「建築構法」 12回目の授業 鉄骨造建物の変遷 平成30年 7月 9日(月) 今岡 克也
古代 中近東の製鉄法 BC 3000年頃 ← 鉄隕石(隕鉄)を利用 エジプトのピラミッドに鉄環の首飾りが出土 BC 1500年頃 古代 中近東の製鉄法 BC 3000年頃 ← 鉄隕石(隕鉄)を利用 エジプトのピラミッドに鉄環の首飾りが出土 BC 1500年頃 トルコのヒッタイト族が鉄製の武器を製作 ← 鉄鉱石を木炭で溶かして鉄を取り出す BC 900年頃 エジプトで熱処理(焼入れ,焼戻し)開始 ← 鉄の強度が上がり、粘りも大きくなる
古代 中国の製鉄法 AD 300年頃 中国 ① 炉中に鉄鉱石と木炭を層状に置いて、火を 付けて、ふいご で風を送る。 古代 中国の製鉄法 AD 300年頃 中国 ① 炉中に鉄鉱石と木炭を層状に置いて、火を 付けて、ふいご で風を送る。 ② 木炭が燃えて一酸化炭素が発生する ③ 鉄鉱石にある酸化鉄の酸素が一酸化炭素と 反応して二酸化炭素となり、銑鉄が得られる ④ 溶融した銑鉄(溶鉄)を鋳型に流して鋳鉄を 製作し、武器や農具などに使用
日本の古墳時代と鉄器の生産 大和王朝が朝鮮南部から鉄板を輸入し、 国内の豪族などが鉄剣などの武器を製作 国内の豪族などが鉄剣などの武器を製作 → 権力の象徴として、巨大な古墳を築く 高句麗と百済の戦いに、大和王朝が出陣 475年高句麗が百済の都を征服 → 百済の技師の多くが日本に移住 ・ 砂鉄と木炭を用いたたら製鉄で釘などを生産
古代のたたら製鉄 ノロ(砂鉄に含まれる不純物)
たたら製鉄のケラ ケラ(銑鉄の塊)
鋼材の原料
オーストラリアの鉄鉱石の採掘場 約15億年前に堆積した鉄鉱石の地層を露天掘りしている 海底には鉄鉱石は無尽蔵に堆積している
コークス炉による鋳鉄の生産 中世のイギリス 多くの木炭高炉で 鉄製品を製作 → 木炭が必要なため近くの森林が消滅 多くの木炭高炉で 鉄製品を製作 → 木炭が必要なため近くの森林が消滅 1709年 コークス高炉がイギリスで誕生 ダービーが木炭の代わりに石炭を使用して 鋳鉄を大量生産 ← C量が多く引張に弱い
パドル炉による錬鉄の大量生産 18世紀イギリスでパドル法が開発 溶解した鋳鉄から炭素Cを効率的に酸化除去 溶解した鋳鉄から炭素Cを効率的に酸化除去 して錬鉄を生産 ← 引張力や曲げにも強い 1754年 イギリス ヘンリー・コートが圧延機を発明,錬鉄製品 として,レールや橋梁,列車などを大量生産 1779年 イギリス コールブルックディール 世界で最初の鉄製の橋が完成
ヘンリー・コートのパドル炉 パドル棒をかき回し 絡みついた錬鉄を 取り出す 1200℃以上 で C を除去 CO2 O2
コールブルックディールの鉄橋 1779年に完成 スパン約30m 鋳鉄
製鋼法の出現と大量生産 1855年 イギリス ベッセマーが底部から銑鉄に直接酸素を 吹き込む底吹き転炉法を始め鋼鉄を生産 1855年 イギリス ベッセマーが底部から銑鉄に直接酸素を 吹き込む底吹き転炉法を始め鋼鉄を生産 ← 炭素C量が減少し、強度と粘りが上昇 → 1889年エッフェル塔(300m) 錬鉄 1921年 アメリカ 連続鋳造法により、H形鋼の圧延が開発 ← 溶鋼から製品までを一度に製作 → 1931年エンパイアステートビル(381m)
ベッセマーの底吹き転炉 CO2 溶けた銑鉄 溶けた鋼 O2
現在の銑鉄の製造工程 鉄鉱石 Fe2O3 Fe3O4
現在の鋼材の製造工程
連続鋳造の写真
建築構法 第12回 2019/4/15 H形鋼の製造工程
角形鋼管の製造工程 ロール成形
角形鋼管の製造工程 プレス成形
1848年植物園のヤシ温室
1851年 水晶宮(クリスタル・パレス) ロンドンの万国博覧会
1889年 エッフェル塔 高さ 324m 錬鉄
1895年 リライアンスビル(シカゴ) 14階建 鉄鋼を使用
エンパイアステートビル 1931年 102階 381m ニューヨーク
日本の製鋼技術と鉄骨構造物 1895年 東京に秀英社印刷工場(3階建) フランスから錬鉄の円柱と鋼製の梁を輸入 1895年 東京に秀英社印刷工場(3階建) フランスから錬鉄の円柱と鋼製の梁を輸入 1901年 北九州に官営八幡製鉄所が完成 ← 高炉による製銑・転炉の製鋼・圧延 → 1958年 東京タワー (333m) → 1968年 霞ヶ関ビル (147m) 36階建 1970年代 年間粗鋼生産量で1億トン達成 → 1993年 横浜ランドマークタワー (296m) → 2012年 東京スカイツリー (634m)
1895年 秀英社印刷工場 日本最初の鉄骨造建物 円形の柱、外壁はレンガ
1968年 霞ヶ関ビル 日本最初の超高層 高さ 147 m 地上36階建 構造設計:武藤 清 柔構造の耐震設計 固有周期:約5秒
1993年 横浜ランドマークタワー 日本で2番目に高い 高さ 296 m 地上70階建 上部に制振装置 最も高い建物は あべのハルカス 1993年 横浜ランドマークタワー 日本で2番目に高い 高さ 296 m 地上70階建 上部に制振装置 最も高い建物は あべのハルカス 高さ 300 m
2012年 東京スカイツリー 日本で最も高い建造物 高さ 634 m 地上 160階建 鋼管を使用 鋼管同士の直接溶接 中央に円筒形の階段室 2012年 東京スカイツリー 日本で最も高い建造物 高さ 634 m 地上 160階建 鋼管を使用 鋼管同士の直接溶接 中央に円筒形の階段室 があり、制振装置を兼用