6He及び5Heの深部空孔状態とクラスター構造

Slides:



Advertisements
Similar presentations
K2K-SciBar 検出器を用いた 低エネルギーニュートリノの エネルギー・スペクトルの測 定 大阪大理 田窪洋介 他 K2K-SciBar グループ K2K 実験 SciBar 検出器 低エネルギー イベント選択 まとめ 内容.
Advertisements

宇宙線ミューオンの測定 久野研究室 4回生 卒業研究 荒木 慎也 宮本 紀之 室井 章. 目次 実験内容 測定方法・結果 ・検出装置とセットアップ 解析 ・バックグラウンド除去 ・検出効率 ・立体角 ・文献 値との比較 まとめ.
Nat Zn+ 40 Ar 反応における 高スピン状態の研究 阪大理、理研 A 登壇者:堀稔一 共同実験者:増江俊行、田尻邦彦、小紫順治、長澤拓、 西村太樹、佐藤昭彦、赤阪陽介、古川武 A 、 福地知則、小田原厚子、下田正.
原子核物理学 第3講 原子核の存在範囲と崩壊様式
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
μ→e+γとμ→e+γ+νe+νμ を探索する
Spectroscopic Study of Neutron Shell Closures via Nucleon Transfer in the Near-Dripline Nucleus 23O Phys. Rev. Lett. 98, (2007) Z.Elekes et al.
α α 励起エネルギー α α p3/2 p3/2 α α 12C 13B 12Be 8He α α α
MEG実験2009 陽電子スペクトロメータの性能評価
Commonly-used detectors for SksMinus and SksPlus
単色X線発生装置の製作 ~X線検出器の試験を目標にして~
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
中性子過剰核での N = 8 魔法数の破れと一粒子描像
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 06MP111 吉竹 利織
natMg+86Krの反応による 生成核からのβ線の測定と GEANTによるシミュレーションとの比較
原子核物理学 第4講 原子核の液滴模型.
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
核子ノックアウト反応による3He原子核のスピン依存運動量分布の研究
質量数130領域の原子核のシッフモーメントおよびEDM
RHIC-PHENIX実験での 直接光子測定
KOPIO(BNL-E926)のための α線源を用いたNitrogen Scintillation の研究
中性子数51近傍の原子核における 高スピン状態の研究 増江 俊行, 堀 稔一, 田尻 邦彦, 長澤 拓, 小紫 順治,西村 太樹,
Dissociative Recombination of HeH+ at Large Center-of-Mass Energies
原子核物理学 第8講 核力.
理研稀少RIリングの為の TOF検出器の開発 埼玉大学大学院理工学研究科 博士前期課程2年 久保木隆正
埼玉大学 大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 11MP109 佐藤加奈恵
HERMES実験における偏極水素気体標的の制御
The Effect of Dirac Sea in the chiral model
10MeV近傍の2H(p,pp)n反応におけるQFS断面積異常探索
250MeVにおける2H(p,pp)n 実験計画〖E321〗
高分解能位置感応型 ファイバーシンチレーション検出器の開発
QMDを用いた10Be+12C反応の解析 平田雄一 (2001年北海道大学大学院原子核理論研究室博士課程修了
蓄積イオンビームのトラップからの引き出し
目的 イオントラップの特徴 イオントラップの改善と改良 イオンビームの蓄積とトラップ性能の評価
Azimuthal distribution (方位角分布)
超高分解能測定によるΘの探索 Θ(もしあるなら)のハイパー核は作れるか?
K+→π+π0γ崩壊中の 光子直接放射過程の測定
理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
12GeV p+A→φ+X 反応を用いた ベクター中間子の質量に対する 核物質効果の測定 (KEK-PS E325実験)
HERMESの横偏極水素標的用磁場の影響の評価と補正
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
SksMinus status 19 HB meeting 2009/2/06 白鳥昂太郎.
EMCalにおけるπ0粒子の 不変質量分解能の向上
原子核の殻構造の相対論的記述 n n n σ ω n σ ω n 柴田研究室 石倉 徹也 1.Introduction n n
SciFi を用いたΣ+p散乱実験での (ほろ苦い)思い出
卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
ストレンジネスで探る原子核 -ハイパー核の世界-
中性子過剰F同位体における αクラスター相関と N=20魔法数の破れ
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
J-PARC meeting 藤岡 宏之 2006/01/31.
10MeV近傍の2H(p,pp)n における Star断面積異常探索
大強度ビームにふさわしい実験装置をつくろう Kenichi Imai (JAEA)
暗黒物質検出のための 方向感度を持った検出器の開発
Study of precursor phenomena of pionic condensation via parity conversion nuclear reaction on 40Ca Masaki Sasano Pion condensation Phase transition.
(RHIC-PHENIX実験における粒子放出の方位角異方性の測定)
Cylindrical Drift Chamber
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
原子核物理学 第6講 原子核の殻構造.
(K-, J-PARC 理化学研究所 大西 宏明.
核内ω中間子質量分布測定のための 検出器開発の現状
ハイパー核物理分野から見た K原子核物理へのコメント
Brueckner-AMDの軽い原子核への適用
Recoil catcher法による質量数90領域の
(K-,K+)反応によるΞハイパー核の生成スペクトル
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
現実的核力を用いた4Heの励起と電弱遷移強度分布の解析
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
軽い原子核の3粒子状態 N = 11 核 一粒子エネルギー と モノポール a大阪電気通信大学 b東京工業大学
SksMinus status 12 HB meeting 2008/9/12 白鳥昂太郎.
Presentation transcript:

6He及び5Heの深部空孔状態とクラスター構造 京都大学 原子核・ハドロン物理学研究室 中津川 洋平 京都大学 :中津川洋平 與曽井優 坂口治隆 安田裕介        寺嶋知 岸智史 銭廣十三 江守隆 岩尾快彦 阪大RCNP: 藤原守 伊藤正俊 吉田英智 中西康介  川瀬啓悟 橋本尚信 奥村俊  甲南大理工:山形民穂 秋宗秀俊 木下麻希 藁科信行 徳島大総合:中山信太郎 伏見賢一 神戸常盤短大:田中正義 JASRI :豊川秀訓 東京工業大学:内田誠

contents 研究の動機 実験 解析 7Li(p,2p)6He* 6Li(p,2p)5He* summary  研究の動機  実験  解析 7Li(p,2p)6He* 6Li(p,2p)5He*  summary  7Li(p,2p)の偏極分解能

研究の動機 6He(s-hole) 7Li →6Heでは? 軽い原子核・・・単純な殻構造とクラスター構造が混在   軽くなるにつれ、高励起状態からの直接崩壊が多い。 ⇒構造は崩壊様式に反映 軽い核をターゲットにした(p,2p)反応で励起された s-hole状態の崩壊様式が調べられてきた。 s-hole状態・・・ もっとも深い1s軌道陽子を 1つ叩き出した状態    (殻模型的表現)   6He(s-hole) 7Li →6Heでは? 7Li(p,2p)6Heで生成される6Heの 崩壊様式を調べ、その構造に関する情報を得よう ⇒E204 (Nov.2003)

shell modelに基づく理論計算 ~励起スペクトルと崩壊の分岐比~ threshold t+t 12.3MeV 5He + n 1.77MeV α+2n 0.973MeV 15MeV付近のbump t + tは多くない (24%)

検出器・ターゲット SSD array 大阪大学RCNP Ring Cyclotron beam: 392MeV polarized proton (p,2p) reactions    dual spectrometer GR & LAS (~0 MeV/c recoil momentum          for decay of the s-hole) Thin targets :7Li (E204), 6Li (E250) ・  decay charged particles      SSD array (Si semiconductor)  E204 100 or 20μm-5mm : 7 sets      500μm-300μm : 8 sets    E250 500μm-μ300m : 8sets 500μm only : 7sets

Grand Raiden ,LAS & SSD target 7Li ~1.4mg/cm2 LAS Grand Raiden SSD array LAS Grand Raiden target 7Li ~1.4mg/cm2 proton

7Li(p,2p)スペクトルと崩壊粒子のローカス s-hole状態からのt+t 崩壊の分岐比 ・・・ 72.1±1.56% all tritons detected triton gate ターゲット中でのエネルギーロス、discriminatorのthreshold . . . 十分高いエネルギー領域では ・・・ 92.3±2.62% shell modelの予想に反している!

クラスター描像 tからknock out αからknock out

6Li(p,2p)5Heでは? 新たな興味・・・6Li(p,2p)5Heではどんな崩壊モード が観測されるだろうか? 6Li・・・α+d s-hole状態からは d+tが多く観測されるのでは? 5He 6Li ⇒E250(Nov. 2004)  threshold t+d  ・・・ 16.8 MeV α+n ・・・ -0.798MeV 同様の実験を 6Li ターゲットで行う

6Li(p,2p)スペクトルと崩壊粒子のローカス d t α α+n gate d+t gate

崩壊モードの分岐比 α+n d+t ( s-hole -(α+n) ) α+n d+t s-hole region 分岐比 α+n peak 領域 (Ex=15.0~17.5MeV) α+n 40±1.2% d+t 60% それ以上 (Ex>17.5MeV) α+n 8±1.1% d+t 92% s-hole全体 α+n 21±1.1% d+t 79%

summary 7Li(p,2p)6He 6He(s-hole)の崩壊様式・・・ t+t:72%以上 (tritonがすべて検出できるエネルギー領域では92%) 2つのtritonからなるクラスター描像がよく成り立つ 6Li(p,2p)5He 5He(s-hole)の崩壊様式   ・・・d+t が多いはず(6Heからの類推) s-hole状態のスペクトル・・・2成分 実験の結果⇒ α+n decayを含む鋭いpeak

偏極分解能 Ay ●核内の核子間相互作用・・・自由空間とは異なる ●最近の実験 4Heを中心とするいくつかの軽い核 ●自由空間での(p,p)の  analyzing power(Ay)に  対する減少が観測されている 媒質効果?(平均核密度)    or off-shell性?(Q-valueの違い) ●最近の実験 4Heを中心とするいくつかの軽い核 (平均核密度とQ-valueが比例しない) でAyを測定 AyはQ-valueに対し滑らかに減少

s -hole状態におけるAyの減少 ( 7Li(p,2p) ) ●polarized beam ⇒spinをupとdownに分けて解析 ⇒Ayを計算 ●6Heの励起エネルギーごとのAy →s-holeの領域で   Ayがなめらかに単調減少 同じ状態からの散乱で、励起エネルギーに対し変化   →  Q-value依存 ?       freeのAy? s -hole領域を 直線でfit

研究の動機 ~6Heの背景~ Akimune et al., 6Li(7Li,7Be)6He*→decay (charge exchange reaction) 2つのtriton(3H)への崩壊 ⇒tritonクラスターの重要性 αクラスターの優位 もっと単純な反応で見よう ⇒本実験 ( (p,2p)反応 )

7Li(p,2p) スペクトル

t+t崩壊の分岐比 SSDの数 8個 等方性を仮定 branching ratio 各SSDの立体角= 5.97msr 1 Y(t+t) x x 5.97[msr] x 8 2 = Y(s-hole) 各SSDの立体角= 5.97msr 2 tritons ⇔ 1 decay = 72.1±1.56%

崩壊モードのゲート d+t projection α+n 崩壊粒子の識別 TOF(ターゲット-SSD)では 分離できなかった   分離できなかった ⇒ d+t ローカス方向への射影で   崩壊モードを分ける d+t projection α+n

Ay の解析 ( ( [ ] polarized proton beam ⇒ spin を up と down に分けて解析 Y↓P↑    Y↑P↓  Q↓      Q↑ Y↑ = ( 1 + P↑Ay )Q↑n 1 dΩ ⊿Ω ( 1 = dΩ P↑-P↓ ⊿Ω n dσ 1-α Y↓ = ( 1 + P↓Ay )Q↓n ⊿Ω α= Q↑ Q↓ Y↑ Y↓ dΩ Ay= [ ] αP↑-P↓ Q:入射粒子の総数 n:ターゲットの密度 polarized proton beam ⇒ spin を up と down に分けて解析 Yieldを1MeVの幅で計数し、 各励起エネルギー (Q-valueに対応) に対しAy を求める。