請求項記述言語(PCML)による特許文章の構造化 2007.6.30 知的財産マネジメント研究会 特許戦略工学分科会 ○茂手木 智一 久野 敦司 片岡 敏光 赤間 淳一 谷川 英和
目次 背景と目的 請求項記述言語(PCML)とは PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 PCML利用による効果 まとめと展望
1.背景と目的 ~特許利用の多様化 特許 権利文章 本来の特許の目的 権利保護によって「産業の発達に寄与する」 現在の特許の利用用途 経営者 1.背景と目的 ~特許利用の多様化 本来の特許の目的 権利保護によって「産業の発達に寄与する」 権利文章 現在の特許の利用用途 判断しにくい 理解しにくい 評価しにくい 分析しにくい 比較しにくい 経営者 投資家 特許 研究者、技術者 知財担当 特許事務所 特許審査官 より多様な使われ方をするようになっている
1.背景と目的 ~特許のスコープ 戦略的活用 これからの特許のスコープ 権利文章としてのスコープ 発明 権利文章の作成 特許申請 審査 1.背景と目的 ~特許のスコープ これからの特許のスコープ 権利文章としてのスコープ 発明 権利文章の作成 特許申請 審査 権利取得 戦略的活用
1.背景と目的 ~中間構造の必要性 中間構造 現状 活用を目的とした技術表現(中間構造) 今後 権利化された特許を活用 特許 技術的思想 1.背景と目的 ~中間構造の必要性 現状 活用を目的とした技術表現(中間構造) 今後 権利化された特許を活用 特許審査官 特許審査官 知財担当 特許事務所 研究者、技術者 経営者 投資家 経営者 投資家 技術表現 ・・・ 価値表現 分析表現 多言語 特許表現 研究者、技術者 知財担当 特許 中間構造 技術的思想 技術的思想
1.背景と目的 ~PCMLの目的 様々な主体による効果的な特許活用を目的とする情報記述の中間構造、 1.背景と目的 ~PCMLの目的 様々な主体による効果的な特許活用を目的とする情報記述の中間構造、 請求項記述言語(Patent Claim Markup Language, PCML) を構築する。
2.請求項記述言語(PCML)とは ~概要 ノード、リンク、属性による技術表現(ブロック図) 階層的な言語仕様(属性の与え方の定義) 概念辞書 ノード リンク
2.請求項記述言語(PCML)とは ~表現方法 1.ノード、リンク、属性による技術表現 リンク リンク ノード ノード ノード 属性情報 <例> 電流 電流 電源 伝導体 電球 電流を供給する 1.5V 電流を伝達する 電流を入力とする 光を発する
2.請求項記述言語(PCML)とは ~言語仕様 2.階層的な言語仕様 分類 内容 例 法的タグ 特許請求に必要な法的視点の情報を記述 <発明の名称> <特徴性> 言語的タグ 意味を明確化したり、翻訳に利用したりするための情報を記述 <修飾情報> 技術的タグ 技術の理解、分析、戦略立案をするために必要な情報を記述 <構成要素> <入出力関係> <例> 特許請求の範囲┬ 発明の名称 └ 請求項 ┬ カテゴリー └ 構成要素┬特徴性 └定義情報┬絶対的記述 └相対的記述-入出力関係
2.請求項記述言語(PCML)とは ~概念辞書 3.概念辞書 概念辞書: 表現を統一、または明確化するために、言葉の概念を階層的に整理した辞書 使用する表現のブレを防ぐ 概念の上位、下位概念を明確化する <例> 駆動装置 – 回転機 – モーター ←上位概念 下位概念→
2.請求項記述言語(PCML)とは ~使用イメージ 技術者 知財担当 経営者 ブロック図 作成者(入力) 分析データ 明細書 ブロック図 PCML支援システム 言語仕様 PCML記述 支援システム PCML表示 変換システム 概念辞書 構造化された情報 (PCML) 構造化された情報 (PCML) データベース
2.請求項記述言語(PCML)とは ~実装状況 実装範囲 技術者 知財担当 経営者 ブロック図 作成者(入力) 分析データ 明細書 ブロック図 言語仕様 PCML記述 支援システム PCML表示 変換システム 概念辞書 構造化された情報 (PCML) 構造化された情報 (PCML) データベース
3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~エディタ 3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~エディタ
3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~中間構造 3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~中間構造 <?xml version="1.0" encoding="Shift_JIS"?> <?xml-stylesheet href="test.xsl" type="text/xsl" ?> <特許請求の範囲><PCML id ="1"></PCML> <請求項 id ="2"><番号 id ="3"></番号> <発明の名称 id ="4">質量分析装置</発明の名称> <カテゴリー id ="5"></カテゴリー> <構成要素 id ="6">イオン源<x>71</x><y>51</y> <構成要素名 id ="7">イオン源</構成要素名> <定義情報 id ="21"> <相対的記述 id ="22">no data <入出力関係 id ="23">no data <入出力名称 id ="24">イオン</入出力名称> <源構成要素名 id ="25"></源構成要素名></入出力関係></相対的記述></定義情報></構成要素> <link> <from>イオン源</from><fromID>6</fromID> <to>質量分析部</to><toID>8</toID></link> </請求項> </特許請求の範囲>
3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~表示 3.PCMLエディタ(プロトタイプ)の紹介 ~表示 イオン源 と イオンを質量分離する 質量分析部 質量分離して取り出されたイオンを電子に変換する イオン電子コンバータ サブスリット 電圧制御手段 変換した電子を検出して電気信号として取り出す 電子検出器 を備えた 質量分析装置
4.PCML導入による効果 研究者、技術者が特許文章を作成・理解ができる 技術者・研究者 戦略的な特許出願を容易にする 技術者の特許の利用の推進 特許の基本的な考え方を教育するためのツールとして利用 戦略的な特許出願を容易にする 請求項の合理的な分割 上位・下位概念への操作による強い特許の作成 多言語への翻訳が容易になる 英語、中国語への機械翻訳 他の特許との比較が容易に行える 請求項の違いの抽出 技術者・研究者 審査官 知財担当 特許事務所
4 .PCML導入による効果 ~①作成・理解 作成・理解がしやすい 特許請求項 PCML 光源ランプからの光を利用して映像を投射表示するとともに、前記光源ランプを冷却するためのファンを有する投射型テレビジョン受像機において、電源のオンオフを指示する操作部と、前記光源ランプの点灯を制御するランプ電源回路と、前記ファンを駆動するファン制御回路と、前記ランプの調光を制御させるようにしたことを特徴とする投射型テレビジョン受像機。 投影型テレビジョン受像機 ファン制御回路 ファン 操作部 ランプ電源回路 ランプ
4 .PCML導入による効果 ~②特許化戦略 戦略的な特許化 特許請求項 PCML ? 上位概念、下位概念 請求項間の連携 冷却機 光源ランプからの光を利用して映像を投射表示するとともに、前記光源ランプを冷却するためのファンを有する投射型テレビジョン受像機において、電源のオンオフを指示する操作部と、前記光源ランプの点灯を制御するランプ電源回路と、前記ファンを駆動するファン制御回路と、前記ランプの調光を制御させるようにしたことを特徴とする投射型テレビジョン受像機。 投影型テレビジョン受像機 ファン制御回路 ファン 操作部 ランプ電源回路 ランプ 上位概念、下位概念 請求項間の連携 光源 ?
4 .PCML導入による効果 ~③翻訳 正確な翻訳が可能 特許請求項 PCML 文の構造が不明確なため、翻訳が困難 光源ランプを冷却するためのファンを有する投射型テレビジョン受像機において、電源のオンオフを指示する操作部と、前記光源ランプの点灯を制御するランプ電源回路と、前記ファンを駆動するファン制御回路と、前記ランプの調光を制御させるようにしたことを特徴とする投射型テレビジョン受像機。 <主語>操作部</主語> <述語>指示する</述語> <目的語>電源のオン・オフ</目的語> <主語>ランプ電源回路</主語> <述語>制御する</述語> <目的語>光源ランプの点灯</目的語> ¦ 文の構造が不明確なため、翻訳が困難 言語タグにより言語構造が明確なため、制度の高い機械翻訳が可能
4 .PCML導入による効果 ~④比較 請求項の比較が容易 特許請求項 PCML 請求項間の比較が視覚的、機械的に可能 C A B D C 請求項1 :------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 請求項2 :------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 請求項3 :------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ C 請求項1 A B D C 請求項2 A B’ D C 請求項3 A B E 請求項間の比較が視覚的、機械的に可能
5.まとめと展望 ~まとめ 特許の効果的な活用を支援するため、中間的な意味構造であるPCMLのコンセプト提案、およびプロトタイプの紹介を行った。 請求項をPCMLによって表現することで以下の効果が期待できる。 研究者、技術者が特許文章を作成・理解ができる 戦略的な特許出願を容易にする 多言語への翻訳が容易になる 他の特許との比較が容易に行える 以下について効果を得るための検討が今後の課題である。 (分析) (価値評価) (検索) 研究者、技術者 投資家 特許審査官 知財担当 経営者 特許表現 技術表現 分析表現 価値表現 PCML 技術的思想
5 .まとめと展望 ~展望 既存特許の活用 導入手段 企業内の技術基盤としての導入 教育ツールとしての導入 他の解析システムとの連携 5 .まとめと展望 ~展望 既存特許の活用 言語解析のアプローチと協力 導入手段 企業内の技術基盤としての導入 教育ツールとしての導入 他の解析システムとの連携 PML、パテントマップツール
END
Q&A
Backup
計算機による情報検索の課題 要求と技術表現を同じにする 問題点 検索の意味内容を評価して検索が行えない 情報の表現が一意ではない 情報の劣化 技術情報 情報の劣化 ひとつの技術に対する表現が一意でない 従来のアプローチ(特許) 本研究のアプローチ 技術情報DB 技術情報 検索質問 検索 登録 意味構造 情報表現(テキスト) 抽出 見つかった機能の状況に合った解釈 要求 ほしい効果を実現する技術 既存技術 効果から直接技術を探す 要求と技術表現を同じにする
1.背景と目的 ~構造化の必要性 特許の構造を明確に記述する(構造化) 特許が理解しやすくなる 特許が分析しやすくなる 類似特許との比較が 1.背景と目的 ~構造化の必要性 特許の構造を明確に記述する(構造化) 特許が理解しやすくなる 特許が分析しやすくなる 類似特許との比較が 容易になる 権利範囲が認識しやすい 権利範囲を広げやすい 審査期間の短縮 新たな発想のヒント 検索の質の向上 パテントマップ
2.請求項記述言語(PCML)とは ~使用イメージ 現在実装している部分 PCML入力支援システム ブロック図 明細書 構造化された情報 データベース 検索キーワード 検索 キーワード 構造化された情報 明細書 ブロック図 利用者(入力) PCML表示システム 利用者
1.背景と目的 ~コンピュータ活用の必要性 特許件数の推移 必要な情報を効率的に利用できることが重要 コンピュータを利用した高精度の検索
2.請求項記述言語(PCML)とは ~言語仕様 例 タグ 意味 他のタグとの関係 備考 <特許請求の範囲> </特許請求の範囲> 特許請求の範囲の記述部分を囲むタグ <PATCLAIM> </PATCLAIM> <辞書> </辞書> 請求項で用いる用語の解釈に使用する辞書の識別子を囲むタグ <特許請求の範囲> </特許請求の範囲>で0個または1個、使用される。 言語的タグ <DIC> </DIC> <PCML> </PCML> 準拠するPCMLのバージョンの識別子を囲むタグである。 <特許請求の範囲> </特許請求の範囲>で1個、使用される。 管理用タグ <請求項> </請求項> 1つの請求項の範囲を囲むタグ <特許請求の範囲> </特許請求の範囲>で1個以上、使用される。 法的タグ <CLAIM> </CLAIM> <番号> </番号> その請求項の番号を囲むタグである。 <請求項> </請求項>の中で1個、使用される。 <NUM> </NUM> <上位請求項> </上位請求項> その請求項の上位の請求項の番号を囲むタグである。 <請求項> </請求項>の中で0個以上、使用される。 法的タグ。 このタグが設定されていない場合は、独立項である。 <UPPERCLAIM> </UPPERCLAIM> <発明の名称> </発明の名称> その請求項に記載の発明に付与された名称の部分を囲むタグである。 <請求項> </請求項>の中で1組、使用される。 <TITLE> </TITLE>
1.背景と目的 ~特許活用のアプローチ 特許 特許 分析 活用 中間構造 変換 活用 メリット デメリット 例 ? 1.特許の活用 思想 1.背景と目的 ~特許活用のアプローチ 1.特許の活用 思想 特許 分析 中間構造 活用 2.構造のある文章の特許化 思想 中間構造 変換 特許 活用 メリット デメリット 例 特許の活用 既存の膨大な情報を利用できる 高度な言語処理が必要 統計分析 パテントマップ 中間の特許化 意図に合わせた形式化が可能 既存の情報が使えない ?