理科指導法D ノーベル物理学賞
ノーベル物理学賞とは ・ノーベル賞 アルフレッド・ノーベル(1833~1896)の遺言と遺産によって設立され、1901年から毎年授与されている賞 ・物理学賞 前年に人類に最も貢献し、物理学の分野で最も重要な発見あるいは発明をした人に贈られる物理学分野の最高の栄誉
受賞者 南部陽一郎名誉教授(87) 米シカゴ大 小林誠名誉教授(64) 高エネルギー加速器研究機構 益川敏英教授(68) 京都産業大理学部
「ビッグバン」と呼ばれる大爆発によって宇宙が誕生。 素粒子物理学の難題 今から137億年前・・・ 「ビッグバン」と呼ばれる大爆発によって宇宙が誕生。 同じ数の粒子と反粒子の生成。 しかし粒子と反粒子が出会うとすぐに光を発生して消滅してしまう性質を持っている。 本来どちらも存在しないはずである。 しかし粒子をもとにした物質だけ存在し、物質を構成している。 光 + -
自発的対称性の破れ 今までの常識 自然の基礎は対称性 法則は対象性 自発的対称性の破れとは・・・ 対称性が現実に反映されていない場合
自発的対称性の破れの例 はじめ 針を軸とした回転対称性を持つ 倒れた状態 回転対象性を破る 不安定な状態であり 続けることはない
素粒子物理学への応用 素粒子の質量の起源 対象性の破れにより説明 質量=ゼロ 自由に動き回る 真空の性質の変化 素粒子の動きを妨害 抵抗力=素粒子の質量 対象性の破れにより説明
小林・益川理論 (1973年) 「CP対称性の破れ」 ・・・粒子と反粒子の法則の間に クォークが少なくとも6種類あれば 証明できる 小林・益川理論 (1973年) 「CP対称性の破れ」 ・・・粒子と反粒子の法則の間に あるわずかな違い クォークが少なくとも6種類あれば 証明できる 先ほどのべた粒子と反粒子の法則の間には、わずかな違いがあると考えることが出来ます。これを「CP対称性の破れ」といいます。CP対称性の破れが何によってもたらされたのかは明らかになっていませんが、小林・益川は、陽子や中性子を構成する素粒子であるクォークが少なくとも6種類あると仮定し、その6種類がある条件下でそれぞれに入れ替わると考えることでCP対称性の破れを理論的に証明することに成功しました。これが「小林・益川理論」です。 次に、小林・益川が仮定した6種類のクォークについて述べていきたいと思います。
クォーク アップ・ダウン ・ストレンジの発見 チャーム発見 ボトム・トップの発見 アップ・ダウン ・ストレンジの発見 チャーム発見 ボトム・トップの発見 現在は図のように6種類のクォークが発見されていますが、「小林・益川理論」が仮説立てられた当時はアップクォーク・ダウンクォーク・ストレンジクォークの3種類だけでした。しかしその後実験技術の進歩により、1974年にはチャームクォークが発見され、1995年までにはボトム、トップクォークも発見され、小林・益川が提唱した、クォーク6種類の存在が裏付けられました。 5つのクォークのうち、アップとチャームは +2/3e の電荷を持ち、残りのダウン、ストレンジ、ボトムクォークは-1/3e の負電荷を持っていることも確かめられました。電子は -e の電荷を持っています。 図に示すように、クォークには電荷が1単位(e)だけ違う2つの素粒子から成る3つの世代があります。世代内の2つの素粒子は弱い力で互いに転換し合うことができます。これら3つの世代は質量以外同一の性質を持ちます。一般に、世代が進むにしたがって質量が大きくなり、その生成に高いエネルギーを必要とします。どうして3世代が存在しているのかはまだ明らかになっていません。 力の相互作用により、6種類のクォークが混ざったとき、これを行列で表すことができる。
参考・引用文献 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081007-00000018-maiall-soci 朝日新聞 毎日新聞 国立科学博物館 HP 『素粒子物理学』、原康夫他、朝倉書店 『素粒子物理学』、原康夫、裳華房