ダークマター検出器の低圧ガスにおける 角度分解能の評価 日本物理学会 第66回 年次大会 2011/03/28 ダークマター検出器の低圧ガスにおける 角度分解能の評価 だあくまたん 谷森達、窪秀利、身内賢太朗 株木重人、Parker Joseph、岸本祐二、西村広展 黒澤俊介、岩城智 澤野達哉、谷上幸次郎、東直樹、松岡佳大 京大理 中村 輝石 実験概要 エネルギー閾値低下のための低圧ガス 検出効率 角度分解能 まとめ
暗黒物質 銀河の星の回転速度が外周部で落ちず ⇒ 銀河スケールに暗黒物質 銀河団衝突領域で、重力ポテンシャルの位置がバリオンの分布と異なる 暗黒物質 銀河の回転曲線 銀河の星の回転速度が外周部で落ちず ⇒ 銀河スケールに暗黒物質 銀河団衝突領域で、重力ポテンシャルの位置がバリオンの分布と異なる ⇒ 銀河団スケールに暗黒物質 宇宙論パラメータの測定(CMBなど)から、バリオンの約5倍の暗黒物質 ⇒ 宇宙論スケールに暗黒物質 ⇒ 非バリオンな"暗黒物質" 星の回転速度 [km/s] 銀河の中心からの距離 [pc] 銀河団衝突領域 宇宙のエネルギー組成
ニュートラリーノと原子核の弾性散乱のファインマン図 暗黒物質の候補粒子「WIMP」 Weakly Interacting Massive Particle 反応率が小さい 安定 質量を持つ(10~1000GeV) ⇒WIMP(LSP, LKP, LTP, etc...) (他の暗黒物質の候補もある) アクシオン Q-ボール ステラエルニュートリノ ...etc ニュートラリーノと原子核の弾性散乱のファインマン図 最も軽い粒子がニュートラリーノの場合、暗黒物質に成り得る MSSMで追加される粒子
暗黒物質の直接探索方法 季節変化(従来) 大量の標的 ⇒ 固体検出器 暗黒物質の"風向き" 飛跡を捉える ⇒ ガス検出器(※) cygnus 暗黒物質の直接探索方法 σSD=1pb M=100GeV target:F 予想されるエネルギースペクトル 6月 12月 計数率の季節変化は 数%程度 季節変化(従来) 大量の標的 ⇒ 固体検出器 暗黒物質の"風向き" 飛跡を捉える ⇒ ガス検出器(※) 到来方向異方性には 大きな前後非対称性あり 予想される散乱角θの余弦分布 θ cygnus WIMP 原子核 (※)名大NITグループはエマルジョンを用いた飛跡検出型探索実験のR&Dをしている
NEWAGE μ-TPC:反跳原子核の三次元飛跡を捉える NEWAGEの神岡地下での先行研究(nishimura09(※))から制限曲線 New general WIMP search with an Advanced Gaseous tracker Experiment μ-TPC:反跳原子核の三次元飛跡を捉える NEWAGEの神岡地下での先行研究(nishimura09(※))から制限曲線 (※)当研究室OB SD反応の散乱断面積への制限(90%C.L.) WIMP μ-TPC 1) 先行研究による制限曲線 電子 CF4ガス 原子核 μ-PIC 2) (pitch:400μm) 2)μ-TPC ・・・ Micro Time Projection Chamber 1)μ-PIC ・・・ Micro Pixel Chamber
SD反応の散乱断面積への予想される制限(90%C.L.) NEWAGEの次の目標 他の実験に棄却されているものの、ポジティブリザルトを主張するDAMAの領域の探索 (現行の約1000倍の感度で到達) バックグラウンド:1/10 (感度10倍) ⇒ ラドン除去システム エネルギー閾値:1/2 (感度10倍) ⇒ 低圧力での運用 大型化 ⇒ 1m3サイズを数台 (現行は30cm3) SD反応の散乱断面積への予想される制限(90%C.L.)
低圧動作の効用 ガス圧低減(152torr → 76torr) 飛跡長が約2倍に 低エネルギー(飛跡が短い)事象に感度 低圧動作の効用 圧力ごとの飛跡長(SRIM) ガス圧低減(152torr → 76torr) 飛跡長が約2倍に 低エネルギー(飛跡が短い)事象に感度 暗黒物質に対する感度上昇(約10倍) 長 短 予想されるエネルギースペクトル σ=1pb, M=100GeV, target:F 確認すべきもの 検出効率 (低エネルギーな原子核反跳) 角度分解能 (方向性) new threshold current threshold
検出効率 原子核反跳事象の検出効率: シミュレーションと測定データ(nhit>3)の比 検出効率 252Cf neutron 原子核反跳事象の検出効率: シミュレーションと測定データ(nhit>3)の比 100keV@152torrの検出効率と同等の検出効率を持つエネルギーが70keV@76torrに低下 検出器 半分の50keVに達さなかったのは、ガスゲイン不足 飛跡長:2倍⇒長さ当たりの電子数:1/2 ⇒ 必要ゲイン2倍 使用したゲイン:1.5倍(=1260/860) 1を超過しているのは、シミュレーションの不定性 原子核反跳事象の検出効率 赤:76torr 青:152torr
角度分解能 測定データとシミュレーションを比較 (シミュレーションは角度分解能ごとに作成) 角度分解能 θ 252Cf 中性子 原子核 測定データとシミュレーションを比較 (シミュレーションは角度分解能ごとに作成) 角度分解能:50+7-2度(100-200keV) (先行研究:55度@152torr) ⇒これまでと同等の分解能。ゲインの確保により向上が見込まれる 100keV以下:要アルゴリズムの改良 中性子による原子核散乱の 余弦分布(100-200keV) カウント数 カウント(相対値) 青:測定データ 緑:シミュレーション(σ=50°) シミュレーションによる余弦分布 (100-200keV、角度分解能ごと)
結論 方向に感度を持つ暗黒物質探索実験NEWAGEにおいて 低圧力運用(152torr ⇒ 76torr) エネルギー閾値(検出効率から) 結論 方向に感度を持つ暗黒物質探索実験NEWAGEにおいて 低圧力運用(152torr ⇒ 76torr) エネルギー閾値(検出効率から) 100keV ⇒ 70keV 50keVには達さず(ゲイン不足) 角度分解能 50°@100-200keV 値は従来と同程度 展望・・・・ ゲインUP ・ 方向決定アルゴリズム改良 ⇒ エネルギー閾値を50keVに