P2Pの歴史と発展 FM10003 小川 敬寛.

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P2Pの歴史と発展 FM10003 小川 敬寛

P2P形ネットワークの登場の背景 ■ネットワーク(インターネット)の歴史 (1980年代後半~) メールサービス UNIX間ネットワーク              (1980年代後半~)    メールサービス    FTP(ファイル転送プロトコル)   ・問題点 UNIX間ネットワーク 利用者が少数の先進的なユーザに限られる

(1994年頃~) アナログ回線・ISDN ナローバンド ・問題点 WWWの登場 アクセス回線が利用上の障害

ADSLの登場 (1999年頃~) ADSL技術 コンテンツ配信ネットワークの構築 →多数のユーザに大容量コンテンツを配信 ・問題点 ブロードバンド時代 ユーザの急増により特定コンテンツに利用が集中し、サーバーからのレスポンス遅延する

今後予想されること ・更なる利用の増大 ・コンテンツの大容量化 ・サービスの高速化・多様化 などが進むと考えられる しかし・・・

現状のネットワーク クライアントサーバー型ネットワークでは ・特定サーバーへのアクセス集中・トラフィック 集中が発生しやすい。            ・特定サーバーへのアクセス集中・トラフィック             集中が発生しやすい。            ・サーバーの処理能力やアクセス回線によって             サービス需要拡大に十分対応できない恐れ              がある。 ・サービスの高度化、利用者の増加に伴い  処理能力、ストレージ、回線、管理体制が必要になる ⇒高コストに直結するため大規模投資が必要となる

現状のネットワーク 現状が続けば資金力、体力のある企業しかサービスを行う事ができなくなる恐れがある。 P2P技術が解決策として期待されている  現状が続けば資金力、体力のある企業しかサービスを行う事ができなくなる恐れがある。 そこで 耐障害性・拡張性に優れた                 P2P技術が解決策として期待されている

P2P型ネットワークの主な特徴 コスト面 ・サーバーだけに依存しない 拡張性 ・サーバー機能を各ノードが分散して維持  コスト面  ・サーバーだけに依存しない  ・保守管理の負担軽減・資源集中のリスク回避  拡張性  ・サーバー機能を各ノードが分散して維持  ・システムの特定部分に負荷が集中しない  ・ユーザ数が増加してもシステムの規模を増加する必要がない

・1つのピア(パソコン)に障害が起きてもそれ以外に及 P2P型ネットワークの主な特徴  冗長面・耐障害性  ・1つのピア(パソコン)に障害が起きてもそれ以外に及   ぼす影響が小さい ・分散化によりパケットの紛失や損傷リスクが軽減する

P2P型ネットワークの主な特徴 ネットワーク全体の管理 アドホック(その場その場でネットワーク構築) ・一言集中管理的な手法には不向き  ・アクセス管理・ログ取得や課金などはできない ネットワーク全体の管理  ・一言集中管理的な手法には不向き ・その場のメンバー同士の承認のみでネットワーク構築ができる ・システムによっては一度運用を開始するとシステム全体を停止できない

P2P型ネットワークの誕生 ICQ ・1996年にイスラエルのミラビリス社が開発 ・P2P技術を用いたインスタントメッセンジャー ・1億以上のユーザに爆発的に普及した ・セキュリティ上の欠陥や不正利用するユーザが登場するなど問題があった

色々なP2Pファイル交換システム Napster(ナップスター) ・1999年にノース・イースタン大学の学生が発表 ・ファイル交換ソフト第1号 ・ハイブリットP2Pモデルを採用 ・米国の大学を中心にユーザ数を拡大 ・著作権侵害で提訴される ・2001年にサービス停止 →敗訴

色々なP2Pファイル交換システム Gnutella(グヌーテラ) ・2000年3月にnullsoft社の社員が発表 ・その後有志により再構成され広まった ・ピュアP2Pモデルを採用 ・あらゆるデータを共有可能で高速なデータ更新や検索性、耐障害性に優れる ・サービス主体者がいないことや中央管理サーバーがないため監視や規制が難しい

色々なP2Pファイル交換システム KaZaA(カザー) ・2001年3月に公開 ・スーパーノード型P2Pモデルを採用 ・各国で訴訟が起こされる→現在は終了 ・日本語版もありダウンロード可能 ・2007年に深刻な脆弱性が見つかり、現在は無許可修正版の「KaZaA Lite」が主流

P2P技術の開発とその利用 2005年米国最高裁が 「開発者にはユーザの違法行為に対しても法的責任がある」という判断を下す 提 訴 開発企業 ユーザ 提 訴 配布 不正利用 ユーザ ユーザ 関連団体 ユーザ ユーザの増加 2005年米国最高裁が 「開発者にはユーザの違法行為に対しても法的責任がある」という判断を下す 2003年米国連邦地裁が 「ファイル交換ツールのそのもの配布は合法」 という判断を下す

訴訟問題の国内への波及 2001年に日本MMO社が配布開始した「ファイルログ」が2003年に著作権侵害で損害賠償金の支払いが命じられる 2001年にはビジネスソフトを公開していた学生が世界で初めて逮捕される その時利用されていたソフトが                                 だった  WinMX

WinMXとは ・2000年にFrontcode Technologies社が開発 ・”中央管理サーバーを持つハイブリット型P2Pモデル”と”独自プロトコルを利用したサーバーに依存しないピュアP2Pモデル”を併せ持つシステム ・扱えるファイルが豊富で様々なファイルを共有できた。 ・複数のサーバーに同時接続可能 ・2バイト文字が使え、日本語化パッチが存在したこともあり日本でも人気が出た ・2005年に公式サイトが閉鎖され、中央管理サーバーが停止される

WinMXのしくみ ◆親がダウンロードするとき 親 子

WinMXのしくみ ◆子がダウンロードするとき

Winnyについて ・WinMXから逮捕者が出たことで開発された国産のファイル交換ソフト ・WinMXの次世代版ということでWinMX→Winnyと名付けられた ・日本発であること、簡単に利用できたなどのことから日本で大ブレイクした

Winnyの特徴 ・ アップロード実績に応じてダウンロードの最大接続数も増える。 ・ 匿名性が高く、誰と通信しているかわからない ・ ダウンロードするとパソコンにキャッシュ(ダウンロードしたファイルを暗号化したもの)がたまる ・ キャッシュフォルダからもアップロードされるので、知らない間に保存されたファイルがアップロードされる。

Winnyの仕組み

他のソフト同様著作権問題が取り沙汰される・・・ BitTorrentの登場 ・ 2001年米国で開発されたファイル交換プロトコル及びアプリケーション ・ すでにデータを受け取った人が他の受取人に配布する形式 ⇒ユーザが多ければ多いほどダウンロード時間が短縮する P2P型ネットワークの特性を発揮する技術 しかし・・・    他のソフト同様著作権問題が取り沙汰される・・・

P2Pのコンテンツ流通への応用 2005年頃からP2P技術をコンテンツ業界も合法的に活用しようといった考え方に変わり始めた ・コンテンツ業界と契約を結び配信する企業 iMesh Mashboxx BitTorrent Joost など ・合法的な利用に絞ったビジネスを模索した企業 Kontiki シェアキャスト など

日本での事例 シェアキャスト(SheraCast) ・2002年にライブ配信の負荷分散を目的として開発された ・国内で初めてP2P技術を事業化した ・現在の最新版は“シェアキャスト2プラス”でインストール不要でブラウザ上でP2Pユーザとして利用出来る

シェアキャストの実績 NBA2002のライブ中継 2002年6月の金環日食の模様 2003年母島初日の出 などを行った ・最近では事業仕分けの生中継で話題を集めた

P2P技術の可能性と今後の展開 現在・・・ ・ブロードバンドネットワークの普及   ・ブロードバンドネットワークの普及  特に日本では光ファイバの普及(世界3位) ・端末の高性能化、多様化 ・ネットワーク上のコンテンツビジネスの拡大 ・ワイアレスネットワークの広域化 など様々な環境の変化によりP2P技術の可能性は拡大しつつある。 30% ・・・

P2P技術の合法的な利用の拡大 事業者側 ・ネットワークコンテンツビジネスの拡大 ・C/Sモデルでのコンテンツ事業者コスト負担の増加 →負担回避のためにP2P技術が期待される ユーザ側 ・ブログ・SNSの利用 ・長時間PCで動画を見るなどの利用スタイルの変化 →「ブロードバンドユース」の発生 ユーザの拡大

P2Pの様々な利用方法

P2P型ネットワークの課題 ■ユーザからの課題 ■事業者側からの課題 ■ネットワーク側からの課題

ユーザからの課題 ・個人情報漏洩への対応 ・ウィルス・ワーム等への対応 ・参加者・システム構成者としてのリテラシーの確立 ・自由なシステム構成者としての相互扶助が保てるか

事業者側からの課題 ・不正コンテンツの流通防止 ・流通経路の保護からコンテンツそのものの保護へ ・従来の集中型システムではなく分散型システムのセキュリティが必要 ・明確なコスト・メリットを打ち出す ・P2Pの活性化

ネットワーク側からの課題 ・少数ユーザにより膨大なトラフィック発生 ・バックボーンなどへのネットワーク負担問題 などの解決 【理想】 【現実】 ←ここに太い需要

今後の検討に向けて ・P2P型ネットワークに関係する大半の問題は不正利用及びその増大が原因 ・明確な悪意がなくても不正利用のサイクルに陥る可能性がある。 ・P2P型ネットワークはそのユーザ数が価値を形成するメカニズム →ユーザの利用の抑止はP2P型ネットワークの価値形成の阻害要因となる

今後の検討に向けて 自由なユーザ利用とその自己増殖メカニズム がP2Pの真価なのでいかに不正利用を排除し、 適正で自由な利用環境を実現するかが今後の テーマとなる。