アメリカ教育の歴史的概観 競争的自由と公的平等の併存.

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アメリカ教育の歴史的概観 競争的自由と公的平等の併存

アメリカ教育を考える前に アメリカでは、教育は社会的成功の不可欠の要素ではない 学校にほとんどいかなかった成功者:カーネギー、ヘンリー・フォード、エジソン、カーネル・サンダース (アメリカンドリームに学歴は無関係) 大学中退組 :スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツ 資格が必要な専門職 基本的に大学院・大学は教養課程(文学部・理学部)

19世紀前半までの年表1 1607 イギリス人、ヴァージニアに植民 ポカホンタスキリスト教の洗礼(1614) 1620 メイフラワー号プリマスに 1626 オランダマンハッタン島 1755 フランスとイギリスで植民地戦争 1773 ボストン茶会事件 1775 独立戦争 1776 独立宣言 1803 フランスからルイジアナ買収 1819 フロリダをスペインから買収

年表2 1830 最初の鉄道・インディアン強制移住法 1848 カリフォルニアで金発見 ゴールドラッシュ 1854 共和党結成(奴隷制反対) 1861 南北戦争 ~65 リンカーン暗殺

植民地時代の教育の萌芽 宗教的な移民は、当初から教育意識 地域共同体の事業としての教育(本国に準拠) 後に公選制教育委員会と教育税として展開 先住民への宣教も(文化的引き上げ意識) 清マサチューセッツ、プペンシルバニア・英ヴァージニア 地域共同体の事業としての教育(本国に準拠) 1642年 マサチューセッツ州で教育法(保護者に子の就学を要請) 1649年 同州で町に学校設置義務(実効性はあまりなし)   後に公選制教育委員会と教育税として展開 宗教的色彩の濃い教育 1635年ボストンに最初のラテン語学校設立 1636年 ハーバード大学設立 平等を目指す「公立学校」とよい教育を求める「私立学校」の併存(初期は後者が主流)

独立後の教育 1775-1783 独立戦争 1776 独立宣言 当初苦戦、フランス・オランダの参戦で転換 教育は州の権限(連邦政府は権限なし・補助金による誘導・合衆国憲法に教育条校なし) 連邦政府をつくるかどうかが、独立時の大きな問題だった。当初は妥協として最小の連邦政府 アメリカ(教育精神)としてのフランクリン 避雷針の実験(実証精神) → プラグマティズム 生活信条(テキスト)

Common School Movement ホレース・マンの改革  弁護士から議員へ  1837-1848 マサチューセッツ州教育委員長 ・ ホレース・マン時代、上流階層は、大衆的教育に全く無理解。理解させ、実現させたことが業績  教員の待遇改善・教員養成制度の整備  ヨーロッパ視察後、公立学校の原則(平等・世俗) 1852年就学義務法(その後他州に拡大)

システムの整備(19C後半) 公立学校は小学校と中学校からなりK12と呼ばれる。(段階分けは州によって異なる) 教育税が19世紀(財産税) 州格差が教育に影響 公選制教育委員会(強い権限)    専門家(教育長)と素人(教育委員)の分担

20世紀前半価値対立の先鋭化 忠誠の誓い(アメリカナイゼーション) 第一次大戦後、新教育運動(系統か経験か) スコープス裁判(科学と宗教) プログラム学習・プロジェクトメソッド・ドルトン・プラン スコープス裁判(科学と宗教) 19世紀末から20世紀に「反進化論法」各地で成立 1925年、テネシー州が進化論公立学校で禁止 高校生物教師スコープが進化論を教えて、逮捕・起訴→全米の注目→有罪 1967年、禁止法廃止(アーカンソウ裁判)

忠誠の誓い 1892年に提案、1954年にunder God が挿入された。その結果いくつかの訴訟がおきた I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands: one Nation under God, indivisible, With Liberty and Justice for all.

20世紀後半差別問題 スプートニク・ショック 1957年 60年代の学園紛争と新しい教育運動(サドベリ) スプートニク・ショック 1957年 60年代の学園紛争と新しい教育運動(サドベリ) 70年代ベトナム敗戦と80年代の経済の衰退→新自由主義の政策(ケインズ主義の否定) フリーダムの小さな国家による、民営化・自由(能力主義)の政策 学校政策としては私立化・バウチャー制度の提唱

アメリカ全寮制学校 学校名 所在地 生徒数 学費+寮費 Andrews Osborne オハイオ州 380人 42,000ドル Annie Wright ワシントン州 170人 46.000ドル Asheville ノースカロライナ州 280人 44.000ドル Athenian カリフォルニア州 460人 54,000ドル Avon Old Farms コネチカット州 410人 49,000ドル http://high.ryugaku.ne.jp/search/list?form=name&s%5Bname%5D=&x=19&y=7 https://www.google.co.jp/search?q=Asheville+school&hl=ja&rlz=1T4ADRA_jaJP414JP414&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=rls8Vc7fH6XLmwWe4YDoBw&ved=0CD8QsAQ&biw=1177&bih=1334