知的財産とイノベーション: プロパテント政策と国際競争力

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第5章 活性化する国際分散投資 と 日本経済の影響. ネットとグロスの違い 資本移動の場合 日本 外国 100 億円 50 億円 ネットの資本移動 100-50=50億 円の黒字 グロスの資本移動 100+50= 150 億 円.
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知的財産とイノベーション: プロパテント政策と国際競争力 工学系研究科技術経営戦略学専攻 元橋 一之 http://www.mo.t.u-tokyo.ac.jp/

アウトライン 特許の属地主義と国際出願スキーム 日米中における特許出願国際化の状況 イノベーションシステムと特許制度の関係 日米中における知財制度改革(プロパテントの動向) 日本企業に対するインプリケーション

国際出願スキーム(1):パリ条約  部分優先、複数優先などのケースもある。  出願公開(18ヶ月)されるまでに出願する必要がある。

国際出願スキーム(2):PCT  国際調査、国際予備審査(請求ベース)あり

主要国における特許出願数

日中米の国内出願割合

米国特許取得企業(2008年)

中国における出願人国籍

国際出願状況のまとめ 日本企業 中国企業 (+中国大学など) 米国企業

国際出願と技術競争力 ○ × 特許保有企業の国籍 国際出願先国 技術競争力あり 技術競争力なし マーケットとして魅力あり マーケットとして魅力なし 国際出願先国

National Innovation Systemとは

イノベーションシステムにおける 知財の役割 プロパテント(強い特許権)  →研究開発のネットワーク化促進  →大学などサイエンスセクターのイノベーション促進  →大企業中心モデルでは不適当(技術模倣のリスクあり)?

アメリカのイノベーションシステム

米国のプロパテント政策 ・ 1970年代後半から80年代にかけて産業競争力の低下への懸念が高まった際、国を挙げた産業競争力強化への取組の一環として、バイドール法・技術移転促進法の導入をはじめ、各種「プロパテント(特許重視)政策」を展開。

米国における最近の動向 特許制度改正の動き オープンイノベーションの動き Jaffe, A. B. and J. Lerner (2004), Innovation and its Discontents: How our broken patent system is endangering innovation and progress, and what to do about it, Princeton University Press Global Standardへの流れ(先願主義、出願公開制度の導入) 出願後異議申し立て制度の整備(特許権の安定性に向けた行政サイドの取り組み強化) 特許審査の厳格化 オープンイノベーションの動き パルミサーノレポート(Innovate America, Council on Competitiveness):知的財産の占有と公的側面、イノベーションエコシステム IBMによるパテントコモンズ

日本:大企業に集中する研究開発費

大企業・自前主義イノベーションシステム

日本のプロパテント

中国における特許出願人の特徴

中国のイノベーションシステム

中国における知財制度 1985: 専利法制定(発明特許、実用新案、意匠) 1992: 第1次改定 1994: PCTシステムに加入 2001: WTOに加盟(TRIPS準拠) 2001: 第2次改正(WTO対応) 2009: 第3次改正(「自主創新」対応)

知財制度と経済成長の関係 イノベーションとイミテーション 経済発展段階とプロパテント政策 弱い知財制度は後進国にとって有利 知財制度の属地主義:先進国の特許を模倣することが可能 経済発展段階とプロパテント政策 米国のプロパテント政策(1980年代) 日本のプロパテント政策 1980年代:米国からの圧力、国際整合化 1990年代後半~:競争力強化、知財立国 中国のプロパテント政策 2001年WTO加盟、米国、日本など先進国からの圧力 2008年改正:自主創新対応?

中国における最近の動き 知財権侵害品・侵害行為を一斉取り締まり−国務院が特別行動案を公布−(中国) 2010年11月22日 北京発   2010年11月22日 北京発   国務院は10月27日、「知的財産権侵害および模倣品や粗悪品の製造・販売の摘発に関する特別プロジェクト活動方案」(国弁発[2010]50号)を発表した。この方案の公布を受けて、国務院や各直属機関、各省、自治区、直轄市は、2010年10月から11年3月にかけて、知財権侵害品や侵害行為に対して一斉に特別取り締まりを実施する。                         (JETRO通商弘報より)

中国における知財制度の実態 国レベルと地方レベルで不整合 知財関連紛争の実態 国レベルでは知財立国 ただし、運用は地方レベル(知財行政、紛争処理にかかる司法取り扱い):人的ネットワークが重要 知財関連紛争の実態 商標・意匠・著作権関係の案件がメイン、特許関係の案件も増加 国を挙げての模倣品対策の実施(自主創新、弱い知財制度は国内企業にとってもデメリットあり)

日本の対中戦略 国レベル 中国など途上国における知財制度に関する技術協力(審査効率化、知財制度のエンフォースメント、紛争処理システムの整備) 企業レベル 戦略的な国際特許出願(出願技術の選別) 国際的な産学連携によるイノベーション効率向上(中国における人材の活用含む) 国際的なビジネス戦略との整合化