In situ cosmogenic seminar

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In situ cosmogenic seminar 3. モデリング Outline 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) 2. 核種量の時間変化(基本モデル) 松四 雄騎: matsushi@n.t.u-tokyo.ac.jp

1. 生成率を決めるためには… 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) Goal: 生成率を計算できるようになること. Outline 2. Stone (2000)のスケーリング 3. 深度方向の変化

1. 生成率を決めるためには… P = (l, z) Production rate, P Altitude, z Latitude, l 0 km 10 km 80° 0°

Dipole fieldと宇宙線のcut off 大気に垂直入射できる宇宙線粒子の 最低エネルギ(cutoff risidity)Rは, S N p: 粒子の運動量(GeV/c); c: 光速度(m/s); q: 電荷(e); M: ダイポールモーメント(Wb); R: 地球の半径(m); l: 地磁気緯度(°) Latitude Particle count 赤道 極地 Latitude Attenuation length 赤道 極地

PAl/PBe = 6.0 全球的宇宙線フラックス(緯度・標高–線量の関係) Nishiizumi et al. (1989) 種々の緯度・標高地点での観測結果は… (Lal and Peters, 1967に詳しい) ~0 g/cm2 緯度パラメータを含む, 高度(気圧)の3次関数 0° 20° 40° 60° Depth of atmosphere 地球上のどこか1点で 核種生成率を実測. ↓ 全球的にスケーリング. Lat. > 80° 1030 g/cm2 Cosmic ray flax (log scale) PAl/PBe = 6.0 Nishiizumi et al. (1989) Sierra Nevada の年代既知の 氷河地形で10Be, 26Alを定量 PBe = 61.9± 3.0 atoms/g/yr PAl = 373.6±27.8 atoms/g/yr l ~ 44°(~38°in Geograph. lat.); z = 2000–3500 m (670–800 g/cm2); 11,000 yr exposure (from 14C dating). PBe = 6.1 atoms/g/yr at SLHL PAl = 36.8 atoms/g/yr at SLHL

Lal (1991) Dunai (2000) Stone (2000) 生成率P: 地磁気緯度l ごとの係数をもつ標高 z の3次関数 Production rate, P Latitude, l Altitude, z 0 km 10 km 80° 0° Dunai (2000) 宇宙線フラックスに対する non-dipole 成分を考慮. Nishiizumi et al., 1989 Stone (2000) 気圧の不均一性を考慮し, 汎用性を高めた.

2. Stone (2000)のスケーリング 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) Goal: 生成率を計算できるようになる 標高を大気圧に変換して用いる. ⇒標準大気の静水圧平衡式は… 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) Goal: 生成率を計算できるようになる Outline 1. 生成率を決めるためには… 2. Stone (2000)のスケーリング 3. 深度方向の変化

2. Stone (2000)のスケーリング 標高を大気圧に変換して用いる. ⇒標準大気の静水圧平衡式は… z 11,000 m z+Dz grDz P(z+Dz) P(z) T Ts z T = Ts −x z PV = nRT 11,000 m

2. Stone (2000)のスケーリング 標高を大気圧に変換して用いる. ⇒標準大気の静水圧平衡式は… Stone, 2000. JGR 105, 23753–23759.

2. Stone (2000)のスケーリング 標高を大気圧に変換して用いる. ⇒標準大気の静水圧平衡式は… Stone, 2000. JGR 105, 23753–23759.

PBe at SLHL = 5.1± 0.3 atoms/g/yr PAl at SLHL = 31.1± 1.9 atoms/g/yr スケーリングファクター

PBe at SLHL = 5.1± 0.3 atoms/g/yr PAl at SLHL = 31.1± 1.9 atoms/g/yr スケーリングファクター fsp = 0.974 (for 10Be), 0.978 (for 26Al).

南極の高濃度データを無理なく説明できる. 気圧ベースで,世界中どこでも使える. PBe at SLHL = 5.1± 0.3 atoms/g/yr PAl at SLHL = 31.1± 1.9 atoms/g/yr スケーリングファクター fsp = 0.974 (for 10Be), 0.978 (for 26Al). 南極の高濃度データを無理なく説明できる. 気圧ベースで,世界中どこでも使える.

Production rate (atoms/g/yr) 実際に計算してみると… サンプリング時は,地点の 標高と緯度を押さえましょう. 200 150 100 50 Production rate (atoms/g/yr) Altitude (km) Latitude (degree N)

3. 深度方向の変化 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) Goal: 生成率を計算できるようになること. Outline 宇宙線フラックスは物質内で 指数関数的に減少 1. 生成率(緯度・標高・深度の効果) Depth Cosmic ray flux log-log scale Goal: 生成率を計算できるようになること. Outline 1. 生成率を決めるためには… 2. Stone (2000)のスケーリング 3. 深度方向の変化

3. 深度方向の変化 宇宙線フラックスは物質内で 指数関数的に減少 Cosmic ray flux Depth log-log scale 10Be, 26Alの生成率は,3つの反応の総和なので,

3. 深度方向の変化 宇宙線フラックスは物質内で 指数関数的に減少 Cosmic ray flux Depth log-log scale 10Be, 26Alの生成率は,3つの反応の総和なので,

Production rate (atoms/g/yr) 実際に計算すると… Production rate (atoms/g/yr) 10-4 10-3 10-2 10-1 100 101 0.05 0.5 5 50 500 Depth (m) (r =2.0 g/cm3) 101 Neutron Slow m 102 Spallation Fast m Total Depth (g/cm2) 103 Muon induced reactions 104 105

まとめ ●地表での核種生成率は,緯度と標高によって決まる. ●Stone (2000)のスケーリングより,任意地点の生成率を推定できる. ●地中での生成率は,深度方向に指数関数的に減少する. ●大まかにいって,5 m 以深では生成反応の寄与率が逆転する.