X線天文衛星「すざく」による HESS未同定天体の観測

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X線天文衛星「すざく」による HESS未同定天体の観測 松本浩典(京都大学理学部宇宙線研究室)

目次 研究動機 X線天文衛星すざく HESS未同定天体の観測 HESSJ1614-518 HESSJ1616-508 なぜ「すざく」がこの研究に向いているのか? HESS未同定天体の観測 HESSJ1614-518 HESSJ1616-508 HESSJ1804-216 議論: 暗黒加速器

陽子の加速現場を見たい TeV …高エネルギー粒子。電子 or 陽子? 電子はX線で輝きやすい! TeVで明るく、X線で暗い天体を探そう! Flux(TeV)/Flux(X)=U(CMB)/U(B) 数μGの磁場で、U(B)~U(CMB)  Flux(X-ray)~Flux(TeV) 電子はX線で輝きやすい! TeVで明るく、X線で暗い天体を探そう!

HESS Galactic Plane Survey TeV(>200GeV)で初の銀河面探査 14の新天体 HESSJ1804-216 HESSJ1616-508 HESSJ1614-518 3つの広がったunID天体を選択 Gal. Cent. 対応天体が発見されていないものがほとんど (Aharonian et al. 2005, 2006)

なぜ広がった天体? 高エネルギーX線による広がった天体の観測が、すざくX線CCD(XIS)のもっとも得意とする事だから。

X線天文衛星「すざく」について すざく搭載検出器 X線望遠鏡(XRT)+X線CCD(XIS) … 0.3-12keV 硬X線検出器(HXD) … 10-600keV 広がった高エネルギーX線に対する感度 エネルギー分解能 PIN + GSO + BGOアクティブシールド 低ノイズでワイドダイナミックレンジ

X-ray Imaging Spectrometer (XIS) 4台のCCDカメラ(FI 3台+BI 1台) CCD=Si半導体検出器が二次元に並んだもの 撮像と分光が同時に可能 視野 18分角 X 18分角 エネルギー範囲 0.2 – 12 keV ピクセル数 1024 X 1024 ピクセルサイズ 24μm X 24μm エネルギー分解能 (FWHM) 130eV @ 6keV

FI CCD(3台)とBI CCD(1台) 電極 電極 邪魔する電極がない 空乏層が厚い 低エネルギーX線に感度良し

有効面積 FIとBI (1台ずつ;XRT込み) 他の衛星と比較 高エネルギー側で優れた感度

FI CCDはBGDが低い BGD/単位立体角/有効面積 =広がった天体に対するS/N比の逆数 BI FI FIは特に低いBGD

しかもBGDは安定している。 Blank skyのライトカーブ すざく XIS FI XMM CCD 1e4 2e4 3e4 Time(s) 20 30 10 counts/s 0.1 Time (sec) 5e4 1e5 1.5e4 0.2 衛星高度が低いので地球磁場に守られている。

XISのエネルギー分解能 3本のFe line 銀河中心スペクトル 短い観測時間で極めて良質のスペクトル

FI CCDの特徴 角度分解能(1分) (望遠鏡で決まる) cf. Chandra(0.5秒), XMM-Newton(5秒) 角度分解能(1分) (望遠鏡で決まる) cf. Chandra(0.5秒), XMM-Newton(5秒) 高エネルギーX線に優れた感度 BGDは安定で低い エネルギー分解能が良い 高エネルギーX線で広がった天体を狙う! HESS unID objectの研究にうってつけ!

BIの特徴 BI FI BIでありながら、FIと同等のエネルギー分解能 Chandra XMM pn 超新星残骸E0102-72のスペクトル (24.6ks) BI FI Chandra XMM pn BIでありながら、FIと同等のエネルギー分解能

Hard X-ray Detector (HXD) BGO Si PIN GSO 光電子増倍管 PIN: 10—60keV, GSO: 30—600keV, BGO: アンチ

最高感度を達成 Continuum Components Line Components

HESSJ1614-518 新天体で最も明るい XIS FOV 50ks HESSJ1614 (l, b)=(331.52, -0.58) HESS TeV γ-ray image (excess map) Provided by S. Funk (MPI) 新天体で最も明るい XIS FOV 50ks HESSJ1614 (l, b)=(331.52, -0.58)

XIS FI (S0+S2+S3): 3-10keV band XIS image XIS FI (S0+S2+S3): 3-10keV band 50ks TeVγ-ray 広がった天体 srcA Swift XRT も検出 (Landi et al. 2006) srcB

XIS spectra (srcA) のっぺりとして構造がない非熱的スペクトル NH=3.8(±0.9)e21cm-2 Γ=2.0(±0.1) F(2-10keV)=5.3e-13erg/s/cm2 のっぺりとして構造がない非熱的スペクトル

XIS spectra (srcB) 構造がない非熱的なスペクトル。しかしかなりソフト。 NH=9.9(±1.0)e21cm-2 Γ=3.4(±0.2) F(2-10keV)=2.4e-13erg/s/cm2 Swiftと比較すると時間変動? 構造がない非熱的なスペクトル。しかしかなりソフト。

HESSJ1616-508 XIS FOV HESSJ1616 45ks (l, b)=(332.391, -0.138) HESS TeV image (excess map) (l, b)=(332.391, -0.138) XIS FOV 45ks Provided by S. Funk (MPI) HESSJ1616

XIS image 45ks X線で対応天体がない。 F(2-10keV)<3.1e-13 erg/s/cm2 XIS FI (S0+S2+S3): 3—12keV TeV image 45ks 詳しくは Matsumoto et al. 2007 PASJ, すざく特集号 (PASJ, 59, S199, 2007) X線で対応天体がない。 F(2-10keV)<3.1e-13 erg/s/cm2

HESSJ1804-216 新天体で最もソフトなスペクトル XIS FOV 40ks HESSJ1804 HESS TeV γ-ray image (excess map) Provided by S. Funk (MPI) (l, b)=(8.401, -0.033) XIS FOV 40ks 新天体で最もソフトなスペクトル HESSJ1804

XIS image XIS FI (S0+S2+S3): 3-10keV srcA srcB srcA: extended Swift XRT (Landi et al. 2006) Chandra (Cui & Konopelko 2006) Chandra (Kargaltsev et al. 2007) TeV image srcA srcB srcA: extended or multiple srcB: point-like Chandra (Kargaltsev et al. 2007) 40ks

XIS spectra (srcA) srcA srcA: 広がっている srcB NH=11(±8)e22cm-2 Γ=1.7(±1.2) F(2-10keV)=4.3e-13erg/s/cm2 吸収が非常に大きい

XIS spectra (srcB) srcA srcB: 点源 srcB やけにフラット NH=0.2(<2.2)e22cm-2 Γ=-0.3(±0.5) やけにフラット F(2-10keV)=2.5e-13erg/s/cm2 詳しくはBamba et al. 2007 PASJ, すざく特集号 (PASJ, 59, S209, 2007)

Gallery HESSJ1614 HESSJ1616 HESSJ1804 Hard X-ray TeV

TeV vs X-ray Cf. Crab ~0.0027, RXJ1713-3946~0.06 Γ(TeV) F(1-10TeV) erg/s/cm2 Γ(X) F(2-10keV) F(TeV)/F(X) HESSJ1614 (srcA) 2.46 1.8e-11 2.0 5.3e-11 34 HESSJ1614 (srcB) 3.4 2.4e-13 75 HESSJ1616 2.35 1.7e-11 --- <3.1e-13 >55 HESSJ1804 (srcA) 2.71 1.0e-11 1.7 4.3e-13 23 HESSJ1804 (srcB) -0.3 2.5e-13 40 Cf. Crab ~0.0027, RXJ1713-3946~0.06

もし電子起源だったら…. Very weak B (B<1μGauss) or Strong cut-off 有り得る? Suzaku upper limit or Strong cut-off HESSJ1616 SED 観測は Γ(TeV)>Γ(X) が多いが…

まとめ すざくXISで次の3つのHESS unID 天体を観測。 HESSJ1614-518広がった対応天体 どの場合も F(TeV)/F(X) が非常に大きい 電子起源での説明は難しいように思える。

いったい何者? 諸説あります… PWN? 古いSNR? (Yamazaki et al. 2006, MNRAS, 371, 1975) ガンマ線バースト残骸? (Atoyan et al. 2006, ApJ, 642, L153) 全くわからん! γ線X線の更なる観測以外に、他波長の情報が必要。

すざく観測実績&予定 HESS J1702-420 (予定) HESS J1718-385 (観測済)

HESSJ1614-518 3.0—10.0keV 0.4—3.0keV

HESSJ1616-508 0.4--3keV 3--12keV

HESSJ1804-216 0.4-3keV 3-10keV