南極から宇宙を見る 沖田博文 東北大学大学院理学研究科天文学専攻 市川隆研究室 南極2m望遠鏡プロジェクト

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宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
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○沖田博文(東北大学)、市川隆(東北大学)、高遠徳尚(国立天文台)、栗田健太郎(東北大学)、小山拓也(東北大学)
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第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
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○沖田博文(東北大学大学院理学研究科天文学専攻・国立極地研究所)
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ASTE搭載用ミリ波サブミリ波帯 多色ボロメータカメラ光学系の開発 竹腰達哉 北海道大学修士課程2年 Collaborators:
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
南極サイト調査用DIMM (シーイング測定装置) の開発と試験観測
ASTE望遠鏡を用いたVLBI観測の ための超伝導230GHz帯受信機開発
~目では見ることのできない紫外線・赤外線をケータイカメラを使うことで体験する~
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南極から宇宙を見る 沖田博文 東北大学大学院理学研究科天文学専攻 市川隆研究室 南極2m望遠鏡プロジェクト 2010年8月4日(水)柚木進学ゼミ サマーキャンプ@さじ天文台 南極から宇宙を見る 東北大学大学院理学研究科天文学専攻 市川隆研究室 南極2m望遠鏡プロジェクト 沖田博文

研究背景 赤外線観測の重要性 しかし・・・ 赤外線天体観測は極めて困難 ・銀河はどうやって誕生したのか? ・第2の地球は存在するのか? Abell 426 ©2008 CFHT 2M1207 ©2004 ESO しかし・・・ 赤外線天体観測は極めて困難 (1)大気の輝線放射(OH夜光) (2)大気の熱放射 (3)望遠鏡の熱放射 (4)大気中の水蒸気による吸収 http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/LECTURE/OBS/atmos.html ・背景ノイズは可視光の1,000~1,000,000倍 ・観測可能な波長に大きな制限 Cox (1999)

研究背景 = 南極赤外線望遠鏡計画 そこで、南極大陸内陸高原 に着目 ・極低温(冬期 -80℃) ・極乾燥(PWV 0.2mm) ・極低温(冬期 -80℃) ・極乾燥(PWV 0.2mm) Yamanouchi+(2003) 赤外線天文学にとって地球上で最高条件の観測地 Burton+(2005) さらに近年、地球上で最も安定した大気が存在する事も分かってきた。 Lawrence+(2004),  Agabi+(2006) これらを踏まえて計算すると・・・ 世界最高性能の「すばる望遠鏡(口径8m)」と同等の性能が南極に設置した口径2mの望遠鏡で実現可能。さらに極夜を利用した南極オリジナルの2,000時間の連続観測も可能。 南極赤外線望遠鏡計画 = AIR-T Project すばる望遠鏡 ©国立天文台 なゆた望遠鏡 ©西播磨天文台

既にDome A, Dome Cでは調査観測が開始 研究目的 Dome A 標高4,093m 2008~ 既にDome A, Dome Cでは調査観測が開始 日本はドームふじ基地を運営 世界最高条件が示唆されている、 CSTAR Yuan+(2008) PLATO Yuan+(2008) ドームふじ基地で赤外線天文学をしたい Dome C そこで、 標高3,280m 2000~ ・天文学的な観測条件調査 ・南極特有のサイエンス ・-80℃駆動技術の確立 を行う南極仕様の赤外線望遠鏡を開発 2010-2011 白夜2週間の連続観測 2012-2014 リモート通年観測 IRAIT Tosti+(2006) PILOT Lawrence+(2009)

これまでの研究 南極40cm赤外線望遠鏡の開発と性能評価 -80℃南極仕様の望遠鏡の開発 赤外線望遠鏡 熱収縮を考慮して設計 (研究業績・学会等発表 [2],[4],[5],[8], 及び SPIE Astronomical Telescope and Instrumentation 2010 口頭発表申し込み受理済み) 南極40cm赤外線望遠鏡の開発と性能評価 -80℃南極仕様の望遠鏡の開発  赤外線望遠鏡 熱収縮を考慮して設計 軽量(300kg)  操作性の向上  -80℃冷却実験  追尾性能評価  導入性能評価  光学精度評価 実験 改造 2010-2011 白夜2週間の観測に十分な精度・性能を有する望遠鏡を開発

これまでの研究 シーイング測定装置DIMMの開発 南極天文学の観測提案と予備調査 大気の擾乱によって望遠鏡の空間分解能に制限 (研究業績・学会等発表 [3],[6],[7]) 大気の擾乱によって望遠鏡の空間分解能に制限 DIMMを用いて大気擾乱の測定を行う(ただし白夜の観測)  出来る限り開口を大きく  コントラストを上げる工夫 加えて、SNODARとの同時観測で乱流層の高さと上空のシーイングの絶対値が得られる。 白夜での測定に最適化 SNODAR@UNSW 南極天文学の観測提案と予備調査 (研究業績・学会等発表 [1]) 南極では連続2,000時間の連続観測が可能 1つの可能性として『太陽系外惑星探査』 広帯域フィルターを用いた太陽系惑星の観測によってcolor-color図上で岩石・ガス・氷惑星に分類が可能 系外惑星に応用・第2の地球発見へ 研究業績 [1]

研究計画 観測計画 2010年12月下旬~2011年1月初旬(最大3週間) 第52次南極地域観測隊夏隊同行者としてドームふじ基地に赴き、観測条件調査・初期科学観測・駆動技術の立証を行う。 得られた観測データを解析し、「南極天文学」を創造する 観測データから地球環境のモニターが可能か評価する 冬期総合訓練 ドームふじ基地 ©極地研 観測計画  2010年12月下旬~2011年1月初旬(最大3週間) シーイング測定 DIMM, SNODARを用いて大気擾乱の高さ分布とシーイングの絶対値を測定する。 大気背景散乱光の測定 大気中の散乱物質の少ない南極では散乱も少ない。中間赤外線波長で日中の天体観測が可能かどうか評価する。 金星CO雲の2.3μm連続観測 金星の下層大気~雲層のCO吸収線の連続観測によって金星大気の三次元構造の把握を目指す。 低温下での駆動技術の立証  ドームふじ基地での観測によって低温下での駆動技術を確立する。

ドームふじへの行程 11/25-29 (3/17) S30(2/9),S16(2/11) S16(12/19-22) ドームふじ(1/8-25)

砕氷船しらせ

南極大陸 ドームふじ基地 みずほ基地 昭和基地

ドームへは3週間 中継拠点 毎日景色は真っ白だけ みずほ基地 雪上車3台とそり

きっかけ ぼたん雪のような星空 百武彗星/ヘールボップ彗星 ヘール・ボップ彗星 大佐山で見た星空 百武彗星 ©AstroArts ©ブログ名 閑話休題 大佐山で見た星空 ©稜剱岳 百武彗星

思い立ったら・・ ライフパーク倉敷 美星天文台 倉敷天文台 → 金光学園天文部 ライフパーク 美星天文台 金光学園天文部 倉敷天文台  → 金光学園天文部 ©ライフパーク ライフパーク ©天体写真の世界 ©美星天文台 ©オルビィス株式会社 美星天文台 ©Wikipedia 金光学園天文部 倉敷天文台

趣味から学問へ 天文部 天文ガイド しし座流星群 佐治天文台「小惑星探査」 美星天文台「星の学校」 木曽観測所「銀河学校」 ©天文ガイド 天文ガイド2004年4月号

でも、やっぱり星が好き

一生懸命「今日」を過ごそう 「夢」を見つけよう 星を「好き」になって15年・・・ ・興味から趣味へ ・趣味から学問へ 「好き」を続けて、貫いた「今」 ・多くの挫折、悩み ・でも、あと少しで何かが見えてきそう ©濠太剌利星景: 星景写真家・武井伸吾の徒然ブログ オーストラリアの星空 一生懸命「今日」を過ごそう 「夢」を見つけよう