P2P概説 P2P概説 第2回 / 2005-04-20
本講義での大事なこと 次の2つで評価します 前期末試験は行いません。 3~4回(予定)のレポート 出席(救済措置の意味が強い) 前期末試験は行いません。 http://www.wakhok.ac.jp/~tomoharu/p2p-wakkanai-2005/
P2Pとは何か
クライアント・サーバ (1) Webの場合 サーバとクライアントの役割が違う サーバに負荷がかかりすぎる場合がある サーバ: Webサーバ 「ひとつのサーバ」と「多数のクライアント」
クライアント・サーバ (2) 誰がダウンロードしたか管理しやすい 公開は少し面倒 いくつかのステップを踏んでファイルをアップロード サーバを立てる必要があるかもしれない
P2P (1) P2P = Peer to Peer それぞれのPeer(コンピュータ)の役割が同じ
P2P (2) どこにどうファイルがコピーされたかわかりにくく、管理しにくい 特定のコンピュータに負荷が集中しにくい。 耐故障性が強い。 強い「匿名性」を得られる場合がある 特定のコンピュータに負荷が集中しにくい。 耐故障性が強い。 公開は簡単 P2Pソフトを立ち上げて、ファイルを指定すればOK
オーバレイ・ネットワーク
オーバレイ・ネットワーク (1) 端末D・E・F は、それぞれ別々の物理ネットワークに所属している。 D・E・Fは、 同一のP2Pアプリケーションに参加している。
オーバレイ・ネットワーク (2) D・E・Fは、物理ネットワークを超えて、(仮想的に)P2Pネットワークに参加していると言える。 この仮想的なネットワークを「オーバレイ・ネットワーク」と言う。
オーバレイ・ネットワーク (3) 「オーバレイ・ネットワーク」は、物理的なネットワークの枠組みを超えて構築できる。 ファイアウォールなど P2Pは「オーバレイ・ネットワーク」を構築するための技術であるとも言える。
P2Pのしくみ
P2Pの通信の問題点 P2P = それぞれの Peer (コンピュータ) の役割が同じ
Hybrid-P2P システム (1) ファイルの所在地情報を管理する「インデックスサーバ」を用意 それぞれの Peer は、インデックスサーバにアクセスして希望のファイルにアクセスする。
Hybrid-P2P システム (2) 情報へのアクセス --> P2P のしくみで行う 情報のありかの管理 -->インデックスサーバで行う P2P のしくみとサーバのしくみみを併用するので「Hybrid-P2Pシステム」という。 hybrid (混成の)
Pure-P2P システム インデックスサーバは用意されておらず、P2Pのしくみだけで必要な情報を探す。 探索する方法はさまざま 「フラッディング」による探索 「分散ハッシュテーブル (DHT)」の利用
P2Pはどこで使われているか
P2Pはどこで使われているか ファイル交換 グループウェア 掲示板 IP電話 Gnutella, Napster, WinMX, Winny Groove, ifreestyle 掲示板 新月 IP電話 Skype
P2Pと社会
P2P = “Person to Person” 説 (1) 通常は P2P = “Peer to Peer” の略 P2P = “Person to Person” と言われることも多い
P2P = “Person to Person” 説 (2) P2PのPeerを個人になぞらえると 「P2Pのネットワーク = 個人を重視したネットワーク」となる Peer と Peer (個人と個人) が直接通信する Peer (個人) が重要 階層構造がない
P2Pの管理困難性から 生じる問題 (1) P2Pの場合、ネットワーク構成が動的に変化していく。
P2Pの管理困難性から 生じる問題 (2) 結果としてP2Pネットワークの「匿名性」が強まる。 管理困難性をいいことに、「違法な」ファイルのやり取りが多く行われる。
Winny事件 (1) 経緯 2003/11/27 Winnyユーザの逮捕 2004/05/10 Winny開発者の逮捕 著作権者に無断で映画ソフトを不特定多数のユーザーに送信できる状態にしていた 著作権法違反(公衆送信権の侵害) 2004/05/10 Winny開発者の逮捕 11月27日のWinnyユーザ逮捕について、開発者が著作権法違反幇助に問われた
Winny事件 (2) 経緯 2004/09/01 Winny 事件初公判 2004/11/30 Winny ユーザ裁判の京都地裁判決 有罪 著作権法違反(公衆送信権の侵害)
Winny事件 (3) ユーザの逮捕 著作権法違反 公衆送信権 刑事 (民事だと「著作権侵害」) 著作権のうちの1ジャンル 「公衆によって直接受信されることを目的として著作物の送信を行うことができる権利」 (by Wikipedia)
Winny事件 (4) ユーザの逮捕 著作権法第23条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。
Winny事件 (5) ユーザの逮捕 「・・・不特定多数のインターネット利用者に上記各情報を自動公衆送信し得るようにし,もって上記各著作権者が有する著作物の公衆送信権を侵害したものである。」 「京都地方裁判所 平成15(わ)2018 著作権法違反被告事件」判決文より
Winny事件 (6) 開発者の逮捕 容疑「著作権法違反幇助」 「幇助(ほうじょ)」ってなに? 正犯の犯罪行為を容易にすること この場合の「正犯」=逮捕されたWinnyユーザ Winnyの開発行為は「著作権法違反幇助」にあたるのか? 主に「幇助の故意」があったかどうかが論点に
Winny事件 (7) 開発者の逮捕 幇助行為 幇助の故意 主犯との意思の連絡 被幇助者が犯罪行為を実行 Winnyの開発、流通 ? あったのか? 被幇助者が犯罪行為を実行 これは実行された
JXTAの概要
JXTA 「じゃくすた」と発音 P2Pに必要な機能をプロトコルとしてまとめている 参照実装として Java版, C言語版 オープンソースで開発されている もともと、Sun Microsystems 内の Bill Joy のプロジェクト http://www.jxta.org/
JXTA Shell JXTAのプロトコル上で動くアプリケーション Unix の Shell のように、コマンドを利用して P2P を使った情報の公開、転送などを行う。 コマンドは自分で新規作成可能 Java言語を用いる