X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会) 京都大学宇宙線 辻本匡弘
内容 実験のセットアップ チップの性能評価 チップの性能向上①~④ CCD-CRESTによる偏光X線の測定 課題(まとめ)
セットアップ① CCD-CREST(deep2) 戦略基礎研究 「画素の小さいX線検出用CCDの開発研究」 開発目標 1) スペクトロメータとして性能の高いCCD → CCDの性能評価と性能向上 2) ポラリメータとして実用的なCCD → 偏光測定システム、偏光X線イベント解析法確立 CCD-CREST 特徴 転送方式 : Full Frame Transfer 駆動方式 : 縦横2相クロック フォーマット : 1024×1024pixels 有効受光領域 : 25mm×25mm
クロックジェネレータ ADC セットアップ② 実験システム 真空チェンバ
性能評価 暗電流 CCDチップの性能 CTI 暗電流 CTI 縦転送 2.5×10-6 [/転送] 横転送 1.1×10-6[/転送] 動作温度‐80℃ 以下でOK 読み出しノイズより 十分小さい
性能向上① 最適駆動電圧の決定 縦転送、横転送、リセット の電圧(高・低レベル)を独立に変えて 最適値を求めた *但し、H/Lの差は10[V]に固定 撮像領域 縦転送 リセット エネルギー分解能で12% 空乏層厚で45% の性能向上 シリアルレジスタ 横転送 読み出し口 リセット電圧>横転送電圧>縦転送電圧の時、最高性能
性能向上② 蓄積、転送電圧の分離 転送中 蓄積中 H H H H L H L H 電極 絶縁層 空乏層 電子の ポテンシャル 電子 電子 検出効率を上げるため 高くしたい ノイズを抑えるため 低くしたい H H H H L H L H 電極 絶縁層 空乏層 電子の ポテンシャル 電子 電子 蓄積中 転送中
性能向上② 蓄積、転送電圧の分離 転送中の 電極電圧 10[V] 蓄積中の 電極電圧 0、6、12[V] クロック CCDの電極へ アナログ スイッチ CCDの電極へ 55Feのスペクトル スイッチング回路の模式図
性能向上② 蓄積、転送電圧の分離 空乏層厚を13%増加 * grade02346 の値(括弧内はgrade0の値)。 * 分解能が悪いのは回路の問題。今回は関係ないので無視
性能向上③ X線源の斜め入射 電極(金属) 絶縁層(SiO2) 空乏層(Si) 斜めからX線を入射することで 実効的に空乏層を厚くすることができる 電極(金属) 絶縁層(SiO2) 空乏層(Si)
性能向上③ X線源の斜め入射 入射角60°の時に実効的な空乏層厚が62.3μm 入射角が大きいと、電子雲の広がりは小さくエネルギー分解能向上
性能向上④ 多重相関サンプリング サンプリング回数を増やすことで、高周波ノイズを 落とすことができる(相関数=4,8,16で実験) フロートレベル シグナルレベル リセット信号 → 例;4重相関 サンプリング
性能向上④ 多重相関サンプリング 読み出しノイズを15%低減 エネルギー分解能@5.9keVを10%向上
CCDによるX線偏光測定 (1)セットアップ X線発生装置 CCD-CREST(deep2) X線 吸収体 X線発生装置からのX線を直接CCDに入射 X線管内の加速方向に直線偏光 発生装置を回転させる CCDの水平面 偏光面
CCDによるX線偏光測定 (2)X線発生装置からの偏光 散乱体(ポリエチレン) SSD検出器 X線発生装置 回転台 回転台を回転させて 散乱X線の強度を測定 管電圧に相当するエネルギーの偏光度が約40%
CCDによるX線偏光測定 (3)結果 45-50keVの X線で傾向が 見えた
CCDの構造解析法 ①β線照射による空乏層厚測定 表面図 絶縁層 空乏領域 中性領域 β線 入射角5°の時の β線イベントの例 断面図 空乏層厚16μm → 量子効率より求めた もの(20μm)にほぼ一致
課題(まとめ) (1) 高性能スペクトロメータの開発 (2) 実用的ポラリメータの開発 空乏層を厚くして検出効率を高めた (1) 高性能スペクトロメータの開発 空乏層を厚くして検出効率を高めた (現在 検出効率約60%@5.9keV) 空乏層の厚いチップ作成、測定 (現在CCD‐CREST(deep3)が使用可能) 電圧、読み出し法の最適化でエネルギー分解能を上げた (現在 約150eV@5.9keV) 測定システムからのノイズを落とす (2) 実用的ポラリメータの開発 偏光X線測定システムを立ち上げた 偏光X線イベント解析方法を確立した ピクセルサイズの小さいCCDの製作、測定 (現在8μm×8μmのチップの作成)