材質感提示のための振動を用いた力覚インタラクション環境の提案

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材質感提示のための振動を用いた力覚インタラクション環境の提案 電気通信大学大学院 松野・長谷川研究室 池田 有冬 ・ 長谷川 晶一

力覚インタラクション 実世界での物体操作 → 物体と手の間に働く力(=力覚)を利用 バーチャルリアリティ世界での物体操作 現実に近い感覚 → 物体と手の間に働く力(=力覚)を利用 バーチャルリアリティ世界での物体操作 現実に近い感覚 → 力覚の提示 器用な物体操作が可能

従来の力覚インタラクションの問題点 提示可能な物体の硬さ 実世界の物体に比べて柔らかい 実世界での硬さ認知の手掛かり 指先の接触面積変化 力覚提示の更新周期が一般的な周期(1kHz)では提示可能なバーチャル物体の硬さに限界 実世界の物体に比べて柔らかい 実世界での硬さ認知の手掛かり 指先位置の制御(抗力による形状提示) 再現されていない実世界での現象 指先の接触面積変化 接触物体の固有振動

高周波更新による力覚レンダリング 東京工業大学 赤羽克仁、小池康晴、佐藤誠 高周波更新による力覚レンダリング 東京工業大学 赤羽克仁、小池康晴、佐藤誠 物理シミュレーション 映像提示 ⇒ 1kHz更新 提示する力覚の計算 ⇒ 10kHz更新 1kHz更新よりも高インピーダンスな仮想壁の提示が可 能 映像提示と力覚提示のマッチングの問題 高周波更新可能なデバイスが必要   ⇒特殊なデバイスが必要

指先接触面積の変化 東京農工大学 池田義明、藤田欣也 指先接触面積の変化  東京農工大学 池田義明、藤田欣也 指先の接触面積の   変形を再現 現実世界での現象 従来の力覚提示 指先接触面積を変化させる力覚提示 リアリティのある柔らかい物体を表現 指先の接触面積を変化させるデバイス   ⇒特殊なデバイスが必要

力覚インタラクションの構成 3次元コンピュータ グラフィックス 映像提示 力覚インタフェース 力覚レンダリング 物理シミュレーション ユーザの入力 力覚の提示 物体の運動を生成 提示する力覚の  計算

物体の固有振動再現 Allison.M.Okamura 接触時に起きる 物体の振動を提示 振動によって材質の違いが 表現可能   物体の振動を提示 振動によって材質の違いが 表現可能 力覚インタフェースで提示可能 ⇒特殊なデバイスを必要としない 力覚インタラクション環境への適 用はなされていない

目的 実世界環境に近い、バーチャル世界の力覚インタラク ション環境を構築 提案手法 固有振動を再現することにより硬さ表現を行う 特殊なデバイスが必要ない 実世界での現象を再現 提案手法 力覚インタラクション環境内で物体の固有振動を再現 固有振動を再現することにより硬さ表現を行う 振動を提示することによる人の知覚変化の評価

提案手法 抗力提示 バネ・ダンパモデルによる計算 K : バネ係数、 B : ダンパ係数 提案手法 抗力提示 バネ・ダンパモデルによる計算 K : バネ係数、 B : ダンパ係数 X : 物体への侵入量、  V : 接触時のポインタの速度 力 床位置 抗力 時間

提案手法 固有振動の再現 物体に触れた瞬間に起きる振動をモデル化 振動のモデル化(Allisonら) 提案手法 固有振動の再現 振動のモデル化(Allisonら) 物体に触れた瞬間に起きる振動をモデル化 Q : 提示力の変化、 α : 振幅係数、 β : 減衰係数 V : 接触時のポインタの速度、 ω : 材質ごとの角速度 t : 接触開始時刻からの経過時間 振動

提案手法 力覚レンダリング 提示力 F = 抗力 Fn + 振動による変化量 Q 振動を力として提示することで力覚インタフェースで提示可能 提案手法 力覚レンダリング 力 力 時間 時間 バネ・ダンパモデルによる抗力 Fn 提示する力 F 振動モデルによる変化量 Q 提示力 F = 抗力 Fn + 振動による変化量 Q 振動を力として提示することで力覚インタフェースで提示可能

評価システムの構築 提示デバイス 力覚インタフェース SPIDAR 糸とモータによるパラレル機構 評価システムの構築 提示デバイス 力覚インタフェース SPIDAR  佐藤誠(東京工業大学) 糸とモータによるパラレル機構 グリップに取り付けられた糸を引くことで、ユーザに力を提示 目的に応じて、モータの数、取り付け位置を変更可能 6自由度力覚インタフェースSPIDAR-G

実験 SPIDARの振動伝達特性 目的 : モータが糸を介して、どの程度の振動を伝搬 するのか調べる 内容 条件 目的 : モータが糸を介して、どの程度の振動を伝搬        するのか調べる 内容 モータから伸びる糸の先に力センサーを固定 ファンクションジェネレータにより、交流電流を入力(1.2A) 糸の張力変化を測定 条件 使用した力センサー :  PCB製 PIEZOTRONICS Model No.208C01

実験結果 位相おくれ 糸の張力変化

考察 100Hz以降、共振が周期的に発生 共振が起きている周波数帯では糸の 張力が非常に小さい 実験中、糸が横波に振動 → 糸の共振 共振が起きている周波数帯では糸の 張力が非常に小さい → 共振が起きている周波数帯では振 動提示は不可 SPIDARは断続的であるが2kHz程度 までの振動を提示できる 位相おくれ 糸の張力変化

実験 振動提示による知覚変化 評価刺激 調節したバネ係数 バネ係数 調節 目的 : 振動を提示したとき、人がどのように知覚して 実験 振動提示による知覚変化 目的 : 振動を提示したとき、人がどのように知覚して        いるのか調べる 内容 提示されている壁の硬さを振動なしバネ係数で評価 7種類の評価刺激をランダムに、各5回ずつ回答 評価刺激 (バネ係数一定+振動) 調節したバネ係数 (バネ係数変化+振動無) バネ係数 調節

実験 振動提示による知覚変化 条件 評価刺激 ・・・ 基準となる硬さ 7種類 調節法 ・・・ バネ係数 ±0.1N/mm 実験 振動提示による知覚変化 条件 評価刺激 ・・・ 基準となる硬さ 7種類 ・2N/mm  ・0.3N/mm+振動A  ・0.3N/mm+振動B  ・1N/mm+振動A ・1N/mm+振動B ・2N/mm+振動A ・2N/mm+振動B 振動A(アルミ) : α : -1500、 β : 90、 ω : 300 振動B(木) : α : -750、 β : 80、 ω : 100 調節法 ・・・ バネ係数 ±0.1N/mm ダンパ係数 ・・・ 10N/mm・ 被験者にはヘッドホンを用いてピンクノイズ ヘッドホン : 

実験結果 振動別平均 振動無 アルミ 木 調節したバネ係数 [N/mm] 評価刺激 [N/mm]

考察 振動提示による知覚変化 振動を提示すると固く感じる 振動の違いによって感じる硬さが変化 硬さの知覚に個人差 考察 振動提示による知覚変化 振動を提示すると固く感じる 硬さの知覚に振動が関わっている 振動の違いによって感じる硬さが変化 振動によって材質感提示が可能 硬さの知覚に個人差 被験者A、C : バネ係数ベース 被験者B、D、E、F : バネ係数・振動全体 アルミの振動では被験者間の差が大きい 木の振動では被験者間の差が小さい バネ係数による硬さとの差が大きくなると個人差が大きくなる アンケートの結果からバネ係数が小さい時の振動提示に 違和感

まとめ 力覚インタラクション環境下で物体の固有振動を再現 振動を提示することで硬さの知覚が変化 抗力に振動による変化量を足し合わせ、力として提示 特殊なデバイスを必要としない 振動を提示することで硬さの知覚が変化 振動を提示することで硬く感じる 振動の違いによっても変化

展望 材質感を提示するための振動の作成 実物体での振動測定 パラメータの設定 タスク実験による評価 振動による硬さ提示が及ぼす操作性への影響