大気上層部におけるm、陽子、 及びヘリウム流束の測定

Slides:



Advertisements
Similar presentations
K2K-SciBar 検出器を用いた 低エネルギーニュートリノの エネルギー・スペクトルの測 定 大阪大理 田窪洋介 他 K2K-SciBar グループ K2K 実験 SciBar 検出器 低エネルギー イベント選択 まとめ 内容.
Advertisements

宇宙線ミューオンの測定 久野研究室 4回生 卒業研究 荒木 慎也 宮本 紀之 室井 章. 目次 実験内容 測定方法・結果 ・検出装置とセットアップ 解析 ・バックグラウンド除去 ・検出効率 ・立体角 ・文献 値との比較 まとめ.
Belle IIに搭載する粒子識別装置TOPカウンターのLikelihood法を用いた性能評価
東海-神岡ニュートリノ実験 T2K 2010年8月5日 小林 隆.
相対論的重イオン衝突実験 PHENIXにおける Aerogel Cherenkov Counterの シミュレーションによる評価
HERMES Dual-Radiator RICH Detector について
科研費特定領域第二回研究会 「質量起源と超対称性物理の研究」
日本物理学会 2010年 年次大会 @岡山大 LHC-ATLAS実験で用いられる イベントジェネレータの W+jets 事象を用いた比較
MEG実験2009 陽電子スペクトロメータの性能評価
太陽ニュートリノのための スーパーカミオカンデIII 低エネルギーバックグランド低減の研究
Determination of the number of light neutrino species
CALET主検出器のモデリング・シミュレーションによる性能評価
相対論的重イオン衝突実験PHENIX におけるシミュレーションによる charm粒子測定の可能性を探る
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
SP0 check.
In situ cosmogenic seminar
X線天文衛星用CCDカメラの 放射線バックグランドの評価
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 06MP111 吉竹 利織
Super-Kamiokande –I および II における 大気ニュートリノ L/E 振動解析
In situ cosmogenic seminar
PHENIX実験における 陽子・陽子衝突トリガーカウンターのための Photon Conversion Rejector の設計
地球近傍における陽子・ 反陽子の空間分布 I I
ω中間子原子核束縛状態探索のための TOF中性子検出器の開発
KOPIO(BNL-E926)のための α線源を用いたNitrogen Scintillation の研究
ATLAS検出器におけるFake Leptonの割合と Higgs・SUSY粒子探索に与える影響の研究
γコンバージョン事象を用いた ATLAS内部飛跡検出器の物質量評価
SK-Iにおける過去の超新星からの νflux探索 現状と展望
論文講読 Measurement of Neutrino Oscillations with the MINOS Detectors in the NuMI Beam 2009/11/17 Zenmei Suzuki.
Azimuthal distribution (方位角分布)
ATLAS実験におけるZ→μμ(W→mn)事象の測定
ATLAS実験における J/Y->mm過程を用いたdi-muon trigger efficiency の測定方法の開発及び評価
理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
高エネルギー重イオン衝突実験 PHENIXにおける 光子崩壊を用いた低質量ハドロン探索
In situ cosmogenic seminar
ATLAS実験におけるシミュレーションを用いたエンドキャップトリガーの性能評価
高エネルギー陽子ビームのための高時間分解能 チェレンコフビームカウンターの開発
フレアの非熱的成分とサイズ依存性    D1 政田洋平      速報@太陽雑誌会(10/24).
K核に関連した動機による K中間子ヘリウム原子X線分光実験の現状 理化学研究所 板橋 健太 (KEK-PS E570 実験グループ)
Charmonium Production in Pb-Pb Interactions at 158 GeV/c per Nucleon
ATLAS 実験における Inner Detector を用いた レベル2ミューオン・トリガーの性能評価
Scintillator と Gas Cherenkovと Lead Glass のデータ解析
ATLAS検出器におけるFake Leptonの割合と Higgs・SUSY粒子探索に与える影響の研究
シミュレーションサンプルを用いた光子コンバージョン再構成
宇宙線東西効果を利用した 電子―陽電子選別
Z(mm)イベントを用いた ATLAS LVL1 Muon Trigger Systemのコミッショニング
B物理ゼミ Particle Detectors:Claus Grupen, Boris Shwartz (Particle id
最高エネルギー太陽宇宙線の観測 甲南大学 村木 綏
PHENIX実験におけるp+p衝突実験のための
Dark Matter Search with μTPC(powerd by μPIC)
STOF check.
K. Hiraide (Kyoto Univ.) J-PARC-n ND280m meeting December 26, 2003
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
J-PARC meeting 藤岡 宏之 2006/01/31.
T2Kオフアクシスビームによる ミューオンニュートリノ消失モードの測定
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の開発(2)
(RHIC-PHENIX実験における粒子放出の方位角異方性の測定)
オルソポジトロニウムの寿命測定による束縛系QEDの実験的検証
bCALET-2で観測されたシャワーの 粒子識別解析
地球近傍における宇宙線陽子・反陽子空間分布シミュレーション
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
HERMESの横偏極水素標的の 深非弾性散乱におけるハドロン 測定による Single Spin Asymmetry
(K-, J-PARC 理化学研究所 大西 宏明.
Measurements of J/ψ with PHENIX Muon Arms in 2003 p+p Collisions
核内ω中間子質量分布測定のための 検出器開発の現状
Recoil catcher法による質量数90領域の
荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
Penta Quark Search in sNN=200 GeV Au+Au Collisions at RHIC-PHENIX
Clusteringを用いたEMCal解析
磁場マップstudy 1.
科研費特定領域 「質量起源と超対称性物理の研究」 第三回研究会
Presentation transcript:

大気上層部におけるm、陽子、 及びヘリウム流束の測定 東京大学大学院理学系研究科 安部 航 目的 測定器 Flight 解析 結果 まとめ

目的 P,He K π He P ν μ μ e ν ν 一次宇宙線、陽子、ヘリウム は大気中の原子核と衝突し二次宇宙線を生成する 大気 n 一次宇宙線、陽子、ヘリウム は大気中の原子核と衝突し二次宇宙線を生成する K π He P 大気 n m Secondary P,He ν μ μ e ν ν ground Super Kamiokande

20 %

} BESS2001測定器 TOF b (1/b 1.5%), dE/dx JET/IDC Rigidity (Pc/Ze)(GV) ( 0.5% at 1GV) Aerogel (n=1.02) Lead plate (2X0) } Particle ID

BESS 2001 flight September 24, 2001 Ft.Sumner, NM, USA Ft.Sumner

Flight profile Launching 8 am in local time Ascent Pressure(g/cm2) 2.6 hours 13.5 hours Very useful for fluxes at various altitude Data acquisition time Ascent 30 g/cm2 11.3 hour Change altitude gradually 4.5 g/cm2 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 Time(hour)

解析 Selection and efficiency Background Error estimation Trigger Non-interacted event selection Fiducial volume Particle identification Background Error estimation

Trigger mode T0-CD aerogel trigger 上下の TOF を hit したすべての event の1/4 を記録unbiased trigger aerogel trigger Aerogel でチェレンコフ光を出した event を記録 (proton >~5GV) 低エネルギー側では T0-CD、高エネルギー側では aerogel trigger を使用する。

Trigger efficiency T0-CD 99.8 % : ビームテストから求められている Aerogel trigger: 測定中のT0-CD event を用いて計算 T0-CD Aerogel trig Aerogel trig T0-CD Aerogel trig Aerogel trig T0-CD T0-CD

Non-interacted event selection JET/IDCでのトラックの数が1本 Hit した TOF が上下とも2本以下 トラックが hit したTOF を通過する reject

Efficiency for “non-interacted event selection” Monte Carlo simulation (GEANT)を用いて計算する ~85% ~70% ~97% ~97%

Fiducial volume Geometrical acceptance SW(m2sr) が決まる Vertical flux を求める 各測定器の十分な精度が出る領域を通過した event を選ぶ 鉛 p,He p,He m Geometrical acceptance SW(m2sr) が決まる

SW for each particle Non-interacted event efficiency 同様 MC simulation (GEANT) を用いて計算する

Particle identification 上下のTOFでの dE/dx を用いて粒子の電荷を識別する 1/b から粒子の質量の識別を行う      各粒子を識別する

dE/dx cut Rcut off : cut off Rigidity Rcut off よりRの小さい一次宇宙線は地球に到達できない 上TOF dE/dx 一次宇宙線 地球 下TOF dE/dx Rcut off : cut off Rigidity  Rcut off よりRの小さい一次宇宙線は地球に到達できない

Upper TOF dE/dx cut 上TOFで相互作用し、2次粒子だけが測定器を通過してしまうeventをカットする MC event

Upper TOF dE/dx cut Interaction event dE/dx の tail 部分を落とす 0.54<R<0.63 GV Interaction event 0.85<R<1.0 GV 8.57<R<10.0 GV

Efficiency for dE/dx cut JETでのdE/dxを含む独立のcut で選び出したevent を用いて計算する p He ~93% ~97% Kinetic energy (GeV) Kinetic energy (GeV/n) m- m+ ~95% ~95%

1/b cut Helium Proton dE/dx cut で電荷を選んだ後の分布 電荷=1 電荷=2 Aerogel Cherenkov cut

Efficiency for 1/b cut 1/b の分布はきれいなGauss分布になる Cut の境界は3.89sに設定されているのでcut efficiency は99.99 % と見積もられる。

Backgrounds Background in Protons Deuteron Deuterons Positorons and muons Deuteron Rcut off 以下    secondaryは識別可能 Rcut off 以上     primaryは識別不可 BESS99、2000データから Primary d/p=2-2.5% at 4GV スペクトラムへの補正は 行わない at 4 GV d/p=2-2.5% in BESS99, 00

Background m++e+ in protons 1.7GeV/c までのm+ flux を使って 20 GeV までのm++e+の数を見積もる 見積もられた数は最大で陽子の4%

Background in Helium nuclei 上下のTOFでのdE/dx によりはっきりと識別される 最も数が多いprotonからのなだれこみも10-4 程度。 Helium に対して background の補正は不要

Background in Muons Pions Electrons and positorons 補正は行っていない fluxは pを含んでいる ~2% at 1 GeV/c ~4% at 3GeV/c Electrons and positorons Particles from the parachute

Electron background in muons Simulation で求めた muon、 electron のdE/dx 分布の和が測定された分布を再現するように e/m 比を求める。 1% 1GeV

p, K, m produced in the parachute 測定器から見た角度は小さいが物質量が大きい Simulation を使ってどれくらいの粒子が作られているか見積もった parachute BESS

見積もられた数はmに対して0.8%以下

Error estimation 2 ほとんどのエネルギー領域で最も大きいのは第一項の統計誤差 陽子  ~5% ヘリウム ~7% m  ~15%

見積もられたsystematic error p He m DSW 組み立て時のTOF位置の精度から 1% DTlive 実験中高精度で測定されている ~0% Detrig T0-CD はビームテストから   agel trig はT0-CD event の統計から 0.2% 0.6% 1.2% Denon-int simulation と測定データの cut   に用いたパラメーター分布のずれから ~2% ~3% ~1% Deid sample events の統計から 0.2~0.8% DNBG BG計算でのfitting等からくる誤差 0.1~0.7% 0% 0.1~4%

結果 proton and helium flux

Muon flux

Proton Helium flux at ~5g/cm2 BESS2001 は過去のBESS,AMSより測定地のRcut offが高く、その影響が現れている。

太陽活動から予想される primary 流束は 99 と 2000年の中間で、測定データは妥当

Attenuation length (L) of proton and helium F=F×exp(-pressure/L)

まとめ BESS2001 実験はアメリカニューメキシコ州フォートサムナーで行われた 測定中高度が変化し続け4.5g/cm2 から 20g/cm2  の大気圧領域 でμ、陽子、ヘリウムの精密な流束を測定することができた 求められた陽子、ヘリウム流束はcut off rigidity attenuation、 太陽活動の影響などからの予想と矛盾しない結果が得られた。 Simulation における相互作用を議論できる精密なm 流束を初めて得ることができた。 ここで得られた陽子ヘリウム等のデータを使えばさらにシミュレーションを精密にし相互作用の効果を調べることができる