大井渚(総合研究大学院大学) 今西昌俊(国立天文台)

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大井渚(総合研究大学院大学) 今西昌俊(国立天文台) 2010.02.20  近傍ULIRGの ブラックホール質量 大井渚(総合研究大学院大学) 今西昌俊(国立天文台)

QSO 1.Introduction ・非常に明るい(L>1012Lo)AGN MBH ~ 108Mo             (Sanders & Mirabel 1996) ・多くの母銀河は楕円(Bahcall+97, McLure+99) ・major merger  Hopkinsによると十分条件  (和田) ・accretion

ULIRG 1.Introduction LIR(8-1000μm) > 1012Lo ガスが豊富な銀河の衝突・合体の末期 ・ 赤外線領域だけで、QSOの全光度に匹敵   エネルギー源がダストに隠されて存在 ・ ダストに一度吸収され、赤外線で再放射 ・衝突の末には楕円銀河が形成される

ULIRGのエネルギー源 1.Introduction ULIRGに中心集中したエネルギー源あり AGN Starburst+AGN 近赤外分光観測 (Spitzer) Imanishi et al. 2006 Starburst+AGN ULIRGに中心集中したエネルギー源あり H2O 炭素系ダスト

QSOとULIRGの進化関係 Sanders & mirabel (1996) 1.Introduction  QSOと進化                   ( Lir~a few * 1012Lo、M(H2)~a few * 1010Mo ) ∴ ULIRG  QSO with strong IR emission         QSOと進化 Tacconi et al. (2002) ・ULIRGの母銀河のLK-bandは、radio-laud QSOよりも暗い (radio-quiet QSOと同程度)  MBH_ULIRG < MBH_radio-laud QSO ・ULIRGは、radio-laud QSOよりも低密度の環境内にいる ∴ ULIRGはradio-laud QSOに進化しない  むしろ、大質量の楕円銀河に進化する    

2.goal ULIRG ⇒ QSOの進化関係を検証 MBH∝Reff (MBH∝σ、MBH∝Mbulge) ★進化段階の違う両者を比較  進化に鈍感な物理量を使う  ☆観測しやすい利点 ULIRGの中心部にはガスが集中 減光の影響が強い NIRのK-bandを用いる Marconi & Hunt (2003) Veilleux(2002)でK-bandの有効半径を見積もっている(UH2.2m)。 問題点:深さが足りず、多くの天体で有効半径が求まっていない(18/118)。

IRSF / SIRIUS 3.observation InfraRed Survey Facility / SIRIUS                 (南アフリカ共和国) 視野:7.7’×7.7’   ULIRGの広がった成分まで観測できる バンド:J, H, K 3バンド同時撮像 pix scale = 0.”45 観測期間:   ・2008/9/17 – 2008/10/7 (3週間)   ・2009/2/11 – 2008/3/10 (4週間) 対象天体: ・IRAS 1Jy ULIRGサンプル(Kim & Sanders 1998)  ・DEC<20deg・・・33/50 objects (z<0.15)+5/29 objects (z>0.15) 今回は13objectsに対しての結果

de Vaucouleurs profile 4.results de Vaucouleurs profile IRAS08559+1053 IRAS13335-2612 mag/arcsec2 r1/4 [kpc1/4]

4.results AM0956-282 Reff=2.05 Reff=1.35 mag/arcsec2 r1/4 [kpc1/4] Rothberg & Joseph (2004)

4.results AM1158-333 Reff=1.27 Reff=1.10 mag/arcsec2 r1/4 [kpc1/4] Rothberg & Joseph (2004)

5. discussion バンドによるReffの違い Reff_K < Reff_J number Reff (kpc) 中心部の減光の影響!? number Reff (kpc)

有効半径(Reff_J)とSMBH質量(MBH) 楕円銀河に対する 有効半径(Reff_J)とSMBH質量(MBH) (Tremaine et al. 2002; Marconi & Hunt 2003) log MBH log MBH=(1.13±0.17)×log Reff_J+(7.49±0.12) log Reff_J

5. discussion Reff_Jから見積もったMBH log MBH (Mo) number MBH_QSOに匹敵

6. summary まとめ ・ULIRGの近赤外線撮像観測から有効半径を見積もった ・Reff_KはReff_Jはと比べて系統的に小さい ・Reff_Jから見積もったSMBHの質量は log MBH = 7.0-9.0Mo これまで言われてる典型的なQSOのSMBH質量に匹敵 ★楕円銀河のMBH-Reff_JがULIRGにも成り立つと仮定 ★Reff_Jに効いているかもしれない減光の影響を無考慮