大正期のジャーナリズム -近代新聞の成熟期

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資料1 情報関連政策体系の推移と現状分析 ・戦後 60 年の我が国情報関連政策・制度の推移一覧 ・戦後 60 年の我が国情報関連政策・制度の推移の概要 ・政府報告書の政策マップ ・ e-Japan 戦略 /e-Japan Ⅱ(コンテンツ関連)の政策マップ ・知的財産大網 / 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画の政策マップ.
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大正期のジャーナリズム -近代新聞の成熟期 ジャーナリズム史Ⅰ 13-14回 大正期のジャーナリズム -近代新聞の成熟期 ジャーナリズム史Ⅰ

大正期(1912~26):主要事件-1 1912:7 明治天皇崩御/乃木希典、殉死 大正元年 1913:大正政変(桂内閣倒れる)/中華民国成立 1914:シーメンス事件:山本内閣総辞職 第一次世界大戦(~1918):日英同盟により参戦 1915:対華21か条要求 1918:シベリア出兵/米騒動/白虹事件 1919:パリ講和会議-ヴェルサイユ条約/三・一事件(朝鮮)/五 四運動(中国) 1920:国際連盟 ジャーナリズム史Ⅰ

大正期(1912~26):主要事件-2 1921:原敬首相暗殺/ワシントン軍縮会議(~22)/日米英仏四 か国条約(日英同盟破棄) 1923:関東大震災(朝鮮人虐殺)/甘粕事件/虎の門事件 1924:第二次護憲運動(政友会・憲政会) 1925:治安維持法・普選法公布 1926:12 昭和に改元 ジャーナリズム史Ⅰ

14.大正期のジャーナリズム 藩閥官僚政治打破へのキャンペーン 「白虹筆禍事件」(大7、大阪朝日) 新聞社の機構改革 国際報道の発展: 関東大震災(大12)の影響 ラジオ、映画の登場 ジャーナリズム史Ⅰ

長谷川 如是閑 (1875/11/30-1969/11/11) 明治・大正・昭和と三代にわたりジャーナリスト、文明批評家、評論家、作家として活躍 1903-06:『日本』 1908:鳥居素川の勧めで『大阪朝日』入社 天声人語、社会部長 白虹事件を期に退社 :「白虹日を貫けり」 「我国に凶変襲ヒ動揺ノ末遂ニ滅亡ニ至ラントスル情景ヲ幻想セシメ」(判決文の一部) ジャーナリズム史Ⅰ

杉村楚人冠 イギリス特派員 調査部の設置、縮刷版 記事審査部 『最近新聞紙学』(1915) W.Williamsとの親交 ジャーナリズム史Ⅰ

オリンピックや国際会議の中継にラジオが活躍 1936(昭和11)2・26事件「兵に告ぐ」 《戦前のラジオ小史》:-1 KDKA(1920) 1925(大14)3/22 東京放送局放送開始 1926(大15)社団法人日本放送協会発足 -東京、名古屋、大阪 1927(昭2) テレビ実験に成功 -大相撲、中等野球の実況放送/ オリンピックや国際会議の中継にラジオが活躍  1936(昭和11)2・26事件「兵に告ぐ」 ジャーナリズム史Ⅰ

《戦前のラジオ小史》-2 1941(昭16)12.5 国内放送戦時非常態勢要綱制定 <戦時体制> 1941(昭16)12.5  国内放送戦時非常態勢要綱制定 <戦時体制> 12.8 体制太平洋戦争開戦の臨時ニュース/空襲警報放送/娯楽番組の制限/ 対外宣伝放送(1943~日の丸アワー) 南太平洋の米軍兵士向けに15分間の英語番組「ゼロ・アワー」(名称は零戦・日の丸から命名)のプロパガンダ放送を開始。 1945(昭20)8.15  昭和天皇の「終戦詔書」 ジャーナリズム史Ⅰ

ジャーナリズム史Ⅰ 明治~昭和 言論出版弾圧政策について 1868 明元 太政官布告 全ての出版、新聞が許可制となる 1869 明2 出版条例 行政非難などの禁止、検印制定 1871 明4 新聞紙条例 匿名記事の禁止など 1875 明8 讒謗律 名誉毀損 改正新聞紙条例 新聞発行の停止、差し押さえを可能に 1880 明13 集会条例 警察による集会の規制 1887 明20 保安条例 危険人物を東京から追放 1893 明26 出版法 書籍の内容による発禁、差し押さえ 1894 明27 日清戦争 1900 明33 治安警察法 集会・結社・言論の自由を制限 行政執行法 警察による検束 1904~05 明37~38 日露戦争 1909 明42 新聞紙法 新聞・雑誌の内容による発禁、差し押さえ 1914 大3 ※海軍省、陸軍省が新聞記事掲載のガイドライン、検閲を発表 1925 大15/昭元 治安維持法 左翼の取り締まり 1938 昭13 国家総動員法 あらゆる経済統制、言論統制 1941 昭16 新聞紙等掲載制限令 官庁の秘密、軍機の掲載禁止などを規定 ジャーナリズム史Ⅰ

新聞紙条例:M8(1875)~M42(1909) →新聞紙法 反政府的言論活動を封ずることを 目的 筆名を禁止した。 新聞紙条目から新聞以外の雑誌・雑報にまで広げた 発行を許可制とした。 違反の罰金・懲役を明確に定めた。 社主、編集者、印刷者の権限・責任を個別に明示し、違反時の罰則を定めた。 同時発布の讒謗律との関係を明示した。 記事には筆写の住所・氏名を明記することを原則とした。 筆名を禁止した。 掲載記事に対する弁明・反論・訂正要求が寄せられた場合の次号での掲載を義務づけた。 犯罪(当時の法律下での犯罪)を庇(かば)う記事を禁じた。 政府の変壊・国家の転覆を論じる記事、人を教唆・扇動する記事の掲載を禁じた。 裁判の公判前の記事および審判の議事の掲載を禁じ、重罰を定めた。 官庁の許可のない建白書の掲載を禁じた。 ジャーナリズム史Ⅰ

読んでおきたい文献 朝日新聞「検証・昭和報道」取材班『新聞と「昭和」』(朝日新聞社、2010) 春原昭彦「新聞人群像-もう一人の新聞人-」『コミュニケーション研究』no.28(1998)、「新聞社における調査部の役割とその変遷」no.23(1993) 田中浩(編)『近代日本のジャーナリスト』 『別冊新聞研究 聞き取りでつづる新聞史』 朝日『戦後五〇年 メディアの検証』 坂上康博『権力装置としてのスポーツ-帝国日本の国家戦略』講談社選書メチエ136(1998) 鎌田 慧『反骨のジャーナリスト』岩波新書、2002 佐藤卓己『八月十五日の神話-終戦記念日のメディア学』(ちくま新書544) 朝日『戦争責任と追悼」(朝日選書810、2006) 朝日新聞「検証・昭和報道」取材班『新聞と「昭和」』(朝日新聞社、2010) ジャーナリズム史Ⅰ

『聴きとりでつづる新聞史』→新聞人の生き様とジャーナリズム 春原『日本新聞通史』 →クロニクルで新聞紙面の変化を伝える チェックポイント 内川・新井『日本のジャーナリズム』 →1.政論ジャーナリズム  2.キャンペイン時代のジャーナリズム 『聴きとりでつづる新聞史』→新聞人の生き様とジャーナリズム 春原『日本新聞通史』 →クロニクルで新聞紙面の変化を伝える 土屋(編)『近代日本メディア人物誌―創始者・経営者編』 朝日『新聞と戦争』(朝日、2008) ジャーナリズム史Ⅰ