生物学基礎 第1回 この科目で学ぶこととゴール      生物学とその方法 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.

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生物学基礎 第1回 この科目で学ぶこととゴール      生物学とその方法 和田 勝 東京医科歯科大学教養部

この科目について この科目は、高等学校で生物を履修しなかった学生を対象に、限られた時間内で生物学の基本的な項目を理解できるようにする  この科目は、高等学校で生物を履修しなかった学生を対象に、限られた時間内で生物学の基本的な項目を理解できるようにする  必要に応じて課題を与えるので、受講する学生はただ講義を聴くだけでなく、積極的かつ能動的に参加して欲しい

なぜ生物学を学ぶのか ヒトも生物の一員 この地球上によりよく暮らしていくた め、また人間を理解するために、生 物学が教養として必要。  この地球上によりよく暮らしていくた め、また人間を理解するために、生  物学が教養として必要。 生物学は医学・歯学の基礎  生物学の知識の上に、医学・歯学  が成り立っている

生物学を学ばなかった? 生物は憶えることが多くて嫌だ、という人が多いのではないだろうか。 基本的な枠組み(conceptual framework)を理解すればよい。 この講義では、歴史的な視点を加えてその枠組みを説明していこう。

講義の進め方 ●講義には必ず出席すること。 ●講義はパワーポイントを使って行う。 ●教科書は下記のものを指定する。ただし教科書に沿って授業を進めるわけではないので、該当する部分を読んでおいてほしい。  『基礎から学ぶ生物学・細胞生物学』  和田勝 羊土社 2006年11月

講義の進め方 ●講義の内容は医科歯科大学のウエッブ上に公開する。 ●講義に使うパワーポイントファイルは上記からダウンロードできるようにする。 ●上記2つで事前に予習して、講義に臨むこと。 ●ノートは必ずとり、予習、講義のときのメモ、復習をまとめる習慣をつけること。

Webの利用 ●http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/introbiol.htm ●教科書で予習・復習をし、さらに発展的に学習できるように、「生物学基礎」ページを設けてある。 ●このページにアクセスすると、章ごとにpdfファイルあるいはWordファイルをダウンロードできる。カラープリンターで印刷すれば、副読本となる。 ●http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/introbiol.htm

発展的学習 ●上記Web上の「生物学基礎」の各ページのリンクをたどって自分で学習することができる。 ●そのほか、岩波新書や講談社ブルーバックスなどの生物関連のものを積極的に読んで欲しい。

評価 ●課題に対する提出物と定期試験期間内におこなう試験によっておこなう。 ●講義の最後に、学生による授業評価を受ける。

担当教官 教官研究室は4階第1研究室 ホームアドレスは http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/wada/wada-j.htm メールアドレスは  wada@tmd.ac.jp

今後の予定(2009年度) 第1回 4/14 この科目で学ぶこと、生物学とその   第1回 4/14 この科目で学ぶこと、生物学とその            方法、   第2回 4/14 生物多様性と進化、細胞の発見   第3回 4/21 メンデルの遺伝の法則   第4回 4/21 細胞のプロフィール、細胞を構成する            分子   第5回 4/28 形を決めているのもの   第6回 4/28 DNAからタンパク質へ

課題(2009年度) DNA from the beginning http://www.dnaftb.org/dnaftb/ ●課題を出し、期限までの提出を要求する。 ●早速、第1回の課題です。 DNA from the beginning http://www.dnaftb.org/dnaftb/ の「Classical Genetics」Section(1から14)までの英語を読んで、訳しなさい。

Intermission

生物学の基本的な枠組み 1.生物多様性 この地球上には、およそ150万種の生物が生息している。

生物学の基本的な枠組み 1.生物多様性 2.進化 現在の地球上の多様な生物は、進化の産物である。

生物学の基本的な枠組み 1.生物多様性 2.進化 3.遺伝の法則 親の形質は子に伝えられる(遺伝する)。

生物学の基本的な枠組み 1.生物多様性 2.進化 3.遺伝の法則 4.細胞説 すべての生物は細胞からできている。

生物学の基本的な枠組み 1.生物多様性 2.進化 3.遺伝の法則 4.細胞説 5.遺伝子の実体 遺伝子は、DNAという分子であった。細胞の核内にある染色体上にある。

生物学の基本的な枠組み 別の言い方で要約すると、生物は、 (1)進化の産物 (2)生態系のなかで生きている (3)遺伝子に支配されたシステム (4)分子間の相互作用により生じる   機能を使って生きている

進化の頂点にいるといわれる我々ヒトも、これらの原則の外にあるわけではない。 それでは始めに、科学の方法論についてお話しよう。

生物学とその方法 生物学(biology)は、生物と生命現象を明らかにしようとする科学 ●ヒトは生き物が好き(バードウォッチング、庭いじり、潮溜まりの探索) ●こうした人間の性質の上に、近代科学の方法論と手法によって、生物と生物の示すさまざまな生命現象を明らかにしようとする

生物学とその方法 ●生物学は、いま最もおもしろい時期を迎えている。わからなかったことが次々と明らかになってきているからである。そんな時期に生物学を学ぶ君たちは、とても幸せである ●まずは、生物学とはどんな学問か見ていこう

科学の方法 ●その前に、近代科学の方法論について ●Scienceの語源は、ラテン語の「知ることscientia」に由来する ●科学には大別して2つの方法がある。 1つは「発見と帰納の科学」であり、もう1つは「仮説と演繹の科学」である

データを矛盾なく説明できるような包括的な結論 観察による発見と帰納 測定 観察 データ 観察 測定 (それぞれの データはtestableでrepeatableである必要) データを矛盾なく説明できるような包括的な結論

観察に基づく仮説と演繹 観察 設問 仮説 予想 試験 もしも仮説が支持されなかったら、仮説を修正するか新たな仮説をたてる もしも仮説が支持されたら、次なる予想を立てそれを試験する 試験 (実験あるいはさらに観察)

日常生活での仮説と演繹 もしも仮説に基づく予想が否定されたら、仮説を立て直す どこが悪いのかしら 電池切れか 懐中電灯がつかない 仮説に基づく予想が確かめられた 実際に新しいものに取り換えてみる もしこの仮説が正しいならば、電池を新しいものに換えればなおるはず どこが悪いのかしら 電池切れか 懐中電灯がつかない もしも仮説に基づく予想が否定されたら、仮説を立て直す

観察の重要性 いずれにしても、出発点として観察が重要。 肉眼 小さくて観察できない 近寄って観察できない 顕微鏡 双眼鏡

顕微鏡の種類 光学顕微鏡 透過型電子顕微鏡 走査型電子顕微鏡

顕微鏡の原理 光線を 使う 電子線を 使う

光学顕微鏡像

光学顕微鏡像

光学顕微鏡像

光学顕微鏡像

光学顕微鏡像

電子顕微鏡像 撮影:川原昌彦・富山医科薬科大学実験実習機器センター 小腸微絨毛の断面 (x10,000)

走査型電子顕微鏡の原理 電子線を 使う

走査型電子顕微鏡像 ツツガムシの成虫の走査型電顕像 (x86) 撮影:安達一男・新潟大学医学部第三解剖電顕室

走査型電子顕微鏡像 ラット小腸の血管鋳型の走査型電顕像 撮影:梅沢敦子・北里大学医学部電顕センター

近代生物学は ●近代科学は、創造説を否定し、 ●自然発生説を否定し、 ●生物特有なものを仮定する生気論を否定する。

仮説を立てるために いずれにしても、出発点として観察が重要と言ったが、それに伴う知識が必要。 ●知識は教科書と講義から ●もう一つの方法は論文を読む

Intermission