何が遺伝子か ● ウイルスの構成要素: タンパク質と核酸だけ; どちらが遺伝子か? ● ウイルスの構成要素: タンパク質と核酸だけ; どちらが遺伝子か? ● 遺伝子: DNA(デオキシリボ核酸); 全細胞に含まれる ● 従来の説 植物: 1つの体細胞 ⇒ 1つの個体 哺乳類: 子孫を残せるのは生殖細胞だけ ● 1997年: 体細胞の核酸からクロ-ン羊が作られる 2001年: ヒトのクローン卵子の細胞分裂 2006年: 人工多能性幹細胞; 受精卵使わず分化万能細胞 ●DNAの情報: タンパク合成 タンパク質以外のもの(糖や脂肪等): 酵素反応で合成 ●酵素はタンパク質 ⇒ タンパク質以外の物質の遺伝情報もDNAで
タンパク質の合成経路 タンパク質は遺伝子の情報で作られる
遺伝子をめぐる話題 ●ヒトの遺伝子数: 約2万個余り(イネ科の植物より少ない) タンパク質数: 約10万種 ●ヒトの遺伝子数: 約2万個余り(イネ科の植物より少ない) タンパク質数: 約10万種 → 1つの遺伝子が 3~4個のタンパク質に対応 ●ヒトの遺伝情報: 99.9%は共通 0.1%違いで、 髪や目の色など属性が決まる ●ヒトとチンパンジーの遺伝子の違いは1.2% ●チンパンジーになくてヒトにだけにある遺伝子: ない ●チンパンジーありヒトにない遺伝子群: 四 ● 蝿とヒトの遺伝子も約8割同じ。ウニ(下等生物?)とは70%が共通。 ●脳の容積: 初期の原人: 類人猿と大差ない ネアンデルタール人や現代人: その2~3倍 ●CMAH(遺伝子): 動物では人間にだけない これが突然変異で失われた時期に、脳の大型化が始まった。 ネアンデルタール人にもない → 脳成長抑制遺伝子?
人類の進化と生活域 人類は700万年前に類人猿の祖先から分化 現生人類(ホモ・サピエンス)は20万年前にアフリカに出現
核酸の構造 核酸塩基は4種類ある コドン(3個の核酸塩基の組合せ)でアミノ酸を指定
DNA(遺伝子) ●タンパク質合成でのアミノ酸の指定: 4種類の核酸塩基の内の3個の組み合わせ ●微生物から高等動物まで同じ ⇒ 全生物が1つの原始生命体から分化? ●DNA: 20世紀最大の発見 ●対応する2本の鎖(二重ラセン): 遺伝情報の伝達、安定性向上 ●DNAの損傷: 遺伝や生体機能の障害(癌) ●日光消毒: 紫外線による細菌のDNAの損傷
DNAの複製 ・・・・・ 水素結合
遺伝子操作 ●遺伝情報の表し方は全生物で共通 ⇒人間と植物や微生物の間でも遺伝情報の交換が可能 ⇒人間と植物や微生物の間でも遺伝情報の交換が可能 ●例: 大腸菌にインシュリン、ヒト成長ホルモン、インタ-フェロンなどを作らせる ●遺伝子組み換え食品の問題点: 目的のタンパク質以外のタンパク質もできる ⇒ 安全性の確認が難しい
雄と雌の存在理由(結婚の生物的価値) ●DNA:安定性が高い ●紫外線、放射線、化学物質などで損傷 ⇒ 健全なもう一方をもとに修復可 ●DNA:安定性が高い ●紫外線、放射線、化学物質などで損傷 ⇒ 健全なもう一方をもとに修復可 ●交配: ●DNAに修復不能部分 ⇒ 雄と雌のDNAの健全な 部分の組合わせ ⇒ 健全なDNA ⇒ 種の絶滅を防ぐ ●DNAの交差(混合再配列) ⇒ 多様な遺伝子 ⇒ 環境変化への対応力向上 (●環境が厳しくなると: 無性生殖 ⇒ 有性生殖) ●DNAが変化したまま ⇒ 突然変異 ⇒ 生物の進化
“RNAワ-ルド”から“DNAワ-ルド”へ ●タンパク質合成: 酵素が必要 ●DNA: 酵素なしには何もできない ●RNA: 1本鎖 ⇒ 変異が速い ●レトロウイルス(エイズなど): 遺伝子がRNA ⇒ ワクチンを作りにくい ●一部のRNA: 遺伝情報+触媒作用 ⇒ タンパク合成 ⇒ (自己複製可: 危険) ⇒ 生物はRNA分解酵素をもつ ●“RNAワ-ルド” : 偶然に誕生したRNA ⇒ 多様なRNA ●“DNAワ-ルド”: 遺伝情報は安定なDNA、 タンパク合成はRNA
遺伝子診断 ● 遺伝子診断: DNA解析 ⇒ 胎児の遺伝的素質 ⇒ 新しい優性学 ● ヒットラ-の優性学: 劣等なユダヤ人の絶滅 ● 遺伝子診断: DNA解析 ⇒ 胎児の遺伝的素質 ⇒ 新しい優性学 ● ヒットラ-の優性学: 劣等なユダヤ人の絶滅 ● アメリカでの調査: 「肥満遺伝子をもっていると分かれば中絶する」と答えた女性が30% ● 保険会社: 遺伝子診断の結果を知る権利を主張 ● 結婚相手の遺伝子診断の結果を知りたい?
病気の環境要因と遺伝要因 肥満にも、環境要因だけでなく、50種類以上の遺伝子が関係。
好気性生物の出現 ● 酸素がなかった時代: 生物は嫌気性生物だけ。 ● 光合成生物の出現 ⇒ 酸素の放出 ● 酸素がなかった時代: 生物は嫌気性生物だけ。 ● 光合成生物の出現 ⇒ 酸素の放出 ● 海: Fe2++O2 ⇒ Fe3+ (鉄鉱石: Fe2O3)( O2の消費) Fe2+ がなくなる ⇒ 大気中のO2増加 ⇒ 3-4 億年前に現在とほぼ同濃度 ● 嫌気性生物の大絶滅 ⇒ 酸素呼吸をする生物の優位 問題 光合成では酸素が放出される。しかし、ここ数億年間大気中の酸素濃度はあまり変わっていない。なぜか。さらに、大気中の酸素濃度が高まるための条件を述べよ。
炭素原子の循環 CO2:炭素原子の大気中で最も安定な形 → 他のものに変えるのにはエネルギーが必要 → 処理して除くのが困難 14 14
ATP⇒ADPでのエネルギー発生 ADP ATP ここで加水分解される → ADP ATP → ADP でエネルギー(7.3 kcal/mol)が発生
酸素呼吸の優位性 醗酵(嫌気性) ● エネルギー発生: ATP + H2O → ADP+H3PO4 + 30KJ(7.3Kcal) ● 呼吸: ブドウ糖+6O2→→6CO2+6H2O+38ATP ● 発酵: ブドウ糖 →2乳酸+2ATP ブドウ糖 →2エタノール+ 2CO2+ 2ATP ● 酸素呼吸は、エネルギー源の利用効率を 20 倍近く高めた。 醗酵(嫌気性)
醗酵と腐敗 ● 醗酵:人間に有益な場合: 醗酵食品(酒類、味噌、醤油、納豆、ヨ-グルト、パンなど) ●腐敗:悪臭等で人間が嫌悪感をもつ場合: 腐敗臭は、危険を知らせるシグナル ●醗酵と腐敗も、酸素のない状態で、微生物が有機物を分解してATPを得るプロセス (生成物が有害な例: 酵母は醗酵でできる15%以上のエタノールで死ぬ)
ATPの使われ方 ● ATP : 高エネルギ-物質: エネルギ-の通貨 ● ATP : 高エネルギ-物質: エネルギ-の通貨 ● ATP → ADP : 発生エネルギ-の 60%が仕事、 40%が熱(体温の維持) ● ナトリウム-カリウムポンプによる物質移動 (ATP消費量の約 1/3 ) 細胞内(赤血球) 周囲の体液中 Na+ 1 10 (濃度比) K+ 30 1 ● Na+ と K+ 細胞膜内外間での濃度差 ⇒ 情報伝達、脳の働き
脳でのATP ● ADP⇒ATP には、O2 が必要 ● 大脳: 1日に体重くらいのATPを消費 (全酸素の 20 %を消費) ● 大脳: 1日に体重くらいのATPを消費 (全酸素の 20 %を消費) ● 大脳のATP量は約1g ⇒ ATP⇌ADPが1万回/日(6秒間隔) ⇒ 酸素濃度が低いとATPができない ⇒ 急速な意識喪失 ● 脳のエネルギ-源は、ブドウ糖だけ。 脳で全エネルギ- の 1/4 (血糖の8割)を消費
ATPと料理 ● 運動: ATPをエネルギ-源にしたタンパク質の滑り ● 死後硬直: ATPがないので筋肉での滑りが起こらない ● 死後硬直: ATPがないので筋肉での滑りが起こらない ● タンパク質分解酵素でタンパク質が分解 ⇒ また軟らかくなる。 ● 洗い: 鮮度のよい魚肉を薄切りにして冷水で洗う ⇒ ATPの流出 ⇒ 筋肉が硬直しコリコリした歯ごたえ ●鰹節: 猛スピ-ドで泳ぐ鰹には、ATPが多い ⇒ 多量のイノシン酸(ATPの分解生成物: 旨味物質)ができる ⇒ 「だし」がよく出る ● 死後硬直が解ける頃にイノシン酸が最も多くなる (歯ごたえは弱くなる)
1分子の合成に必要なATP数 生合成に使われるATPの 88%がタンパク質の合成に使われる。
ATPの働き ● 細胞膜を通した物質の輸送(ポンプなど) ● 情報の伝達 ● 筋肉運動などの力学的仕事 ● 生体物質を作る生合成
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炭素原子の循環 エネルギー 光合成 (太陽エネルギー) CO2消費量=発生量 CO2:炭素原子の大気中で最も安定な形 → 他のものに変えるのにはエネルギーが必要 → 処理して除くのが困難 24 24