2008年6月16日(月) tsuji@nira.or.jp   人口経済論 第8回            2008年6月16日(月) tsuji@nira.or.jp.

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2008年6月16日(月) tsuji@nira.or.jp   人口経済論 第8回            2008年6月16日(月) tsuji@nira.or.jp

国際人口移動の歴史 フロンティア型人口移動 ヨーロッパ人が、西洋文明の力を持って、南北アメリカ、オーストラリア・ニュージーランド、南アフリカに植民地を経営し、大量の人口移動を行ったのが最初 フロンティア型人口移動は20世紀半ばには終焉 国際人口移動は、国家の成立に伴う領土と国境の設定を前提とする。 国際人口移動は、国境を越えて人々が移動する場合に起こる。よって今日的な国際人口が生じたのは、せいぜい2、300年前。 近代的な意味での国際人口移動は、統計データが整備され始めた17世紀以降の移動をさす。 ヨーロッパ人が、西洋文明の力を持って、南北アメリカ、オーストラリア・ニュージーランド、南アフリカに植民地を経営し、大量の人口移動を行ったのが最初であろう。 南北アメリカを始めとするコロニーへの移住は、新大陸、新世界、新しい土地と資源を求めての大陸間移動であった。 これらをフロンティア型移動というが、これは、ほぼ20世紀の半ば、第二次世界大戦とともに終焉した。 (参考:第二次世界大戦までにヨーロッパからアメリカ、オーストラリア・ニュージーランドは移住した人口は、7000万人以上と推定される) 同時に、ヨーロッパから新大陸への移動と関連して、約950万人のアフリカ黒人労働者が奴隷として南北アメリカへ強制移住させられており、さらに中国人やインド人の労働者もヨーロッパ人の移住と付帯して北米やアジアの植民地に移住している

新しい国際人口移動のパターン ・発展途上国から先進国へ ・先進国の中でも貧しい国から富める国へ ・途上国の中でも貧しいインド亜大陸、東南アジア諸国などからアラブの石油産出国のような富める国・資源の豊かな国へ

新しい型の人口移動 米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドへの移動 ・1970-2000年の間に、移民の数か1590万人から4640万人へと増加。 ・例えば米国における外国人生まれの人口は970万人から3500万人へと増加。 米国 19世紀までは移民はほとんど比較的所得の高い西部ヨーロッパあるいは北部ヨーロッパ出身者であった。多くは、故郷で食い詰めた貧しい労働者ではなく、思想的・宗教的理由から、あるいは自由とよりよい就業機会と新世界をもとめての中産階級・ブルジョアジーであった。しかしながら、20世紀初頭になると、移住者の中で比較的貧しい東欧・南欧からの人々が占める比率が高くなる。 ところが、移民法が改正された1960年代に入ると状況は一変する。まずラテンアメリカ・カリブ海地域出身者が、次いで、1970年ごろからはアジア地域からの出身者が急増した。(ベトナム、フィリピン、韓国、台湾、インド、パキスタンなどのアジア諸国、そしてメキシコをはじめとする中央アメリカおよびカリブ海の西インド諸国の出身者) ・米国への移民は増加傾向であり、その主軸は途上国からの移民である。特に家族の招き寄せが多い(移動の58%)。新しい職を求めたもの、難民・亡命はそれぞれ15%に過ぎない。最近では、東欧からの移民が増えている。 ・オーストラリアへの移民は一度減ったが最近増えてきた。途上国からの流入が優勢。東欧は増えてない。

ヨーロッパへの出稼ぎ移動 ・地中海沿岸の諸国から西部ヨーロッパあるいは北部ヨーロッパへ向かう流れ、ガスとアルバイター ・ドイツ、オーストラリア、スイスのドイツ語圏へ(イタリア、トルコ、ユーゴスラビア、ギリシア、スペインから)、減少傾向 ・フランス・ベルギーのフランス語圏へ(北アフリカ(アルジェリア、モロッコなどの旧フランス植民地)、ポルトガル、スペイン、イタリアのラテン系)、近年減少傾向 ・イギリス(英語圏へ)(旧植民地、インド、パキスタン)、増加傾向

・発展途上国の中で、比較的貧しい国々から資源の豊かな富める国々への人口移動。 ・近年急増している。 アラブ石油産出国への出稼ぎ移動 ・1970年代以降の新しい移動形態。ペルシア湾岸地域のアラブ石油産出国に向かう、他のアラブ諸国、インド亜大陸、東南部アジアなどからの、出稼ぎ人口移動。 ・発展途上国の中で、比較的貧しい国々から資源の豊かな富める国々への人口移動。 ・近年急増している。 ・移動労働者の多くは、技術者・熟練労働者なので一種の頭脳流出を引き起こし、本国での技術者・熟練労働者の不足をもたらし、工業生産性の低下を生じている場合がある。 ・また、技術者・熟練労働者の流出により、未熟練労働者の活用が十分行えず、失業を引き起こす例もある。 サウジアラビア、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国へ、エジプト等のほかのアラブ諸国や、インド、パキスタン、バングラディシュ、フィリピン、韓国、タイ等 ・石油を産出しないアラブ諸国などの国々は、比較的教育程度が高く、英語が話せる人々も移動している点が注目させる

その他 非合法移住者、不法滞在者 不法残留 不法入国(密入国) 難民  不法残留  不法入国(密入国) 難民  1951年の「難民の地位に関する条約」(難民条約)では、難民は、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々と定義されている。今日、難民とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっている。 参考:法務省入国管理局HP、http://www.immi-moj.go.jp/index.html 1982年-2006年の間 申請者:4095人、認定者410人、不認定者3162人、取り下げした人523人 難民認定率11.5% 不認定処分に対する異議申し立ての割合、過去5年間83%、平成18年90%

吉田良夫・河野稠果編著(2006)『国際人口移動の新時代』原書房 南米から アジアから 米国・カナダへ 日本へ 東南アジアから 吉田良夫・河野稠果編著(2006)『国際人口移動の新時代』原書房

近年の特徴 特定の国に人口の流入が集中している ヨーロッパが1970年以前は送出国であったが、以降は受入国となっていること 国際人口移動の半分が女性であること 恒久的にすみ続けるのではなく、暫定的に滞在するタイプが見られるようになってきたこと

国際人口移動の要因 出所:Martin and Eidgren(1996), 河野他編(2006)『国際人口移動の新潮流』 プル要因・供給 ネットワーク プッシュ要因・需要 経済的タイプ ・ゲストワーカーのプログラム ・受入国の外国人に対する雇用 ・転勤・部署転換 ・業主・メディア・同国人からの就業に関する情報 ・外国人労働者リクルート請負業者,不法人口交流,マンパワー密輸業者 ・送出国での失業,潜在失業 ・低賃金 経済的タイプ以外 ・家族の再会 ・結婚 ・外国に移住したいという願望 ・運輸通信ネットワーク ・家族や友人からの就業機会に関する私信 ・難民救済期間による受け入れ斡旋 ・戦争,政治的紛争 ・政治的宗教的迫害 人口移動は,押し出す力=プッシュと吸引力=プルによってもたらされるが,その中間にはそれらを媒介する人口移動のネットワークの存在があることを示している. また,国際人口移動は,経済的要因のみでなく,社会的・政治的等の要因によって生じている. 出所:Martin and Eidgren(1996), 河野他編(2006)『国際人口移動の新潮流』

国際人口移動の理論 新古典派経済理論(Neoclassical economics) 新家族経済学派理論(Neo economics of migration) 労働市場二重構造論(Dual labor market theory) 世界システム論(World system theory) ネットワーク理論(Network theory)