研究拠点化」に向けた要望書・意見書のお願い
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
2015年春までの成果:ヒッグス粒子発見から精密測定へ
振動体の振幅を一定とする 振動発電機負荷のフィードバック制御 長岡技術科学大学 ○ 永井 和貴 齋藤 浄 小林 泰秀
コミュニケータにとって線量の単位 『シーベルト』は混乱の一因か? 東京大学 飯本武志
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
TES型カロリメータのX線照射実験 宇宙物理実験研究室 新井 秀実.
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

Radiation dosimetry of 137Cs γray for a long time irradiation 笹谷晋吾*1・菅慎治*1 ・北川和英*1 ・田中憲一*2 ・遠藤暁*2 *1技術センター,*2原爆放射線医科学研究所線量評価・測定研究分野

はじめに 現在、低線量・低線量率の生物影響は、急照射影響との相違や適応応答などを理解する為の重要なテーマとなっている. 原医研においてもCs-137γ線を用いた低線量率における生物影響を研究する実験が計画されている. この照射はインキュベータ内で長時間培養細胞への照射が必要であり、散乱線の影響など不確定な要因も多く,通常の方法では正しい線量が決定できない. そのため,今回電離箱とTLD(熱蛍光線量計)を併用して、まさにその試料の位置における線量測定を行ったので測定方法及び測定結果を紹介する.

今回使用した線量計 電離箱(キャピンテック製PM-30) TLD(パナソニック社製UD-170L)

照射場全体図 インキュベータ Cs-137線源 電離箱

平面図 立面図

測定方法(1) ① 個体差が大きいTLDの測定値の信頼性を高めるために校正を実施. ②  電離箱をCs-137線源から1mの距離で高さを試料設置面に合わせ配置. ③  空気中において目標とする線量率(0.04cGy/min,0.004cGy/min)になるように線源から試料までの距離を理論計算によって求め配置する.

測定方法(2) ④  電離箱の前面,後面,インキュベータ内の試料が入ったデッシュの前面,背面,インキュベータ本体の前面,側面,背面にTLDを設置. ⑤  Cs-137γ線照射,及び電離箱による線量測定. ⑥  照射終了後,TLDの取り出し及び測定.

校正について 一般的に放射線の測定において、放射線測定器の出力は単なる相対値にすぎないため,目的とする測定量を得るにはその測定量に関して適切に目盛り付けを行なうこと(校正)が必要となる. 使用した電離箱は国家基準とトレーサビリティが確保されており,TLDにおいてもトレーサビリティを確保する必要がある. トレーサビリティが確保されているということは,その検出器は国家標準と直接または間接的に比較校正されていることである. トレーサビリティを持つ測定器同士なら,どの測定器で測っても整合性が得られるので,第三者(社会的)にその信頼性が得られる.

TLD校正 TLDリーダー Co-60照射装置 線量=指示値(測定値)*校正定数

線量計設置風景 電離箱とTLD 電離箱は測定時,照射場の外にある測定器とコードでつながれている. インキュベータ内のTLD

測定結果(1) 電離箱により線量の絶対値をもとめ,TLDによりそれぞれの相対値から試料の線量を求めた 線源からの距離(m) 測定線量(cGy) 距離補正理論線量(cGy) 理論値からのずれ(%) 電離箱 1 1587.9932 100 ディッシュ(1) 1.42 751.5188 787.5388 95 ディッシュ(2) 4.49 74.1141 78.7691 94 補正後の線量は理論値より5%程度減少している.

測定結果(2) TLDの測定値の誤差から線量率において7%~11%程度の誤差が考えられる. 線源からの距離(m) 線量率(cGy/min) 4/4~4/17 ディッシュ(1) 1.42 0.041±0.0027 (7%) 0.04 752 ディッシュ(2) 4.49 0.004±0.0004 (11%) 0.004 74 TLDの測定値の誤差から線量率において7%~11%程度の誤差が考えられる.

まとめ 電離箱とTLDを併用した結果,インキュベータ内の線量率を数%程度の誤差の範囲で測定することができた. 測定結果から散乱線の影響は線量計の誤差を考慮すれば,有為なものは検出できなかった. 今後,他の線量計との組み合わせなどにより精度が高い測定方法を検討していきたい.  0.0406cGy/min 0.0040cGy/min 0.0857cGy/min