FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔.

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FPCCDバーテックス検出器における ペアバックグラウンドの評価 4年生発表 2010/03/10 素粒子実験グループ 釜井 大輔

FPCCDバーテックス検出器におけるペア バックグラウンドの評価 ペアバックグラウンドの除去 まとめ 1 イントロダクション 国際リニアコライダー バーテックス検出器 FPCCDシミュレーションソフト FPCCDバーテックス検出器におけるペア バックグラウンドの評価 ペアバックグラウンドの除去 まとめ

国際リニアコライダー(ILC) ILCとは 電子と陽電子を衝突させる線形の加速器 全長 : 約30 km 2 国際リニアコライダー(ILC) ILCとは 電子と陽電子を衝突させる線形の加速器 全長 : 約30 km 重心エネルギー : 最大500 GeV(第1フェイズ) 最大ルミノシティー : 2×1034 cm-2s-1 ILCの目的 ヒッグス粒子の精密測定 超対称性模型・余剰次元・リトルヒッグスなどの新物理の検証 バーテックス検出器 ILC測定器

バーテックス検出器 バーテックス検出器の目的 飛跡検出 t 粒子の崩壊点の精密測定 b, c, τの同定 → ヒッグス結合と質量の相関を測定 3 バーテックス検出器 ヒッグス結合と質量の相関 バーテックス検出器の目的 飛跡検出 粒子の崩壊点の精密測定 b, c, τの同定 → ヒッグス結合と質量の相関を測定 →ヒッグス模型の検証 1 t W H ヒッグス結合 Z 0.1 b t 0.01 c 1 10 100 質量(GeV) FPCCD バーテックス検出器 y [mm] θ=24.9º e- 60 58 θ=16.5º 39 37 e+ θ=14.4º 18 16 θ Z ビーム軸 62.5 125 [mm]

バーテックス検出器の要求性能 e- e+ e+ e- e- e+ バーテックス検出器の読み出し トレイン間の200 msに読み出しを行う バンチ バンチ e+ 1バンチ 1トレイン ペアバックグラウンド バーテックス検出器の読み出し トレイン間の200 msに読み出しを行う ペアバックグラウンドによるピクセル占有率 20µm×20µm程度のピクセルサイズでは占有率~10% 要求占有率は<0.5% 解決策 1トレインのデータを分割して保存して読み出す 技術的に困難 ピクセルサイズを小さくする 現在の技術で実現可能   FPCCDバーテックス検出器 FPCCDバーテックス検出器の性能についてのシミュレーションを行っている

5 FPCCDシミュレーションソフト

FPCCDシミュレーションのためのソフトの開発 ILCのシミュレーションソフトウェアパッケージの一部 シミュレーションにおけるバーテックス検出器のヒット点をデジタル化する ― ピクセルサイズ : 5µm×5µm×15µm

FPCCDシミュレーションソフトのアルゴリズム アルゴリズム概要 粒子がヒットした点と、その点での運動量を取得 それらの情報を各ラダーごとのローカル座標系に変換 それらの情報から粒子の飛跡を直線として算出 飛跡と交わったピクセルの位置をグローバル座標系に変換 座標系 ヒット点からピクセルのヒットへのデジタル化 YG ZL 5µm YL ZG 粒子がヒットした点 5µm YL ピクセルのヒット XL 粒子の飛跡 ラダー XG XL ラダー

FPCCDシミュレーションソフトの性能評価 評価方法 ピクセルヒット数は幾何学的計算によって予測できる →1000イベント分の平均ヒット数と幾何学的予測とを比較する イベント 原点からy-z平面上にミューオンを1つずつ飛ばす 運動量 : 200 GeV 方向 : θ = 90°, 75°, 60°, 45°, 30°, 18°, 15° イベント数 : 1000イベント FPCCD バーテックス検出器 y θ θ=24.9º θ=16.5º θ=14.4º z 60 58 39 37 18 16 62.5 125 [mm] レイヤー1a レイヤー1b レイヤー2a レイヤー2b レイヤー3b レイヤー3a ビーム軸

FPCCDシミュレーションソフトの性能評価の結果 ピクセルヒット数のθ依存を調べた 幾何学的計算によって得たピクセルヒット数 FPCCDシミュレーションソフトを使った解析でのピクセルヒット数 両者を比較して性能を評価した Z x B y θ ビーム軸 ピクセルのヒット数のθ依存 予測とシミュレーションのヒット数の差分 デジタル化後 幾何学的予測 予測 90 75 60 45 30 15 [degree] 90 75 60 45 30 15 [degree] FPCCDシミュレーションソフトは正しく動作している

ペアバックグラウンド解析

ビームパラメータ 3つのビームパラメータについて解析を行った RDR-Nominal −1トレイン2625バンチ RDR-LowP 11 ビームパラメータ 3つのビームパラメータについて解析を行った RDR-Nominal −1トレイン2625バンチ RDR-LowP RDR-Nominalのバンチ数を半分にして電力消費を抑えたモデル −1トレイン1312バンチ SB2009wTF RDR-LowPにトラベリングフォーカスという技術を用いてルミノシティをあげたモデル

ペアバックグラウンド解析 目的 各パラメータについてピクセル占有率を見積もる ペアバックグラウンド除去のアルゴリズムを開発する 解析に用いたデータ ビームパラメータ 解析したデータ数 RDR-Nominal   ( 168 BX ) RDR-LowP   ( 63 BX ) SB2009wTF    ( 59 BX ) 重心エネルギー : 500 GeV 測定器モデル : ILD_00fwp01 閾値無し ―ピクセルをかすめた飛跡もカウント ―デポジットエネルギーは考慮していない

ペアバックグラウンドによるピクセル占有率 ペアバックグラウンド1トレインによるピクセル占有率を調べた 1トレインあたりのバンチ数 ― RDR-Nominal : 2625 ― RDR-LowP : 1312 ― SB2009wTF : 1312 ▷ピクセル占有率 (1トレインあたり) レイヤー RDR-Nominal RDR-LowP SB2009wTF 1a 4.07% 5.79% 5.39% 1b 2.33% 3.05% 3.02% 2a 0.125% 0.185% 0.163% 2b 0.0935% 0.128% 0.146% 3a 0.0209% 0.0314% 0.0333% 3b 0.0191% 0.0336% 0.0274% ピクセル占有率はレイヤー1aで1トレインあたり~6% →ペアバックグラウンド除去をして占有率を減らすことができないか考えた

ペアバックグラウンド除去 ペアバックグラウンド除去アルゴリズムの開発 ピクセルのヒットパターンを解析して電子トラックとペアバックグラウンドとの分離を行う ペアバックグラウンド粒子が螺旋軌道を描くことを利用する 電子イベント 原点から1つずつ電子を飛ばす 運動量 : 50 MeV, 100 MeV, 500 MeV, 1 GeV 方向 : 全方向に等確率で分布 イベント数 : 5000イベント

LZがZに比例しないものをバックグラウンドとして除去 Z方向のピクセル数(LZ)とZとの相関 z x B y ビーム軸 LZとZとの相関を比較 電子イベント ペアバックグラウンド r-z平面 r-z平面 ・直線的な軌道 →LZがZに比例する ・螺旋を描いた軌道 →LZがZに依存しない LZがZに比例しないものをバックグラウンドとして除去

Z方向のピクセル数とZとの相関 レイヤーごとにLZとZとの相関を調べた 1 GeV電子 ペアバックグラウンド レイヤー1a レイヤー2a レイヤー3a -60       0       60 z[mm]  -100     0     100 z[mm] -100     0     100 z[mm] ペアバックグラウンド LZ レイヤー1a レイヤー2a レイヤー3a -60       0       60 z[mm]  -100     0     100 z[mm] -100     0     100 z[mm] 1 GeV電子ではLZとZが比例している ペアバックラウンドではLZがZに依存しない

Z方向のピクセル数とZとの相関でのカット LZとZとの相関についてのカットをかける 5µm レイヤー 15µm カット条件の算出 LZ = Z×15µm/R 典型的なピクセル数 : X/5µm = 3Z/R LZ 直線的な 飛跡 R : レイヤー半径 Z LZ LZ カット カット Z[mm] Z[mm] 1 GeV 電子 ペアバックグラウンド LZ > (3Z/R-2) ,LZ < (3Z/R)の飛跡をカット

Φ方向のピクセル数(LΦ) B Φ方向のピクセル数(LΦ)を比較 LΦが一定値以上のものをバックグラウンドとして除去 電子イベント y r Φ方向のピクセル数(LΦ)を比較 B Φ x 電子イベント ペアバックグラウンド r-Φ平面 r-Φ平面 ・直線的な軌道 →LΦは1、2個程度 ・螺旋を描いた軌道 →LΦが比較的大きい LΦが一定値以上のものをバックグラウンドとして除去

Φ方向のピクセル数(LΦ) レイヤーごとにLΦを調べた 1 GeV電子 ペアバックグラウンド 1 GeV電子ではLΦが1,2個に集中している レイヤー1a レイヤー2a レイヤー3a -60       0       60 z[mm]  z[mm] -100     0     100 z[mm] -100     0     100 ペアバックグラウンド LΦ レイヤー1a レイヤー2a レイヤー3a -60       0       60 z[mm]  -100     0     100 z[mm] -100     0     100 z[mm] 1 GeV電子ではLΦが1,2個に集中している ペアバックラウンドでは3個以上にも広く分布している

Φ方向のピクセル数(LΦ) LΦ > 2の飛跡をカット Φ方向のピクセル数(LΦ) ・レイヤー1aでの分布の比較 1 GeV電子 Z[mm] Z[mm] 1 GeV電子 ペアバックグラウンド LΦ > 2の飛跡をカット

バックグラウンド除去の結果 カットの条件 レイヤー1a,bについて LZ ≤ (3Z/R), LZ ≥ (3Z/R-2) LΦ ≥ 3 を満たす飛跡をカット Z R : レイヤー半径 レイヤー 選択効率[%] レイヤー 50 MeV 100 MeV 500 MeV 1 GeV 1a 46.99 89.82 96.22 97.98 1b 46.61 81.63 97.45 99.42 カット後のヒット数 選択効率 = カット前のヒット数 実効ピクセル占有率[%] レイヤー RDR-Nominal SB2009wTF RDR-LowP 1a 0.129 0.168 0.167 1b 0.0825 0.106 0.105 カット後のペアバックグラウンド によってヒットしたピクセル数 実効ピクセル 占有率  = レイヤーの全ピクセル数 選択効率は1 GeV電子で~98%,50 MeV電子で~50% ペアバックグラウンドの実効ピクセル占有率はレイヤー1aで0.17%

まとめ FPCCD デジタイザーが正常に動作することを確認 バーテックス検出器におけるペアバックグラウンドの評価 閾値無し 1トレインあたりのピクセル占有率は~6% ペアバックグラウンド除去 ペアバックグラウンド除去のアルゴリズムを開発を開始 ― 選択効率は1 GeVで~98%,50 MeV電子で~50% ― ペアバックグラウンドの実効ピクセル占有率は0.17% 予定 より効率的なカットを考える ― 50 MeV電子の選択効率をあげる