大気汚染防止法の改正について -石綿の飛散防止対策の更なる強化-  平成26年6月17日   環境省 水・大気環境局 大気環境課.

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大気汚染防止法の改正について -石綿の飛散防止対策の更なる強化-  平成26年6月17日   環境省 水・大気環境局 大気環境課

1.改正前の大気汚染防止法における石綿規制 特定粉じん排出等作業を伴う建設工事(特定工事) 3月以下の懲役 又は 30万円以下の罰金 特定工事の施工者 届出義務 作業基準の遵守 注文者の配慮 特定工事の注文者 計画変更命令 作業基準 適合命令 都道府県等 6月以下の懲役 又は 50万円以下の罰金 6月以下の懲役 又は 50万円以下の罰金 報告徴収・立入検査 30万円以下の罰金

建築物の解体等時における石綿の飛散防止対策の更なる強化が必要 2.(1)大気汚染防止法改正の必要性 ○ 建築物等の解体現場等から石綿が飛散する事例及び建築材料に石綿が使用されているかどうかの事前調査が不十分である事例が確認されるとともに、立入検査権限の強化、事前調査の義務付け、大気濃度測定の義務化の必要性等について地方公共団体から要望。 ○ 東日本大震災の被災地においても、石綿を用いた建築材料が使用されている建築物や煙突内部の石綿除去工事、解体工事において、石綿の飛散事例が確認。 ○ 昭和31年から平成18年までに施工された、石綿使用の可能性がある鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建築物の解体等工事は、平成40年頃をピークに全国的に増加。 ○ 平成18年の大気汚染防止法の改正法の附則において施行後5年を経過した場合に検討を行うこととされているところ。 建築物の解体等時における石綿の飛散防止対策の更なる強化が必要

民間建築物の年度別解体棟数(推計) 平成40年 約100,000棟 平成25年 約55,000棟 <国土交通省 社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会資料>

2.(2)大気汚染防止法改正の概要 (1)特定粉じん排出等作業を伴う建設工事の実施の届出義務者の変更  解体等工事の施工者が行うべきこととされている特定粉じん排出等作業(吹付け石綿等が使用されている建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業をいう。以下同じ。)を伴う建設工事の実施の届出について、解体等工事の発注者又は自主施工者が行うべきこととする。 (2)解体等工事の事前調査の結果等の説明等  解体等工事の発注者から解体等工事を請け負う受注者は、当該工事が特定工事 (特定粉じん排出等作業を伴う建設工事をいう。)に該当するか否かの調査を 実施し、その結果及び届出事項を発注者に書面で説明するとともに、その結果等を解体等工事の場所に掲示しなければならないこととする。 (3)報告及び検査の対象拡大  都道府県知事等による報告徴収の対象に、届出がない場合を含めた解体等工事の発注者・受注者又は自主施工者を、また都道府県知事等による立入検査の対象に解体等工事に係る建築物等を、それぞれ加える。 公布日 :平成25年6月21日 施行期日:平成26年6月1日

自主施工者 事前調査の実施及び掲示を義務付け 大気汚染防止法による飛散防止の手順 自主施工者 事前調査の実施及び掲示を義務付け 改正法第18条の17第3項及び第4項 届出者 の変更 作業基準:現行と同じく元請に遵守義務 義務付け 掲示追加 受注者 特定工事に該当するか否かの調査 受注者 発注者へ調査結果等を書面で説明 発注者 作業の事前届出 受注者 公衆の見やすい位置に掲示 作業場の隔離、集じん・排気装置の設置 特定建築材料の除去 隔離シートの撤去 改正法 第18条の15 第1項及び第2項 改正法 第18条の17 第4項 改正法第18条の17第1項

改正法施行後の義務者 (建築物所有者等) (元請業者) 発注者 受注者 (解体等工事を請負業者に発注する場合) ○事前調査  (    は改正箇所) (建築物所有者等) (元請業者) 発注者 ○事前調査 ○発注者への事前調査結果の説明 (特定工事の場合は、届出事項も説明)  ○事前調査結果の掲示 受注者 ○届出 ○事前調査への協力       費用の適正負担、調査に関する必要な措置 ○工期、工事費等請負   契約の配慮 ※ ○作業基準の遵守 特定工事の施工者 ※罰則規定  3月以下の懲役又は30万円以下の罰金

改正法施行後の義務者 (建築物所有者等) (解体等工事を自ら施工する場合) 自主施工者 ○事前調査 ○事前調査結果の掲示  (    は改正箇所) (建築物所有者等) ○事前調査 ○事前調査結果の掲示 自主施工者 ○届出 ○作業基準の遵守 特定工事に該当する場合 ※ ※罰則規定  3月以下の懲役又は30万円以下の罰金

改正内容(1) 届出義務者の変更 改正の目的等 ➢ 発注者が契約上優位な立場にあることを背景に、施工業者に対してできるだけ低額、短期間の工事を求め、施工業者がこれに従わざるを得ないことや、施工業者も低額、短期間の工事を提示することで契約を得ようとすることにより、届出がなされないことが問題となっている。 ➢ 解体工事等が特定粉じん排出等作業を伴うものである場合については、その届出の義務者を施工業者から変更し、工事を請け負おうとする建設業者から届出事項に関しての説明を受けた発注者に、特定粉じん排出等作業の実施の届出義務を課すことが適当と考えられる。 ➢ 特定工事において契約上優位な立場にある発注者に届出が義務付けられることにより、事前調査や届出が円滑に進むと考えられる。 <中央環境審議会「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」(平成25年2月)>

適切な届出、石綿の飛散防止対策の実施につながる 改正内容(2) 事前調査の結果等の説明等① (事前調査の義務化) 改正の目的等 ➢ 建築物の解体工事等(改造、補修を含む)に先立ち、適切な事前調査を行い特定建築材料の使用状況を把握することにより、飛散リスクに適切に対応できる仕組みを構築するため、大防法において事前調査の実施を義務付ける必要がある。 ➢ 発注者が届出等の義務を確実に果たせるよう、建設業者に発注者への調査結果の説明を義務付けるなど、専門的知識を有する建設業者から発注者への支援が必要である。 <中央環境審議会「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」(平成25年2月)> 適切な届出、石綿の飛散防止対策の実施につながる

改正内容(2) 事前調査の結果等の説明等② (事前調査の義務化) ●請負業者(受注者)の調査   解体等工事(※)の受注者は、当該工事が特定工事に該当するか否かについて調査。  (※)建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事(当    該建設工事が特定工事に該当しないことが明らかなものとして環境省    令で定めるものを除く。) ➣ 平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該建築物等以外の建築物等を解体し、改造し、又は補修する作業を伴わないもの ➣ 建築物等のうち平成18年9月1日以後に改造又は補修の工事に着手した部分を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該部分以外の部分を改造し、若しくは補修し、又は当該建築物等以外の建築物等(平成18年9月1日以後に設置の工事に着手した建築物等を除く。)を解体し、改造し、若しくは補修する作業を伴わないもの

改正内容(2) 事前調査の結果等の説明等③ (事前調査の義務化) ●請負業者(受注者)の調査結果等の説明 ① 解体等工事の受注者は、当該工事が特定工事に該当するか否かについて調査し、その結果を書面を交付して発注者に説明。 ② 調査の結果、特定工事に該当する場合は、届出に必要な事項を書面を交付して発注者に説明。 ➣ 調査を終了した年月日、調査の方法、調査の結果 ➣ 説明の時期 説明は、解体等工事の開始の日までに(当該解体等工事が特定工事に該当し、かつ、特定粉じん排出等作業を当該特定工事の開始の日から14日以内に開始する場合は、当該特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに)行うものとする。ただし、災害その他非常の事態の発生により解体等工事を緊急に行う必要がある場合は、速やかに行うものとする。

改正内容(2) 事前調査の結果等の説明等④ (事前調査結果の掲示の義務化) 改正の目的等 ➢ 周辺住民への情報開示について ➢ 周辺住民への情報開示について   事前調査の結果等の更なる情報開示が必要ではないかとの指摘もあり、今回検討している制度改正に伴い、現場での掲示を含む情報開示についても、追加すべきものがないか、検討する必要がある。 <中央環境審議会「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」(平成25年2月)> 周辺住民とのリスクコミュニケーションの増進に向けた取組の推進

改正内容(2) 事前調査の結果等の説明等⑤ (事前調査結果の掲示の義務化) ●調査結果の掲示(解体等工事の受注者又は自主施工者が実施) 事前調査を実施した者(解体等工事の受注者又は自主施工者)は、解体等工事を施工するときは、環境省令で定めるところにより、調査結果等を掲示しなければならない。 ●掲示場所   公衆に見やすいように掲示 ●掲示内容   調査の結果その他環境省令で定める事項 ➣ 掲示は、掲示板を設けることにより行  うこと ➣ 調査を行った者の氏名又は名称、住所、法人の代表者の氏名 ➢ 調査を終了した年月日 ➢ 調査の方法 ➢ 特定工事に該当する場合は、特定建築材料の種類

改正内容(3) 報告及び検査の対象拡大① 改正の目的等 ➢ 届出が提出されていない建築物等の解体・改造・補修現場に対しては、都道府県等が石綿飛散のおそれがあると判断した場合や、近隣住民の通報等があった場合においても、特定工事に該当することが判明していない限り、大防法による立入検査の実施が困難であり、作業基準の遵守を求めることが難しいという問題がある。 ➢ このため、都道府県等の立入検査権限の対象を拡大すべきである。 <中央環境審議会「石綿の飛散防止対策の更なる強化について(中間答申)」(平成25年2月)>

改正内容(3) 報告及び検査の対象拡大② (報告徴収) 対象者イメージ 実施者:環境大臣、都道府県知事又は政令で定める市の長 対象者:解体等工事の発注者又は受注者、自主施工者、特定工事の施工者 内 容:解体等工事に係る建築物等の状況、特定粉じん排出等作業の状況その他必要     な事項 対象者イメージ ●大気汚染防止法施行令の規定概要 ➢ 環境大臣又は都道府県知事は、解体等工事の  発注者に対し、新法第18条の15第1項第4号  から第7号までに掲げる事項、同条第3項の環  境省令で定める事項及び新法第18条の17第1  項の規定による調査について報告を求めること  ができることとする。  受注者に対し、新法第18条の17第1項の規定  による調査について報告を求めることができる  こととする。 ➢ 環境大臣又は都道府県知事は、自主施工者に  対し、新法第18条の15第1項第4号から第7  号までに掲げる事項、同条第3項の環境省令で  定める事項及び新法第18条の17第3項の規定 解体等工事の発注者及び受注者 並びに自主施工者 特定工事の施工者 改正後 改正前

改正内容(3) 報告及び検査の対象拡大③ (立入検査) 実施者:環境大臣、都道府県知事又は政令で定める市の長 対 象:解体等工事に係る建築物等、解体等工事の現場 内 容:解体等工事に係る建築物等その他の物件 対象イメージ ●大気汚染防止法施行令の規定概要 ➢ 環境大臣又は都道府県知事は、その職員  に、解体等工事に係る建築物等又は解体等  工事の現場に立ち入り、解体等工事に係る  建築物等、解体等工事により生じた廃棄物  その他の物及び関係帳簿書類について検査  させることができることとする。  に、特定工事に係る建築物等又は特定工事  の現場に立ち入り、特定工事に係る建築物  等、特定粉じん排出等作業に使用される機  械器具及び資材(特定粉じん排出等作業の  排出又は飛散を抑制するためのものを含  む。)並びに関係帳簿書類について検査さ  せることができることとする。 解体等工事 特定工事 改正後 改正前

3.作業基準の改正 作業基準(法第18条の14) ・特定粉じん排出等作業実施の掲示板の設置 ・作業場の隔離 ・前室の設置  3.作業基準の改正 作業基準(法第18条の14) ・特定粉じん排出等作業実施の掲示板の設置 ・作業場の隔離 ・前室の設置 ・負圧に保ち、HEPAフィルタを付けた集じん・排気 装置を使用して排気 ・除去する特定建築材料を薬液等により湿潤化 ・除去後、特定粉じんの飛散を抑制するため薬液等 を除去部分に散布 ・作業場内の特定粉じんを除いた後、十分な換気を し、隔離を解く 改正 ・作業場及び前室の負圧確認、集じん・排気装置の   稼働確認

作業基準の主な見直し 排気ダクト内の測定時に警告灯を設置した例 ①石綿除去作業の開始前に、作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認 集じん・排気装置 ①石綿除去作業の開始前に、作業場及び前室が負圧に保たれていることを確認 ②石綿除去作業の開始前と開始直後に、集じん・排気装置が正常に稼働することを確認 ③確認により異常が認められた場合は、必要な措置を実施 ④確認結果等を記録し、特定工事が終了するまでの間保存  等                             

環境省ホームページ 石綿関係 <参考> ・石綿(アスベスト)問題への取組 環境省ホームページ 石綿関係 ・石綿(アスベスト)問題への取組  <http://www.env.go.jp/air/asbestos/index.html> ・東日本大震災への対応>アスベスト対策  <http://www.env.go.jp/jishin/index.html#asbestos>