事業リスクマネジメント学習支援教材 事業リスクマネジメント手法編 NO.5 リスクコミュニケーション手法 ティーチングノート.

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事業リスクマネジメント学習支援教材 事業リスクマネジメント手法編 NO.5 リスクコミュニケーション手法 ティーチングノート

学習にあたって 学習のポイント 社内、社外におけるリスクコミュニケーションの重要性と留意点を理解する  学習にあたって 学習のポイント 社内、社外におけるリスクコミュニケーションの重要性と留意点を理解する リスク情報に関するディスクロージャー制度の概要を理解する 学習するスキル内容 主要な管理文書の目的と役割を認識し、一般的な文書のタイプとその適用について説明できる 主要な管理文書の要求内容とその役割について説明できる ステークホルダーの典型的グループとその利害を説明できる ステークホルダーの管理の重要性とその活動について説明できる ステークホルダーとの関係、コミュニケーションプランについて視覚的な説明ができる コミュニケーションプランを策定するために必要な情報を認識している リスク関連情報を収集を促進するためのメカニズムを説明できる コミュニケーションを十分に機能するために、権限付与、責任、展望およびネットワークのあり方について  認識している リスク情報のディスクロージャーの役割と重要性について説明できる ディスクロージャーに関する法制度について説明できる 第7章です。 基本テキストで対応しているのは:

目 次 1.リスクコミュニケーションとは何か? ・・・・・ 3 2.組織外とのコミュニケーション ・・・・・ 8    目   次 1.リスクコミュニケーションとは何か?     ・・・・・ 3 2.組織外とのコミュニケーション ・・・・・ 8 3.組織内でのコミュニケーション ・・・・・ 11 4.情報の「送り手」、「受け手」の留意事項 ・・・・・ 13 5.緊急時の広報対応 ・・・・・ 14 6.事例紹介 ・・・・・ 16 7.まとめ ・・・・・ 20 本ノートについて: 本ティーチングノートは、平成15年12月に開催された 「事業リスク評価・管理人材育成システム開発事業」実証プログラムにおける 株式会社インターリスク総研 緒方純一氏のご講義 「リスクコミュニケーション手法」 の内容を学習支援用教材に再編集したものです。挿入されております 図表等も原則として講師に提供していただいたものです。

1.リスクコミュニケーションとは何か? (1)リスクコミュニケーションの定義 ●リスクコミュニケーションの定義   「個人、機関、集団間での情報や意見のやりとりの相互作用的過程」      (National Research Council) ●リスクに関係する人々(ステークホルダー)がリスクに関する情報を共有する ●リスクを理解する ●どうすればよいかを共に考える ●双方向コミュニケーション ● 「説得」、「一方的連絡」ではない リスクコミュニケーション

1.リスクコミュニケーションとは何か? (2)リスク認知 1.リスクコミュニケーションとは何か? (2)リスク認知 ■リスク認知とは →リスクをどのように理解しているか。どのように理解しているか。 年齢、性別、性格、職業、知識量などのバイアス。 あまりに現実とかけ離れていると問題あり。 <例> バイクに怖くて乗れない人、 快感でたまらない人・・・. ■リスク認知のバイアス   非自発的なリスク > 自発的なリスク   影響が広範囲で多くの被害者が出るリスク   比較的新しくなじみの薄いリスク   人為的なリスク > 自然発生的なリスク

1.リスクコミュニケーションとは何か? (3)リスクコミュニケーションの重要性 1.リスクコミュニケーションとは何か? (3)リスクコミュニケーションの重要性 ●リスクコミュニケーションはリスクマネジメントの根幹をなすインフラである! ●よりよい意志決定には欠かすことの出来ないものである! ●リスクコミュニケーションの改善は組織の活性化につながる!

1.リスクコミュニケーションとは何か? (4)リスクコミュニケーションの全体像 1.リスクコミュニケーションとは何か? (4)リスクコミュニケーションの全体像 ステークホルダー 取引先 株主 投資家 行政機関 顧客 地域社会

1.リスクコミュニケーションとは何か? (5)リスクコミュニケーションの分類 ●情報伝達の対象   ・組織内(役員、社員)   ・組織外(行政機関、取引先、株主、消費者等) ●時間軸   ・平常時   ・緊急時 ●情報伝達の理由    ・制度的   ・半ば強制的   ・自発的

2.組織外とのコミュニケーション (1)制度的情報開示 わが国の制度的情報開示 ●商法が求める情報開示 ●証券取引法が求める情報開示 ●証券取引所規則が求める情報開示 ●店頭登録会社に求められる情報開示 制度的情報開示の例 ●02年3月期   監査報告書による「破綻リスクに関する意見表明」    →13社 ●03年3月期   決算書における「事業等のリスク」での開示    →29社

2.組織外とのコミュニケーション (2)機関投資家が求めるリスク情報例 ●SRI(Socially Responsible Investment)の質問例   経済面:行動規範/法令遵守/コーポレート・ガバナンス         /CRM/IR/リスククライシスマネジメント/          企業戦略など    環境面:環境方針・マネジメント/環境パフォーマンス/環         境報告など    社会面:企業市民/フィランソロピー/ステークホルダーと         の関わり/雇用慣行に関する指標/人材開発/         サプライヤー選定基準など                                       (DJSIにおける評価項目)

2.組織外とのコミュニケーション (3)その他リスク情報開示の例 ①取引先が求めるリスク情報 ●リスク管理態勢 ●リスク・コントロール策の内容 ●リスク・ファイナンシング策の内容 ●認証、マネジメントシステムの取得状況 ②自発的なリスク情報開示 ●金融機関におけるディスクロージャー誌でのリスク情報開示の例       ・コーポレートガバナンス    ・内部監査体制    ・コンプライアンス体制    ・リスク管理への取り組み ●「お詫び広告」によるリスク情報開示の例

3.組織内でのコミュニケーション (1)社内のリスクコミュニケーション ●通常の業務フロー(職制)に従ってリスク情報が伝達されるルートが基本形 ●「基本形」を逸脱するケースとして、    ・緊急事態発生時のルール   ・企業倫理ヘルプライン(ホットライン) ●社内のリスクコミュニケーションでの留意点 人間の心理 情報の「送り手」、「受け手」の心得 縦割り組織の弊害 リスク情報の「迅速性」、「正確性」

3.組織内でのコミュニケーション (2)ホットラインの状況 ●ホットラインの導入状況 ●「ホットライン」の類型   ・労働組合   ・人事・労務関連   ・セクハラ   ・企業倫理/コンプライアンス ●「ホットライン」の運営形態   ・社内/社外/両方   ・実名/匿名   ・社員/関連会社/社員の家族/取引先 ●「ホットライン」のツール   ・面談     ・電話   ・ファックス/Eメイル

4.情報の「送り手」・「受け手」が気をつけること (1)「送り手」が気をつけること ●リスクの指摘だけで終わらせない ●双方向の情報のやりとりを心がける ● 分かりやすい言葉や表現に ●できるだけビジュアルに具体的に ●繰り返す ●情報の目的を明確にする ●受け手の特性を考える (2)「受け手」が気をつけること ●リスクについて知り、理解する努力をする。  (理解力が上がれば情報を見分けられる) ●情報への疑問や意見を感じたら積極的に質問、コメントする。 ●情報にはバイアスがかかっている可能性があることに注意する。 ●それぞれの役割を理解する。(できることもできないこともある)

5.緊急時の広報対応(その1) 原則1.「情報飢餓にしない」を念頭におく 原則2.メディアの関心事を理解しておく  ・「ポジションペーパー」に準拠する  ・「時間」を常に計算する  ・情報は継続的に出していく  ・組織(企業)内の価値観や慣例が通用するとは考えない  ・メディア対応はすべて記録に残す  ・緊急時のメディア差別は厳禁 原則2.メディアの関心事を理解しておく  ・何が起こったのか(事実)  ・今、どうなっているのか(経過と現状)  ・なぜ起きたのか(原因)  ・これからどうするのか(対応策)  ・この事態をどう思っているのか(コメント)  ・この事態に関与しているには誰で今どうしているのか  ・過去に類似のケースはなかったか

5.緊急時の広報対応(その2) 原則3.記者会見での留意事項 原則4.電話取材への対応 ・スポークスマンを決める  ・スポークスマンを決める  ・スポークスマンに求められること・心得  ・会見のタイミングをはかる  ・会場の場所を決める  ・配布資料などを準備する  ・記者会見の進行をスムーズに行う  ・想定問答を準備する 原則4.電話取材への対応  ・危機発生初期はかけ直しを原則とする  ・問い合わせにはできるだけ早く答える  ・記者会見を優先する  ・電話取材対応窓口は一本化する  ・相手を確認して記録する

Sランク:即刻、経営トップにまで伝達されなければな らないリスク情報 Aランク:可及的速やかに経営トップに伝達されなけれ 6.事例紹介 (1)リスク情報の優先順位付け Sランク:即刻、経営トップにまで伝達されなければな       らないリスク情報 Aランク:可及的速やかに経営トップに伝達されなけれ       ばならないリスク情報 Bランク:その日のうちに経営トップに伝達されなけれ Cランク:通常の情報ルートで流せばよいリスク情報

6.事例紹介 (2)縦方向のリスクコミュニケーションのルール 対応対象 事象によってはスキップしてマネージャーが対応 リスク情報の伝達 担当者(当事者) 対処方策の指示 上長不在の場合はスキップ マネージャー 部長等 必要に応じ報告・指示を仰ぐ 経営トップ

6.事例紹介 (3)横方向のリスクコミュニケーションのルール 関連部 対応対象 広報室 ○○部 担当者(当事者) リスク情報の伝達 マネージャー リスク情報の蓄積・フィードバック 部長等 経営トップ リスクマネジメント担当

6.事例紹介 (4)社外向けのリスクコミュニケーションのルール 情報の伝達・入手・協議 情報伝達 ○○部 関連部門 当事者(マネージャー) 広報室 社外向け対応の検討・準備 経営トップ リスクマネジメント担当 出所:株式会社インターリスク総研

7.まとめ 1.何が企業(組織)にとってリスクなのかを知ること 2.リスクコミュニケーションのルールを構築すること 3.ルールを徹底すること 4.リスク認知の特徴を知り、ばらつきをなくすこと 5.リスク感度を高めること 6.実践的なトレーニングを行うこと 7.ルールを常に見直すこと