超高速ネットワークの弱点 光は速い 光は遅い 300km / 1msec (真空中) 180km / 1msec (光ファイバ中)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
TCP/IP によるチャットプログラ ム 薄井 秀晃. 基礎知識編 TCP/IP とは? IP とは・・・ Internet Protocol の略称であり通信方法の技術的なルールで あり、実際にデータを送受信する前にデータを小さなデータ に分割し、それに発信元と受信先の IP アドレスを付加させて.
Advertisements

第1章 ネットワークとコミュニケーション 第2節 ネットワークのしくみ 2 ネットワークを支える技術 (教科書 p36 ~ p37) 今日の用語  モデム (modulator/demodulator:modem)  IP アドレス (internet protocol address)  ドメインネーム.
第2章 第2節 情報通信の効率的な方法 1 情報の容量と伝送の特性 2 データの圧縮 3 エラー検出とエラー訂正
Timeout と再送 往復時間 予知が困難 他のトラフィックに依存 適応再送アルゴリズム データの採取.
インターネットの仕組み 例) Web閲覧 インターネット サーバ リクエスト データ 携帯電話 一般家庭 インターネットサービス
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
ATLAS実験データ解析に向けた、長距離広帯域ネットワークにおけるデータ転送
大阪大学 長谷川 剛 インターネットフローの公平性 大阪大学 長谷川 剛 2001年10月19日 IN研究会.
前回の授業への質問 質問:プロトコルアナライザで測定できる範囲はどこまでか?
Webプロキシサーバにおける 動的資源管理方式の提案と実装
第1回.
コンピュータ基礎(10) 11章 通信ネットワーク.
情報科指導法Ⅰ 第11回 年間授業計画表.
TCP Timeout and Retransmission
詳解TCP/IP TCPタイムアウトと再転送 れにうむ.
TCP (Transmission Control Protocol)
TCP Tahoeのウインドウ制御 (復習)
レポート課題(1班) 次の手順に従い、各自で実験を行い、その結果をレポートにまとめて電子メールで提出せよ レポートの宛先は
詳解TCP/IP ACE B2 mewtwo.
コンピュータとネットワークのしくみ 情報通信ネットワークのしくみ.
インターネット メールサーバ DNSサーバ WWWサーバ ファイアウォール/プロキシサーバ クライアント.
i-Pathルータのフロー情報を用いたDoS攻撃検知法
輪講: 詳解TCP/IP ACE B3 suzuk.
IPマルチキャスト通信とXcast 早稲田大学後藤研究室 Xcast班.
トランスポート層.
無線LANにおけるスループット低下の要因の分析
経済学のための情報処理入門 電子メールの送返信,添付書類.
コンテンツ配信 エンコード (符号化) CBR (Constant Bit Rate) VBR (Variable Bit Rate)
コンピュータ基礎(10) 11章 通信ネットワーク.
伝送特性に応じた 適応型映像・音声配信機構の構築
第2章 第1節 情報通信の仕組み 1 ネットワークの仕組み 2 通信プロトコル 3 認証と情報の保護
ギガビットネットワークに対応する ネットワークべンチマークテスト機の試作と ギガビットルータの性能評価
物理層と伝送媒体 2012年度以降の教科書(第5版)と 2011年度までの教科書(第4版)の対応 物理層、伝送媒体と公衆通信サービス
画像情報特論 (3) - TCP/IP (2) TCP (Transport Control Protocol)
コンピュータとネットワークの利用 国際経営学科 牧野ゼミ3年 足立龍哉.
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
TCP/UDP プロセス間の通信のためのプロトコル TCP:信頼性高、処理時間大 UDP:信頼性低、処理時間小 ftp SMTP HTTP
インターネットの基礎知識 その3 ~TCP・UDP層編~
i-Pathルータのフロー情報を用いたDoS攻撃検知法
第9章 Error and Control Messages (ICMP)
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
出典・・・基礎からわかるTCP/IPコンピューティング入門 村山公保著
画像情報特論 (3) - TCP/IP (2) TCP (Transport Control Protocol)
画像情報特論 (3) - マルチメディアインフラとしてのTCP/IP (2)
画像情報特論 (3) - TCP/IP (2) TCP (Transport Control Protocol)
岡村耕二 トランスポート層 岡村耕二 情報ネットワーク.
RTCPパケットの測定による マルチキャスト通信の品質評価
Ibaraki Univ. Dept of Electrical & Electronic Eng.
ネットワークの性能 牧野ゼミ3年 足立龍哉.
UDPマルチキャストチャット    空川幸司.
ジャンボフレーム 学籍番号:3603U072-0 氏名:塩津達郎.
演習第6回 情報通信技術論 インターネット工学
Step.1 LinuxとIPコマンド ifconfig [-a] [インタフェース名] arp [-n]
メールの仕組みとマナー.
岡村耕二 トランスポート層 岡村耕二 情報ネットワーク.
非対称リンクにおける ジャンボフレームの性能評価
超高速ネットワークの弱点 光は速い 光は遅い 300km / 1msec (真空中) 180km / 1msec (光ファイバ中)
TCP制御フラグの解析による ネットワーク負荷の推測
前回の授業への質問 質問:プロトコルアナライザで測定できる範囲はどこまでか?
演習第4回 情報通信技術論 インターネット工学
レポート課題 レポートの提出は による。 提出期間を厳守する。 締切は2010年1月12日(火)
岡村耕二 情報ネットワーク 岡村耕二 情報ネットワーク.
より詳しく書けば 遅延時間が無視できない場合の TCPのスループットの低下について
コンピュータ・ネットワーク工学科 後藤 滋樹
OSI7層に関係する機器、仕様、機能など 物理層 データリンク層 ネットワーク層 トランスポート層 セッション層 プレゼンテーション層
GbEにおける TCP/IP の研究について
レポート課題1 基本問題:  課題1. あるマシンまでのRTT (Round Trip Time)を測定したところ 128msec(ミリ秒)であった。このマシンに対してウィンドウサイズ64KByteでTCPの通信を行う場合のスループットの予想値を計算せよ。 ヒント1: 授業中に説明したように、スループットの値は、ウィンドウサイズを往復遅延時間で割れば良い。Byteとbitの換算に注意する。計算を簡単にするために1024≒1000として計算して良い(もちろん、この概算を使わなくても良い)。スループットは、ど
7月13日の演習問題・解答例 について ネットワーク長が 18、22、26、28 の場合の
画像情報特論 (3) - TCP/IP (2) TCP (Transport Control Protocol)
TCP/IPの通信手順 (tcpdump)
Presentation transcript:

超高速ネットワークの弱点 光は速い 光は遅い 300km / 1msec (真空中) 180km / 1msec (光ファイバ中)

2種類のデータ通信 (1) コネクション型(エラー訂正) TCP (再送) 電子メール、WWW、ファイル転送 (1) コネクション型(エラー訂正) TCP (再送) 電子メール、WWW、ファイル転送 (2) データグラム(コネクションレス) UDP、IP 画像、音声の放送型の送信

このようなことは起り得るか? 花子の主張: 伝送中に To: hanako@waseda.jp 1文字脱落? cc: taro Subject: I owe you 戸山花子様 先日のパーティの折、確かに1000円を 借用しました。近々にお返しいたします。 大久保太郎

TCPは受信確認をとる データ ACK 規定時間内にACKが戻らないと再送する

コネクションの開始と終了 (a) 開始時の3-wayハンドシェイク (b) 終了時のFINとACK SYN FIN SYN, ACK ACK 時間の経過 SYN, ACK FIN 時間の経過 ACK (a) 開始時の3-wayハンドシェイク (b) 終了時のFINとACK コネクションの開始と終了

データ 通信回線 受信側 送信側 ACK 再送 受信側 送信側 ACK ACKによる受信確認と再送 再送に備えてデータのコピーが必要

受信側 送信側 データ 片道 2.5ms (ミリ秒) ACK 経過時間 往復 5ms (ミリ秒) 送信側と受信側が450km離れている場合

受信側 送信側 最初のデータのACKを 待たずに次々にデータを 送信する ウィンドウ制御

送信するべきデータの並び 左から順番に送信する ACK ACK データ 送信済 送信済・ACK受信済 図 7.6 ウィンドウという意味

データを「かたまり」で通信する かたまり = パケット Packet データ ヘッダ(宛名、差出人、種類) パケット通信

東京~関西:450km データ ACK (450/180)×2=5ms

TCPのパケットとIPのパケットの包含関係

一度に送るデータの量 無限にはできない。 64bit÷5ms= 12.8Kbps 512bit÷5ms=102.4Kbps 64bit÷5ms= 12.8Kbps 512bit÷5ms=102.4Kbps 64Kbit÷5ms= 12.8Mbps 512Kbit÷5ms=102.4Mbps 無限にはできない。

無闇に大きくできない理由 データ ACK 再送に備えてコピーが必要

光ファイバの速度に関係なく… 64KBytes ACK 64K × 8 bits / 5msec = 102.4 Mbps

東京~シンガポール 5940km 33ms (one way) 64KBytes 7.76Mbps コンピュータ通信は遅い 光ファイバは速い (2.4Gbps, 10Gbps, 100, 200...)

これを解決するには window size を大きくすれば良い 一度に送るデータの量 参考書  pp.209~216 Window size を大きくするということは 強気で先送りをするということ もし他の通信と衝突してパケットが失 われると大きなデータを再送する必要 がある=データ通信の不良債権問題

インターネットは「乗合」型 ルータ 輻輳 (congestion)

10Gbps 155Mbps W RTT スループット 13Mbps ウィンドウのサイズ(W) スループットの限界 RTT, Round Trip Time, 往復遅延時間 W 通信回線の速度 RTT 直線の傾き スループット 155Mbps 通信回線の速度 13Mbps 通信回線の速度 ウィンドウのサイズ(W)  スループットの限界

VSAT (Very Small Aperture Terminal)

覚えておくべきこと 光の速度は速いようで、実は遅い 遅延時間が無視できない (例:東京=関西、東京=シンガポール) 人工衛星の回線は遅延時間が長い 地域の情報化は出来ても、国際的な 通信には課題が多い。

超高速が万能薬ではない 人間社会は情報の交換によって成立 物質・エネルギー・情報の交換 個別の人間と、人間社会との差は情報交換 超高速ネットワークの性質 低速→高速 の変化は線形ではない。