A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」

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Presentation transcript:

A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」 「21世紀気候変動予測革新プログラム」 2008年1月18日 成果報告会:チーム雲解像 A④ (チーム名:雲解像モデリング) 「雲解像モデルの高度化と その全球モデル高精度化への利用」 研究代表者:坪木和久(名古屋大学 地球水循環研究センター) 参画研究者:増永浩彦(名古屋大学 地球水循環研究センター)         篠田太郎(名古屋大学 地球水循環研究センター)       渡部雅浩(東京大学気候システム研究センター)         青木尊之(東京工業大学 学術国際情報センター)     榎本剛(海洋研究開発機構地球シミュレータセンター)

東アジア域の暖候期に名大レーダーで観測された対流セルの出現率と、それらの数値モデルによる解像限界 背景(観測) 東アジア域の暖候期に名大レーダーで観測された対流セルの出現率と、それらの数値モデルによる解像限界 500m解像度モデルの限界 2km解像度モデ ルの解像限界 積乱雲などの対流セルの表現には1km~500mの格子解像度が必要。 雲解像モデルの利用が不可欠。 沖縄周辺 (海洋上) 上海周辺 (海岸部) 中国内陸部 (大陸上) 対流セル積算出現率(%;総観測個数約 25,000 個) 1km解像度 モデルの解像限界 対流セルの面積(大きさ)

背景 背景 Oouchi et al. (2006), JMSJ

雲を精度よくシミュレーションできるように雲解像モデルを高度化し、その利用、及び全球モデルとの結合により全球モデルの高精度化に寄与すること。 研究目的  雲を精度よくシミュレーションできるように雲解像モデルを高度化し、その利用、及び全球モデルとの結合により全球モデルの高精度化に寄与すること。 雲解像モデル高度化:雲解像モデルの改良と高度化。 雲物理過程の改良(完全2モーメント化、雹、氷晶生成) 力学過程の改良(セミラグランジュ化) パラメータ改良:雲解像モデルの計算から得られるデータを利用して、全球モデルの雲についてのパラメータを改良する。 非斉一モデル結合:非静力学雲解像モデルと静力学全球モデルを結合し、全球モデルの高精度化を図る。 1格子埋め込み(スーパーパラメタリゼーション) 領域埋め込み結合(双方向通信) 比較検証実験:現在気候と温暖化気候における全球モデル出力値を用いて、主に台風の雲解像実験を行いGCMの検証を行う。

雲解像モデル “CReSS” Cloud Resolving Storm Simulator  雲スケールからストームスケールの現象のシミュレーションを地球シミュレーターなどの大規模並列計算機で行うことを目的とした、非静力学・圧縮方程式系の雲解像モデル。  地球シミュレータに最適化した純国産の雲解像領域モデルを開発することを目標として、1998年より雲解像モデルの開発を行なってきた。(一からの開発) 詳細な雲物理過程の導入。 地球シミュレータでの実績。高精度で高効率の並列化。 多様なシミュレーション:台風、集中豪雨、雪雲、竜巻など。 毎日の気象予報実験。国内外での利用。

計画の概要 H19年度 (2007) H20年度 (2008) H21年度 (2009) H22年度 (2010) H23年度 (2011) 雲解像モデル改良 パラメータ改良 非斉一モデル結合 比較検証実験 H19年度 (2007) 雲物理の2モーメント化(雲水・雨水) セミラグ法導入 広領域予報実験、パラメータ抽出 衛星による検証 雲解像モデルの重並列化 双方向通信の方法の検討 観測された台風の実験と検証 (衛星・地上による検証) H20年度 (2008) 1次氷晶改良、2次氷晶導入 セミラグ法のパラメータ調整 高解像度の予報実験、パラメータ抽出 雲解像モデルのGCMとの1格子点結合 領域結合の試行と予備的な実験 観測された台風と現在気候の台風の実験(衛星・地上による検証) H21年度 (2009) 雹のカテゴリーの導入と豪雨や降雹へのインパクト検証 予報実験継続 パラメータの解像度依存性検討 1格子点結合による長期積分 領域結合による東アジア域の実験 現在気候と温暖化気候の台風の実験 H22年度 (2010) 雲物理の検証実験 GCMの雲表現パラメータ改良 1格子点結合の実験の継続と検証 領域結合による熱帯の実験 現在気候と温暖化気候の台風の実験(台風発生に重点) H23年度 (2011) GCMの雲表現改良のインパクト検証 1格子点結合によるGCM改善の検証 任意領域の領域結合による実験 現在気候と温暖化気候の台風発生と熱帯の雲の高解像度実験

平成19年度の研究計画 雲解像モデル高度化: 雲物理過程の改良(完全2モーメント化) 力学過程の改良(セミラグランジュ化) パラメータ改良:日本周辺において2000km×2000km以上の領域を対象として、毎日の予報実験を実施する。またこの結果の検証を衛星データを用いて行う。 非斉一モデル結合:非静力学雲解像モデルと静力学全球モデルを結合し、全球モデルの高精度化を図る。 1格子埋め込み(スーパーパラメタリゼーション)のための重並列化 領域埋め込み結合(双方向通信)の検討 比較検証実験:実際に観測された台風について、いくつかの事例を選び、雲解像モデルを用いて1km~500m程度の解像度で実験を行い、全球モデルの結果と降水量や風の強度について比較検証する。 人事:上記の研究遂行のため研究員を1人雇用。

モデル高度化 雲水・雨水の2モーメント化について:これらの数濃度の物理過程を定式化しモデルに導入した。結果の比較を始めた。 全2モーメント雲物理過程をCReSS Ver.3に導入した。 氷晶の観測データの収集している。 セミラグランジュ法をコーディングし、をCReSS Ver.3に導入した。ただし、境界の扱いで問題が残る。

◎力学過程の改良:セミラグランジュ法の導入 モデル高度化 CReSSの雲物理過程とその改良点 水蒸気 雪(降水) (qs, Ns) 霰(降水) (qg, Ng) 雨(降水) (混合比)  雲水  氷晶 (qi, Ni) 2次氷晶  雲水 (qc, Nc) 雨(降水) (qr, Nr) 雹(降水) (qh, Nh) ◎力学過程の改良:セミラグランジュ法の導入

セミ・ラグランジュ法の導入とテスト 初期値 セミ・ラグ Leap-flog法 1次風上

パラメータ改良 広域予報実験:東シナ海領域等で、解像度4kmの実験を毎日実施。 過去の予報実験を用いて、GCM 格子スケールで以下のパラメータを算出し、 GCM の格子毎の値との比較を行なうことにより、その特徴を把握する。 ・ 大規模凝結過程 ・ 総水量の確率密度分布 ・ 凝結水量と雲量 衛星データによる検証:1事例について、予報実験の結果と衛星データを比較。

CReSSを用いた毎日のシミュレーション実験(結果の例) 2005年2月1日 名古屋市内大雪 2006年6月10日 梅雨前線帯が沖縄付近に 停滞。沖縄本島で大雨。 ・感覚としては、予報実験の精度は親モデル(RSM)の結果に依存しているように思われる。 2005年9月6日 台風14号が九州西岸を 北上。九州各地で大雨。

CReSS シミュレーション実験結果の大規模凝結過程への適用 対応するGCM格子、鉛直各層における ・GCM格子平均の値に相当する 総水量(Qttl) ・総水量の頻度分布

GCM格子点におけるPDFの例

衛星データを用いたシミュレーション実験の検証(雲頂温度) 右下:GOES 雲頂輝度温度 ・梅雨前線に伴う雲域の形状は合っている。 ・日本海西部の降水を伴わない雲域の形状 も合っている。 ・モデルの雲頂温度は一様(やや雲頂高度 が高すぎる)。 千葉大 樋口さんより提供

非斉一モデル結合 雲解像モデルCReSSの重並列化:コーディングを完了。 GCM:CCSR/NIES/FRCGC GCM5,7bとの結合 :環境省推進費(代表:渡辺雅浩北大准教授)の範囲で、1格子1方向結合を実施中。 AFESとの結合の検討:AFESの内挿法を開発。これについては、榎本さんが報告予定。

非斉一モデル結合(1格子・領域)によるGCMとCReSSの結合 雲解像モデルの重並列化による 任意領域、任意形状の埋め込み

初期値から5日目の 降水強度(mm/hr)の 分布。 赤線は気象庁ベスト トラック。 黒線はCReSSによる 台風の中心位置。 中心位置の誤差は 数10km程度。

ベストトラックとシミュレーションの中心位置との差

非斉一モデル結合のための補間法 双方向ネスティング 異なる格子系 高精度補間法の必要性 全球モデル 雲解像モデル

Enomoto, accepted in SOLA 高精度補間法の比較 初期値からのずれ 非内挿法 双3次補間 (スペクトル) 双3次補間 (セミスペクトル) 双5次Lagrange補間 Enomoto, accepted in SOLA

簡便, 高速かつ高精度な補間法を開発. スペクトル微係数を双3次補間に利用. 移流項の計算だけでなく, ダウンスケーリングにも適用可.

台風の比較検証実験 観測された台風との比較・検証:台風0423, 0418, 0515, 0422, 0704, 0711, 0712, 0715について、シミュレーション実験を実施。観測と比較を実施中。 特に0418, 0704, 0711, 0712, 0715について、重並列化によるタイル張り拡張領域を用いた方法での実験を実施(または検討)中 。

AMeDASデータを用いたシミュレーション実験の検証 台風T0418(2004年9月5日)のケース 水平解像度は 2 km ・In order to evaluate the results of the CReSS simulation, we have developed the method to compare the simulation results with the AMeDAS observation results. ・This figure shows that time series of wind, temperature and precipitation amount are compared with the AMeDAS observation results. ・This system is under construction. ・ CReSSを用いたシミュレーション結果と AMeDAS による地上観測の結果 (風、気温、降水量)の比較の時系列。 ・ 今後、散布図を作り、シミュレーションの 特性(バイアスなど)を示す。

台風0406号 (2004年) 気象庁ベストトラック CReSS 降水強度(mm/hr)

台風0406号 (2004年) 気象庁ベストトラック レーダーAMeDAS

Best track of T0423 (central pressure; hPa)

Total rainfall (mm) for 24hrs 延岡

Rainfall intensity (mm/hr) Bars:Observation Solid line: CReSS Dashed line: RSM Time (UTC)

Rainfall intensity (mm/hr) Bars:Observation Solid line: CReSS Dashed line: RSM Time (UTC)

Threat score of rainfall intensity (30 mm/hr) Black line: CReSS Blue line: RSM Time (UTC)

H19年度計画の達成度(12月1日現在) 60% 雲解像モデル改良 80% パラメータ改良 50% 100% 非斉一モデル結合 比較検証実験    研究項目      研究内容 達成度 雲解像モデル改良 雲物理の2モーメント化(雲水・雨水) セミラグランジュ法導入 60% 80% パラメータ改良 広領域予報実験、パラメータ抽出 衛星による検証 50% 非斉一モデル結合 雲解像モデルの重並列化 双方向通信の方法の検討 100% 比較検証実験 観測された台風の実験と検証 (衛星・地上による検証)