平成24年度 臨床研修医 都道府県別採用実績について 2012年8月25日 平成24年度 臨床研修医 都道府県別採用実績について 日本産科婦人科学会 医療改革委員会
平成24年度 臨床研修医 都道府県別採用実績について 平成24年度 臨床研修医 都道府県別採用実績について 平成24年8月22日医政局医事課医師臨床研修推進室より平成24年度の臨床研修医の採用実績概要が公表されました。 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/matching/100915-2.html 【調査結果のポイント】 研修医の採用実績は、全体で7,679人(昨年度7,672人) 都市部以外の地方の研修医の採用実績の割合は、過去最大となった。 このデータを中心に少し詳しく検討してみました。
基本的な考え方 医師の地域偏在を解消の方向に向かわせるためには、それぞれの地域で初期臨床研修を行い、後期研修を経て、その地域の医療を支える人材を養成、確保していく必要がある。 初期臨床研修医が少ない地域では、将来、医師の地域偏在、医師不足が進行する可能性が高い。 医師の必要数、医療需要は基本的には人口と相関すると考えられる。 研修医一人あたりの人口が多い地域は、少ない地域と比べて、医師不足となる危険性が高い。
都市部6都府県とその他の道県の比較 東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡の都市部6都府県の人口は日本全体の36.1%、その他の道県の人口は63.9%である。 研修医採用数は、都市部6都府県で平成24年度46.7%、その他の道県で53.3%。 人口比では都市部6都府県により多くの臨床研修医が偏在している現実がある。
都市部とそれ以外の 研修医一人あたり人口 平成22年の人口を基準とすると日本全体では研修医一人あたり人口は、平成23年度16692人、平成24年度16676人となる。 都市部6都府県の研修医一人あたり人口は、平成23年度 12680人、平成24年度 12888人。 その他の道県の研修医一人あたり人口は、平成23年度 20319人、平成24年度 19992人。 地域偏在は改善したといえるのだろうか?
都道府県別 研修医一人あたり人口 都道府県 平成23年度 平成24年度 研修医一人あたり人口 全国 16692 16676 1 東京都 都道府県別 研修医一人あたり人口 都道府県 平成23年度 平成24年度 研修医一人あたり人口 全国 16692 16676 1 東京都 9655 9917 17 山口県 17486 神奈川県 16333 33 北海道 21343 岩手県 19853 2 京都府 9763 石川県 10445 18 滋賀県 18563 熊本県 16985 34 千葉県 21735 20441 3 沖縄県 11324 10881 19 長崎県 18773 佐賀県 16996 35 大分県 21755 三重県 20608 4 岡山県 11861 11170 20 山形県 18854 香川県 17170 36 富山県 22311 20858 5 12314 福岡県 12192 21 奈良県 18929 兵庫県 17247 37 山梨県 22713 青森県 21458 6 13140 福井県 13666 22 19343 17615 38 宮城県 22798 21510 7 和歌山県 13363 14115 23 19561 17981 39 群馬県 23081 広島県 21838 8 鳥取県 14016 徳島県 14546 24 長野県 19747 18087 40 静岡県 24290 23679 9 14398 14737 25 19866 18221 41 24994 23719 10 大阪府 15154 14975 26 高知県 20117 岐阜県 18746 42 茨城県 26516 23931 11 愛知県 15186 15094 27 愛媛県 20162 栃木県 19121 43 鹿児島県 26660 24489 12 島根県 15264 28 20194 19171 44 新潟県 26679 29404 13 16422 15289 29 20323 19482 45 福島県 29407 埼玉県 30485 14 16484 秋田県 15514 30 20382 19568 46 29486 31659 15 16731 16145 31 21232 宮崎県 19573 47 39146 35598 16 17455 16288 32 21294 19609
都道府県別 研修医一人あたり人口 上位10県と下位10県 都道府県別 研修医一人あたり人口 上位10県と下位10県 都道府県 平成23年度 平成24年度 研修医一人あたり人口 全国 16692 16676 1 東京都 9655 9917 2 京都府 9763 石川県 10445 3 沖縄県 11324 10881 4 岡山県 11861 11170 5 12314 福岡県 12192 6 13140 福井県 13666 7 和歌山県 13363 14115 8 鳥取県 14016 徳島県 14546 9 14398 14737 10 大阪府 15154 14975 都道府県 平成23年度 平成24年度 研修医一人あたり人口 38 宮城県 22798 千葉県 21510 39 群馬県 23081 広島県 21838 40 静岡県 24290 23679 41 佐賀県 24994 23719 42 茨城県 26516 大分県 23931 43 鹿児島県 26660 24489 44 新潟県 26679 29404 45 福島県 29407 埼玉県 30485 46 29486 31659 47 宮崎県 39146 35598 黄色:前年度より順位up。朱色:前年度より順位down。薄緑色:都市部の都府県
平成23-24年度の都道府県別 初期臨床研修医合計数(人口10万人あたり) 全国 11.99 1 東京都 20.44 17 奈良県 11.42 33 青森県 9.83 2 京都府 19.20 18 栃木県 11.21 34 三重県 9.76 3 沖縄県 18.02 19 秋田県 11.14 35 広島県 9.61 4 石川県 17.70 20 長崎県 11.00 36 北海道 9.48 5 福岡県 15.81 21 滋賀県 10.92 37 千葉県 9.25 6 岡山県 15.22 22 熊本県 10.84 38 鹿児島県 8.97 7 和歌山県 14.57 23 香川県 10.74 39 大分県 8.78 8 福井県 14.26 24 山口県 10.61 40 宮城県 8.60 9 鳥取県 13.76 25 山形県 10.44 41 群馬県 8.42 10 大阪府 13.28 26 長野県 10.17 42 静岡県 8.34 11 島根県 13.10 27 岩手県 10.15 43 宮崎県 7.66 12 愛知県 12.78 28 愛媛県 10.06 44 茨城県 7.17 13 徳島県 12.60 29 岐阜県 10.04 45 新潟県 6.91 14 神奈川県 12.21 30 富山県 9.97 46 埼玉県 6.67 15 兵庫県 11.86 31 山梨県 9.96 47 福島県 6.21 16 高知県 11.51 32 佐賀県 9.88
都道府県間の初期研修医偏在の実態 研修医一人あたり人口には、都道府県間で3倍以上の格差が認められた。研修医の分布に地域偏在が存在していることに疑問を挟む余地はない。 平成24年度は特に東日本で、人口あたりの研修医数が著しく少ない県が認められている。(群馬、茨城、埼玉、新潟、福島) 厚労省は、平成24年度に研修医採用実績が特に増えた県として、秋田、高知、佐賀、宮崎、鹿児島をあげる一方で、東北地方では秋田以外はすべて前年度より減少しているという事実は述べていない。東北地方全体では微減状態であることを述べるべきなのではないだろうか。