第13回 エコシステムの観測 エコシステムの 形態 性質 構造 過程 捉える
エコシステムの特性 エコシステムは空間的概念である。その境界を定義することは難しいが、確かにある。 自然エコシステムは太陽からの光以外には外部の物質資源やエネルギー源に依存しない。 自然エコシステムは水や他の無機化合物,及び生命の維持に必要な元素を含む物質を循環させる能力がある。 エコシステムはいくつかのレベルから調べることができる。つまり、スケールまたは階層性がある。一本の木から地球全体まで,大きさや複雑さが多様である。
エコシステムの捉え方 モザイクの観点 積み重ねの観点 形態・組成・水平構造 プロセスの観点 垂直構造 相互作用 地球気象 広域気象 局地気象 地表景観 プロセスの観点 土地利用 地形 植生 土壌 表層地質 水文 岩石 垂直構造
フィールドセンシング リモートセンシング エコシステムの観測の技術体系 観測装置 時 間 変 化 低 頻 度 高 頻 度 定点観測 対象物状態 観測装置 時 間 変 化 低 頻 度 高 頻 度 定点観測 土壌化学汚染の調査 地質・地下水のボーリング 農作物や樹木の生育状況等 アメダス等気温や湿度の観測 交差点の通行交通量の調査 大気・水質などの自動観測 GPS地盤変動観測 移動観測 低密度 測量機器による標高や座標の計測等 地域交通調査 高密度 車載GPSによる位置座標の計測 野生動物の行動の調査 人間の生活行動調査 航空写真撮影 マラソンのテレビ中継 交通違反車両の追跡 衛星リモートセンシング フィールドセンシング リモートセンシング
フィールドセンシングの例(基礎情報) 調査項目: 植物構成/種/樹高/直径 土地被覆/土地利用/ 土壌種類/構成/土壌水分 化学特性/塩類化度/pH 周囲環境/温度/湿度 /風向/風速 ・・・ 日射 植林の成長 樹木データの管理
フィールドセンシングの例(移動観測) GPSによる位置トラッキング 赤外放射を画像として記録 位置と共に記録する温湿度
フィールドセンシングの例(エネルギーフラックス)(アジアフラックスネット) 測定情報 対象エコシステムの基礎情報 面積、組成、高さ、構造、密度 測定頻度、測定用施設 連続・自動、地上、タワー、断面 測定項目: 日射、温度、気象、水分など各種 非常に費用がかかる インドネシア中央カリマンタンにおける泥炭地の再生と持続的農業形態の確立 平野高司・大崎 満, 北海道大学 目的:人為撹乱と気候変化が熱帯泥炭林におけるCO2,水蒸気,およびエネルギーの収支に与える影響評価
フィールドセンシングの限界 範囲が限られる 時期が限られる 費用がかかる 数少ない調査地点 広い地域を一望できない 測定した時期だけ 繰り返しが容易でない 費用がかかる 機器、人手 できる人が限られる
電磁波の特性
エコシステムのスペクトル特性 反射・放射・散乱
緑色植物は、青と赤を吸収し、緑と近赤外を反射する仕組みとなっている。 緑色植物の反射特性と光合成との関係 光合成に有効な波長域のエネルギーは吸収される。 光合成に役に立たない波長域のエネルギーは反射される。 緑色植物は、青と赤を吸収し、緑と近赤外を反射する仕組みとなっている。
電磁波を利用したリモートセンシング 大別 バンド 波長域 観測対象 センサの種別 可視光線 青 緑 赤 0.4~0.7μm 土壌、水域などの土地被覆 ステレオペアによる立体計測 可視・近赤外 受動センサ 赤外線 短波赤外 長波赤外 0.7~3μm 3μm~1mm 植物の活力度 物体の赤外放射 マイクロ Ka 7.5 -11 mm 雪 レーダ 能動センサ K 11-16.7 mm 植生 Ku 16.7-24 mm 風、氷 X 24-37.5 mm 降雨 C 37.5-75 mm 土壌水分 S 75-150 mm 地質 L 150-300 mm 波浪 P 300-1000 mm 地形
さまざまな地球観測衛星
地球観測衛星と静止衛星との軌道の違い
土・水・植生の反射特性の利用 赤に 緑に 青に フォールスカラー表示 緑 赤 赤外 水分 植生 土壌 赤バンド反射特性 近赤外バンド反射特性
反射特性を利用したエコシステムの空間区分 2000/SWIR
自然エコシステムのメカニズムの理解から問題解決へ 退耕還草 退耕還林 砂漠緑化 森林 Forest 樹林 Woodland 砂地草地 Grassland 畑 Field 半流動砂丘 Semi-desert 流動砂丘 Desert (畑) Field 降雨の増加で,自然回復が見込まれる. 灌木 Bush 水田 Paddy 湿性草地 Meadow 劣化 回復 水面 Water
反射特性を利用したバイオマスの相対評価 -1≦NDVI≦1 NDVI -1~1の数値。ここの赤色は特に意味ない。 正規化植生指数 Normalized Differential Vegetation Index 緑 赤 赤外 -1≦NDVI≦1 青に 緑に 赤に NDVI フォールスカラー表示 -1~1の数値。ここの赤色は特に意味ない。
地表面の赤外放射に関する情報の取得 反射を受信した形態情報 放射を受信した物性情報 反射・放射・散乱
都市エコシステムについても構造的に理解することが重要 不透水性舗装面 CBD 高層住宅地 都市化 工業化 軽工業用地 中層住宅地 低層住宅地 重工業用地 芝 草地 畑 森林 砂地 水田 裸地 植生・水面 土壌 自然の再生
都市化はエコシステムの物質循環とエネルギーの流れの変化である. 低層住宅 中高層住宅 森林 農地 工業 商業 商業 工業 中高層住宅 低層住宅 農地 森林 Solar Energy 廃棄物 都市は巨大なエネルギー・資源の集積地である.それによって農村との差(エクセルギー)が維持されているいっぽう,膨大なエントロピーを生み出し,汚染源となっている.
都市の持続可能な発展の条件 都市エコシステム 農耕エコシステム 多目的エコシステム 自然エコシステム 都市エコシステムが持続可能となるためには、4つのエコシステムの中で物質循環が完結しなければならない(Odum,1969, The strategy of ecosystem development, Science, 164, 262-270)。循環システムは限定された地域、限定された時間の中で構築しなければならない.
厳研でのアプローチ 持続可能な発展 地理情報技術 エコシステムの原理 政策支援 開発 発展 自然資本 計画 地域の環境問題 ジオデータベース GIS RS GPS フィールド計測 景観生態 空間分析 環境評価 空間モデリング エントロピー エクセルギー エコシステム 地理情報技術 エコシステムの原理
詳しい情報は http://ecogis.sfc.keio.ac.jp または学部研究プロジェクトシラバス 厳研新規メンバー募集中 詳しい情報は http://ecogis.sfc.keio.ac.jp または学部研究プロジェクトシラバス http://vu.sfc.keio.ac.jp/project/ 申し込み〆切:7月24日
最終課題の提出 〆切:7月18日17:00までに 提出場所:E502