素粒子原子核理論のフロンティア 岡田安弘 総研大大学院説明会 2006年6月.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 宇宙は何からできてくるか ? 理学部 物理 森川雅博 宇宙を満たす未知のエネルギー:暗黒エネル ギー 局在する見えない未知の物質:暗黒物質 銀河・星・ガス 何からできているか … 2006/7/25.
Advertisements

熱々のクォークスープと宇宙の始まり ー ビッグバン直後の物質に迫る ー 初田哲男 (東京大学・理学系研究 科)
高エネルギー物理学研究室紹介 ひろ☆たん 2012年6月16日 @5号館302号室.
山崎祐司(神戸大) 粒子の物質中でのふるまい.
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
BRST対称性とカイラル対称性の破れの 格子QCDシミュレーションによる検証 scirqcd 帝京大学理工学部 古井貞隆
名古屋大学大学院 理学研究科 高エネルギー素粒子物理学研究室(N研) 名古屋大学タウ・プトン物理研究センター 飯嶋 徹
茨城大学公開講座 素粒子物理学入門 -基本的な考え方から超弦理論まで-
Bファクトリー実験に関する記者懇談会 素粒子物理学の現状 2006年6月29日 名古屋大学 大学院理学研究科 飯嶋 徹.
岡田安弘 Bファクトリー計画推進委員会 2006年10月17日
数値相対論の展望        柴田 大 (東大総合文化:1月から京大基研).
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.8 広島大学理学部.
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2007.1.23 広島大学理学部.
KEK Summer Challenge 報告
素粒子論(素粒子物理学)入門 現代物理学入門 石川 健三.
CERN (欧州原子核研究機構) LEP/LHC 世界の素粒子物理学研究者の半数以上の約7000人が施設を利用
現実の有限密度QCDの定性的な振る舞いに
電子 e 光子 g 電磁相互 作用を媒介 陽子 中性子 中間子 p n ハドロン 核力を  媒介 物質の 究極構造 原子 原子核 基本粒子
小林・益川理論とCP対称性 岡田安弘 第27回KEK素核研金茶会 2008年12月19日.
研究開発課題(素粒子分野)の紹介 筑波大学計算科学研究センター 藏増 嘉伸.
LHCの開く新たな宇宙物理 松本 重貴 (高エネルギー加速器研究機構).
核物理の将来 WG ストレンジネス sub group
物質の 究極構造 原子 原子の中には軽くて 電荷-eの電子がある 質量 9.11×10-31kg 原子 e =1.6×10-19C
QMDを用いた10Be+12C反応の解析 平田雄一 (2001年北海道大学大学院原子核理論研究室博士課程修了
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
最初に自己紹介 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 幅 淳二
最初に自己紹介 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 幅 淳二
D中間子崩壊過程を用いた 軽いスカラー中間子の組成の研究
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 藤岡 宏之 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
Electroweak baryogenesis
まとめ 素粒子実験領域、素粒子論領域合同シンポジウム “2010年代のフレーバー物理” 岡田安弘(KEK)
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月21日 茨城大学
研究室紹介 2007年1月29日               坂井典佑 素粒子理論 2019/4/8 坂井典佑 東京工業大学大学院 理工学研究科.
担当教官 理論: 菅沼 秀夫 実験: 成木 恵 前期: それぞれ週1回のゼミ 後期: 理論ゼミ + 実験作業
LHCでの発見へ向け 世界最大コンピューティンググリッドが始動
LHC計画が目指す物理とは × 1:ヒッグス粒子の発見 2:標準理論を越える新しい物理の発見 未発見!
岡田安弘(KEK,素核研) 2005年8月3日 加速器セミナー
平成20年 4月 18日 (金) 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所、理論研究系 西村 淳
ILC実験における ヒッグス・ポータル模型での ヒッグス事象に関する測定精度の評価
広島大学、高エネルギー物理学特論 スーパーコンピュータで探る超弦理論
2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索
素粒子、原子核、宇宙の理論研究のフロンティア
岡田安弘 (KEK) シンポジウム「物質の創生と発展」 2004年11月4日
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
LHC計画で期待される物理 ヒッグス粒子の発見 < 質量の起源を求めて > 2. TeVエネルギースケールに展開する新しい物理パラダイム
岡田安弘(KEK/総合研究大学院大学) 2007年11月12日 研究会「SuperKEKBが拓く物理」 秋葉原ダイビル
ストレンジネスで探る原子核 -ハイパー核の世界-
素粒子分野における計算機物理 大野木哲也 (京都大学基礎物理学研究所).
高エネルギー物理学特論 岡田安弘(KEK) 2008.1.15 広島大学理学部.
岡田安弘 高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 2008年10月7日 広島大学 “高エネルギー物理学特論”
インフレーション宇宙における 大域的磁場の生成
電子・陽電子リニアコライダーで探る素粒子の世界
2015年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
格子ゲージ理論によるダークマターの研究 ダークマター(DM)とは ダークマターの正体を探れ!
計画研究代表者 京都大学基礎物理学研究所 大野木 哲也
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年8月10日 日本物理学会科学セミナー
大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏
課題研究 P4 原子核とハドロンの物理 (理論)延與 佳子 原子核理論研究室 5号館514号室(x3857)
行列模型から4次元は出るのか? ~ガウス展開法とシミュレーションの進展と展望~
岡田安弘(KEK/総合研究大学院大学) 札幌Winter School 2011 2011年2月7日 北海道大学
LHCの加速装置はショボイ こんな加速器がわずか 8個設置されているだけ。 小さな努力の 積み重ね
高エネルギー加速器研究機構/ 総合研究大学院大学 岡田安弘 2006年6月14日 KEK総研大夏期実習
記者懇談会 重力の謎に迫る ~ブラックホール、ストリング、10次元宇宙~
「大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの共同利用・共同研究拠点化」に向けた要望書・意見書のお願い
2015年夏までの成果: 超対称性(SUSY)粒子の探索
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
[2] 超対称性理論(SuperSymmetry, SUSY) [4] ヒッグス粒子の階層性(微調整・不自然さ)問題
超弦理論の非摂動的効果に関する研究 §2-超弦理論について §1-素粒子論研究とは? 超弦理論: 4つの力の統一理論の有力候補
Presentation transcript:

素粒子原子核理論のフロンティア 岡田安弘 総研大大学院説明会 2006年6月

素粒子原子核物理学 物質のミクロの構造と物理法則をさぐる。 物質の究極の構成要素は何か、基本的な力は何か。 物質は極限状態でどう振舞うか。高温や高密度下でのクォークやハドロンの物性。 宇宙はどのように始まり、どのように進化してきたか。 時空の生成、量子重力。

現在のミクロの物理法則の理解 素粒子標準模型 基本粒子 クォークとレプトン 自然界の四つの基本的な力のうち重力を除く 素粒子標準模型  基本粒子 クォークとレプトン 自然界の四つの基本的な力のうち重力を除く 三つを“ゲージ理論”で記述  強い相互作用 =>QCD  弱い相互作用 と 電磁相互作用=>電弱理論

宇宙のエネルギー組成 最近のWMAP衛星による宇宙背景輻射の揺らぎの精密測定により宇宙のエネルギー組成が決まった。 約2割は未知の物質(暗黒物質) 約3/4は宇宙項

様々なフロンティア 標準模型を超える物理 標準模型 ヒッグス粒子 QCD+電弱理論 超弦理論 1GeV 100 GeV 1TeV=103GeV 1016 GeV 1019 GeV 標準模型を超える物理 極限状態の クォーク ハドロン 物性 大統一理論 超対称性 標準模型 QCD+電弱理論 ニュートリノ質量 ヒッグス粒子 超弦理論 暗黒エネルギー 反物質の消滅 インフレーション宇宙 暗黒物質 宇宙論の問題の解決

超弦理論 すべての粒子と相互作用を統一できる理論として、現在唯一の候補。 物質の基本要素は点粒子でなくひも。 プランクスケール(1019GeV)で重力とゲージ理論を統一。 時空の生成も弦理論を解くことで決まるかもしれない。 行列理論による定式化。 宇宙の始まり、宇宙項問題、ブラックホール、インフレーションなど量子重力の問題の解決の可能性。 重力子 ブレイン クォーク、レプトン、 ゲージ粒子

標準模型を超える物理模型 TeV スケールの物理としていろいろな候補が考えられている。 超対称大統一模型、ブレイン宇宙、複合ヒッグス模型 など。 ヒッグス粒子は何か? ニュートリノはどうして質量をもったのか? 暗黒物質の候補は? バリオン数生成は?  どのような実験で検証できるか? LHC, ILC, B Factory, J-PARC など。 超対称大統一模型 ブレイン宇宙シナリオ

QCD 強い相互作用の理論 = Quantum Chromodynamics クォークをハドロンに閉じ込める力。 様々な実験のためには強い相互作用の精密な計算が必要。 摂動論的計算。 格子ゲージ理論による非摂動計算。(計算機科学) 2006年3月にKEKは国内最速スーパーコンピュータを導入

原子核ハドロン物理 強い相互作用による量子多体系の物理。 極限状況で原子核やハドロンはどのように振舞うか。 高温、高密度、中性子過剰核、ストレンジネス核物理。

理論系の研究分野 詳しくは、総研大素粒子原子核専攻ホームページ http://soken-pn.kek.jp/ 超弦理論・重力・量子基礎論  北澤良久、磯暁、筒井泉、西村淳、夏梅誠、濱田賢二、溝口俊弥 素粒子現象論  岡田安弘、小平治郎、萩原薫、野尻美保子、岡田宣親 格子ゲージ理論  太田滋生、橋本省二、金児隆志 、山田憲和 原子核ハドロン理論  熊野俊三、森松治、板倉数記、土手昭伸 詳しくは、総研大素粒子原子核専攻ホームページ http://soken-pn.kek.jp/ 中の理論系教官のプロフィールのページをみてください。

KEK理論グループの特徴 国内の最大の素粒子原子核理論研究グループ。 スタッフ20名、ポスドク約30名、大学院生約20名。  スタッフ20名、ポスドク約30名、大学院生約20名。 理論研究活動の国際的な拠点。  年間ビジター数のべ約230人、うち海外から約70人、研究会等参加者約500人。 実験グループとの密接な協力。 2000年以降で博士号取得者は13名。うち7名が世界各地の大学、研究所でポスドクとして第一線で研究を続けている。

http://soken-pn.kek.jp/ まとめ 素粒子原子核専攻では、本分野の理論的フロンティア全般にわたって研究が行われています。 20名の教員に加えて、多くのポスドク・大学院生を含む活気にあふれた学習・研究環境を提供できます。 是非、総研大の門を叩いてください http://soken-pn.kek.jp/