LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見! LHCPhysics-V2J, http://atlas.kek.jp/sub/poster/index.html LHC計画が目指す物理とは 1:ヒッグス粒子の発見 ☆ 標準模型 物質はクォークとレプトンからなり、ゲージ粒子が交換されることによって力(強い力・電磁気力・弱い力)が働きます。この標準模型は 1 ~1,000,000,000,000 eV(電子ボルト)の非常に広いエネルギー領域で厳密に自然を記述する唯一の非常に強力な素粒子理論です。 ★ しかしヒッグス粒子が見つかってない! 標準模型によるとヒッグス場が存在し、そのおかげでクォークなどの粒子が質量を持つことが出来ます。ヒッグス場があればヒッグス粒子は最低1個存在するはずですがまだ見つかってません。 標準模型の世界。ヒッグズ粒子のみ未発見 × 運動方程式がゲージ対称性を持つことによりくりこみ可能になり計算上の発散を回避できる。 しかし粒子が質量を持つと運動方程式のゲージ対称性が破れてしまう。 ここが実際の真空 解決策: ヒッグス場による自発的対称性の破れ 基礎方程式はゲージ対称だが、現実世界はそのゲージ対称性を破っているとする。 グラショー・ワインバーグ・サラムの電弱統一理論 ピーター・ヒッグス ヒッグス先生はゲージ理論では自発的対称性が破れても質量=0の南部・ゴールドストーンボゾンが発生しないことを証明した。 くりこみ理論:朝永振一郎・Feynman・Schwinger,1965 ノーベル物理学賞 横軸はヒッグス場 ゲージ対称性:波動関数の位相を任意の場所で任意に変えても運動方程式が変わらないこと。 ★ ヒッグス粒子はLHC計画で発見される !! ヒッグスの質量 新しい物理の始まるエネルギー ヒッグス粒子の質量 mH は予言できませが、 ・(左図)理論的には mH は100~400 GeVの範囲が最も有力です。 ・(右図)LEP実験より 114.5 GeV 以下は存在しない。色々な観測量から間接的にmH の範囲が限定され200 GeV 以下が有利です。 アトラス実験では運転開始後3年以内に 標準ヒッグス粒子は発見されるでしょう。 黄色部分:LEP実験で除外された範囲 2:標準理論を越える新しい物理の発見 ★ 余剰次元の効果 ヒッグス粒子が発見されてもまだ問題が残ります: ・ ヒッグス粒子の質量の安定性(自然性の問題) ・ 3つの力が1015GeV付近で大統一できないか? 我々の世界が4次元でなく、もっと高い次元からなるが、この余剰次元はコンパクト化されている。重力は多次元に伝搬しているため力が小さく見うる。TeV領域で空間がコンパクト化されていれば、LHCで重力の効果が直接観測される可能性がある。たとえば極小のブラックホールが生成され、高いエネギーを持った粒子が複数観測される。 ★ 超対称性理論と超対称性粒子 ・ ボーズ粒子(整数スピン)とフェルミ粒子(半整数スピン)を交換する対称性。 ・ 通常の粒子とスピンが1/2異なる粒子群が存在する。 ・ 粒子群が1 TeV領域に存在すれば、高いエネルギー領域で3つの力が一点に交わり大統一が起こりうる。 ・ ヒッグス粒子の質量補正を大幅に緩和できる。 ・ 宇宙の暗黒物質の最有力候補である。 ・ LHCでは最初の1ヶ月で 1 TeVまでの、最初の1年で 2 TeVまでの質量領域のSUSY粒子を発見できる。 未発見!