原子層の電子物性、量子輸送および光物性の理論

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原子層の電子物性、量子輸送および光物性の理論 計画研究A04:理論 原子層の電子物性、量子輸送および光物性の理論 ●磁場効果と量子現象(越野) ● 磁性と超伝導(青木) ● 物質設計(斎藤晋) 相互作用から生まれる エキゾチックな物性 原子薄膜と磁場がもたらす特異な現象 ● ラマン分光(齋藤理) ● ナノ構造(若林) 説明: チーム構成です。大まかな研究内容と、あと主として共同研究する他の班が示されています。 新しい原子薄膜系の 電子状態計算・新物質提案 エッジ効果で電子を制御 新しいデバイス設計 構造評価としてのラマン分光を定量的に解析

磁場効果と量子現象 越野幹人(東北大 理) ・原子薄膜と磁場がもたらす特異な現象 ・巨大な反磁性 ・バレートロニクス K K’ 例:モアレ積層薄膜と量子ホール効果 ・巨大な反磁性 説明: 越野はグラフェンをはじめとする原子薄膜、またそれらによる複合構造がもたらす磁場中の特異な現象 (量子ホール効果をはじめとする輸送現象、軌道磁性)を主なテーマとします。 1)複合構造がもたらす特異な物理の例として、モアレ積層グラフェンの電子スペクトル(Hofstadter butterfly)と量子ホール効果 を例にあげています。この図はすでに出版されたものですが、このほかにも電気伝導(sigma_xx)、光吸収、またgraphene + h-BNの異種積層系など 多くの基本的な問題があります。 2)巨大な反磁性。グラフェンは大きな反磁性を持ち、その帯磁率は積層構造やナノ構造によって敏感に変わります。 構造をうまく設計することでたとえば巨大な反磁性をもつ3次元のバルク物質を作ることができれば大きなインパクトをもつと期待されます。 3)バレー自由度は外部磁場やナノ構造を工夫することで縮重を解くことができます。この性質を積極的に用いてバレーを分極させる機構を作ることで、 バレーを用いたスピントロニクスが実現することが期待されます。 積層構造やナノ構造で 巨大な反磁性物質を実現 ・バレートロニクス 構造や磁場を用いて擬スピン (谷の自由度)を制御 K’ K K K’

グラフェンを越えて ・新しい原子薄膜 … 新しい物性の宝庫 ・ 3次元Dirac系 … グラフェンの3次元版 MoS2 ・新しい原子薄膜 … 新しい物性の宝庫 Bi2Se3 MoS2 六方晶BN (トポロジカル絶縁体 [Song et al, APL 2010]) ・ 3次元Dirac系 … グラフェンの3次元版 説明: 1)新しい原子薄膜:原子薄膜はグラフェンだけでなく、上に示した様々なものが現実に存在します。 こういった様々な系に対して物性研究を広げていくことも大きな目標です。 電子状態はグラフェンとは大きく異なり、六方晶BNは絶縁体ですし、またトポロジカル絶縁体薄膜は 上下の表面状態がカップルした特別な2次元電子系となります。またMoS2はスピン軌道相互作用が大きく、 ナノ構造、外場などで(バレーではなく本物の)スピンを制御することを期待してます。 2)3次元ディラック系(これに力をいれたいのですが新学術の内容から少しずれます) 近年、3次元のギャップレスのディラック方程式(またはそれに類する方程式)で表わされるさまざまな物質が 第一原理計算などで予言されており、3次元ディラック系の物性が注目を集め始めています。 グラフェンに対してなされたように、この系に対して電気伝導、光吸収、量子ホール効果、などさまざまな物理量を計算することを計画してます。 次元性の違いは決定的で、2次元ディラックにはなかった性質や現象が期待されます。 表面状態(エッジ状態の3次元版)がもたらす物性、また磁場+電場下における chiral anomaly に絡んだ現象なども期待しています。 例)Y2Ir2O7  -- さまざまな化合物で存在が提案されている -- いろんな物性が不明!      電気伝導度、そもそも金属なのか?      表面状態(エッジ状態の3次元版)と物性、      3次元Diracのホール効果、etc

ナノ構造とデバイス設計 若林 克法(NIMS) サイズとエッジ効果で電子を制御する ナノグラフェン 量子ドット エッジを用いたスピン制御 構造欠陥、ドメイン構造

ラマン分光理論 θTW 齋藤理一郎(東北大 理) 構造評価としてのラマン分光 層の数 端や欠陥の位置 積層構造や相互作用 ABA ABC 光学顕微鏡 ラマンイメージ 積層構造や相互作用 θTW ABA ABC ねじれた2層構造

共同研究の方法 θTW 齋藤理一郎 構造評価としてのラマン分光 光物性・電子格子相互作用他 実験グループ 評価したい スペクトルの提供 光学顕微鏡 数値計算 スペクトルを再現 物理量の評価 検証実験 を依頼 検証実験 (他の実験) ラマンイメージ ABC ラマン分光に関する共著論文の作成 新たな構造の同定 新たな物理量の評価、評価方法 新たな実験方法の提案 スペクトルを再現しても不十分 定性的な議論では不十分

電子状態計算と物性設計 斎藤 晋(東工大 理) 第一原理計算による電子状態計算 化学修飾 グラフェン/h-BN/MoS2 複合原子層  第一原理計算による電子状態計算 化学修飾 グラフェン/h-BN/MoS2 複合原子層 シリセン 格子歪み効果

超伝導 多体問題としての原子薄膜 多体問題としての原子層膜 非平衡 強磁性 誘電分極 トポロジカル状態 グラフェン  多体問題としての原子薄膜 多体問題としての原子層膜 ― 電子間相互作用とトポロジカル多体状態、 超伝導、強磁性の探究 青木 秀夫(東大 理)  連携:初貝安弘(筑波大 物理)、島 信幸(兵庫県立大 物質理学) カイラル超伝導の可能性 整数・分数量子ホール効果 Floquet topological insulator Nanomesh の強磁性 トポロジカル量子効果としての分極 超伝導 トポロジカル状態 強磁性 誘電分極 非平衡 グラフェン

グラフェン・ナノメッシュにおける強磁性 ー 軽元素で磁石を作る グラフェン・ナノメッシュにおける強磁性 ー 軽元素で磁石を作る * 周期構造と物性の相関を探索; * 3次元周期構造(Koretsune, Arita & Aoki, PRB 2012)における擬磁場 最近ではグラフェン・ナノメッシュ (Bai et al, Nature Nanotech 2010) 半金属、半導体両方可能、 特にディラック・コーンに 「平坦ハンド」が貫通  強磁性の予言 (Shima & Aoki, PRL 1993)

トポロジカルな効果と電子相関 初貝安弘(筑波大 数理物質; 連携研究者) ・単層、多層グラフェン、シリセンなどの原子層物質における   1. 多体効果、トポロジカル相     * グラフェンQHEの n=0 におけるスピン非偏極絶縁相        スピン分解カイラル凝縮相   2. トポロジカルなバルク・エッジ対応     * エッジ状態、ナノグラフェンの多体状態     * 局所歪みなどの摂動の電子状態への効果  3. ディラック・フェルミオンの物理     * ディラック・コーンの普遍性とギャップ生成の理論     * n=0 ランダウ準位の特異性と安定性

計画研究 A04: 年次計画 基礎物性 ナノ構造 第一原理 超伝導・磁性 2013 2014 2015 2016 2017 グラフェン・ラマン 分光の理論 量子ナノ構造の 電子状態 構造修飾下の 電子状態 の解明 グラフェン超構造 における強磁性 2013 様々な原子薄膜 のナノ構造 高ドープ下での 超伝導の可能性 2014 酸化物、BN、 トポロジカル絶縁体 薄膜のバンド理論 酸化物、BN系、 トポロジカル薄膜の 電子状態計算 2015 異種物質の 接合系 平坦バンドにおける 分数量子ホール効果 新しい原子薄膜系 の光物性、 量子伝導 2016 ナノ構造を用いた エレクトロニクス デバイスの提案 新しい原子薄膜系 の物質設計、提案 トポロジカル 多体状態の探索 2017