汐留エリアの高層ビル群による 風環境の変化に関する風洞実験

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汐留エリアの高層ビル群による 風環境の変化に関する風洞実験 汐留エリアの高層ビル群による風環境の変化に関する風洞実験について発表します。小山昌俊 1023227   小山 昌俊

風洞実験 都市の高層化・高密度化 市街地への風害が問題化 高層ビル群が 風環境に 及ぼす影響 1/750の縮尺模型 使用した 高層ビル群模型 1.ろ紙を用いて地表面の伝達率を測る実験 風洞実験 都市の高層化・高密度化 市街地への風害が問題化 高層ビル群が 風環境に 及ぼす影響 2.風速計を用いて弱風領域を測る実験 使用した 高層ビル群模型  1/750の縮尺模型 着脱した 高層ビル群模型  市街地模型 新橋駅 現在、都市の高層化・高密度化が急増し、市街地への風害が問題化しています。 ★本件球では、高層ビル群が風環境に及ぼす影響について、750分の1の縮尺模型を用いて、 2つの実験を行いました。 ★風洞実験では、汐留の新橋駅付近の市街地模型と高層ビル群模型を着脱して使用し、 ろ紙を用いて地表面の伝達率を測る実験を行い、 ★2つめに、市街地模型を外して高層ビル群模型のみを使用し、超音波風速計を用いて 弱風領域を測る実験を行いました。

e e e 物質伝達率算出法 E=⊿W/(A・h) k= E /( - ) k 蒸発速度 E h A ⊿W 物質伝達率 : 蒸発速度 [g / ㎡・h] E : 測定時間[h] h : ろ紙表面積[㎡] A : 水分蒸発量[g] ⊿W k= E /( - ) e a s 物質伝達率 1つめの実験では、物質伝達率を求めます。算出方法はこの式を使用し、蒸発速度Eを求め、それを用いて物質伝達率Kを求めます。 k : 物質伝達率 [g / ㎡・h・hPa] e s : 蒸発面の飽和蒸気圧 [hPa] e a : 空気蒸気圧 [hPa]

e 物質伝達率 k= E /( - ) 測定点の物質伝達率 k 伝達率比 k/ks = 風上基準の物質伝達率 ks a s 測定点の物質伝達率   k 風上基準の物質伝達率  ks = 伝達率比 k/ks 模型あり伝達率比(k/ks) k1 模型なし伝達率比(k/ks) k2 伝達率変化比 k1/k2 測定時の温湿度条件による誤差を除くため、風上基準と測定点の物質伝達率から伝達率比を求め、 ビル群模型のあり・なしの差、伝達率変化比を求めました。

風上基準点試料 50×50×50(mm) 測定点試料 35×35(mm) 水分蒸発量の測定方法 試料(ろ紙)に水を 含ませる 風洞内で 3分養生 試料の秤量 電子天秤 蒸発量測定 サーミスタ温度 センサを挿入 サーミスタ温度センサ 測定方法では、測定試料に水を含ませ、 ★風洞内で3分養生させたあと、電子天秤で秤量します。 ★測り終わったら風洞内にあるサーミスタ温度センサに挿入し、 ★20分後、再び秤量します。 ★この20分間での蒸発量を計測します。同時には行えないので、測定点試料については全工程を 2分遅れで行います。 20分 試料の秤量

測定場所 N 高層ビル群模型 設置位置 新橋駅 市街地模型範囲 測定場所は ★×2回 ビル群模型と市街地模型の全体の配置図です。 500m 風向 測定場所 高層ビル群模型 設置位置 新橋駅 市街地模型範囲 測定場所は ★×2回 ビル群模型と市街地模型の全体の配置図です。 500m N

風向 伝達率測定点 ビル群周辺 13点 第1街路 19点 第2街路 19点 計51点 測定 伝達率測定点は、 ★ビル群周辺の13点、 ★第1街路の19点、 ★第2街路の19点、計51点について行いました。 計51点 測定

ビル群模型のみを使用し 風速変化比を求めた ビル群によって起きる弱風領域を測る ビル群模型のみを使用し 風速変化比を求めた 使用したビル群模型 2つめの実験では、ビル群模型のみを使用し、超音波風速計を用いて、 弱風領域を測り、風速変化比を求めました。 超音波風速計

測定風向 風向 123° 風向 213° 風向 168° 全ビル群模型設置 ・・ケース1 2棟を外した状態 ・・ケース2 全ビル群模型設置 ・・ケース1 2棟を外した状態 ・・ケース2 測定風向 汐留ビル群模型 配置図 北から時計周りの角度123°・168°・213° の3方向を測定 黒:超高層 外した模型 風向 123° N 風向 213° 測定風向は、北から時計周りの角度で、 ★123°・168°・213°の3方向を測りました。 ★また、123°については2棟を外した状態でも測り、 以後、全ビル群模型設置時をケース1、2棟を外した状態をケース2と呼びます。 風向 168°

それぞれの風向で 地上30・100・200mに ついて測定した ビル群 風 30m 200m 100m そして、それぞれの風向・ケースで ★測定高さ、地上30m・100m・200mの3面について測定しました。 測定高さ概略図

風向・風速(ベクトル図)と風速変化比(等値線) これは、風向123°、地上30mの面を測定したケース1・ケース2のそれぞれの風向・風速を 矢印のベクトル図として出し、測定点別に出た風速変化比を線で結び、等値線としたものです。 変化比0.3の赤いラインと、0.5の黒く太いラインの形状を見比べると、形は変化し、 赤い弱風領域がケース2では狭くなったのがわかりました。 ケース1 ケース2

第1街路 ケース2風速変化比 増加 第1街路 伝達率変化比 増加 増加エリア 第1街路 第1街路 第2街路 第1街路 第2街路 測定箇所 第1街路 ケース2風速変化比            増加 第1街路 伝達率変化比 増加 増加エリア 第1街路 第1街路 第2街路 伝達率比 模型外したケース 全模型設置ケース 第1街路 第2街路 測定箇所 測定箇所 下のグラフは、風速変化比を伝達率の測定点と照らし合わせ、重なる各測定点での 数値を同じグラフに載せたものです。 ★伝達率変化比の第1街路では、ビル群の背後で増加するエリアがありました。 これは、ビル群中央を流れてくる風の影響だと考えられます。 ★風速変化比ではケース2で増加するエリアがありました。 これは、2棟を外したことにより ★今まで流れていた風が拡散した為だと考えられます。

まとめ 風速変化比 ビル単体というより全体が1つの大きな壁 市街地への風の供給に影響を与える これはビル群のみの風速領域 ・ビル群背後では風速は2割程度  まで減少する ・ビル群の背後では風が弱くなり  風下1kmにまで影響が及んでいた 風速変化比 ビル単体というより全体が1つの大きな壁 市街地への風の供給に影響を与える これはビル群のみの風速領域 以上の結果から風速変化比では、ビル群背後で風速は2割程度まで減少し、 風下1kmにまで弱風領域は及んでおり、 ★ビル単体というよりは、全体が1つの大きな壁となって市街地への 風の供給に影響を与えていることがわかりました。 しかし、これはあくまで、ビル群模型のみの使用による弱風風速領域の結果です。

各箇所で増減はあるが 第2街路まで風速は あまり変わらない まとめ 風速変化比 ⇒地上30m、ビル群模型のみでの測定 伝達率変化比⇒地表面、市街地模型における測定 単純な比較はできない 第1街路・・・0.99 第2街路・・・0.97 伝達率変化比平均 各箇所で増減はあるが 第2街路まで風速は あまり変わらない ★伝達率変化比では、第1街路の平均が0.99、第2街路の平均は0.97と各測定箇所での 増減はあるが、第2街路まで風速はあまり変わらないことがわかりました。 このことから、市街地の地上付近では、ビル群がない状態でもすでに風が弱まっているので、 変化は小さく、ビル群による市街地への風の影響は全体的に見ると少ないことがわかりました。 市街地の地上付近は、ビル群がない状態でもすでに風が弱まっている⇒変化が小さい!